David Blecken
2016年11月30日

消費者が制作するレオパレス21の広告

クラウドソーシングこそミレニアル世代に訴求し、ブランドの国際化を推進する最良の方法――。これが不動産賃貸大手のレオパレス21が出した答えだ。

(画像:レオパレス21)
(画像:レオパレス21)

レオパレス21(本社:東京都中野区、以下レオパレス)はブランド構築と海外市場での事業拡大の手段として、クラウドソーシングに活路を見出している。

産学連携のコラボレーション企画にも取り組んでおり、海外からの留学生が日本の企業に就労し学ぶ機会の創出や、海外で仕事の経験を積みたい日本の学生を支援。こうした取り組みを通じて、レオパレスはさまざまな業種の企業との協力関係を強化するとともに、同社物件の借り手予備軍として規模の大きい若者層に働きかけている。現在は中国、韓国、シンガポール、インドネシア、ベトナム、タイ、ミャンマー、フィリピンでも事業を展開しており、来年はさらに拡大する計画だ。

テレビにほとんど、あるいはまったく関心のない若者世代へのアプローチは、多くの日本企業が直面する課題だ。日本市場だけを考えても難題だが、海外市場を視野に入れると更に手強くなる。この課題に取り組むためレオパレスは、世界中の若者向けに動画コンテスト「動画世界道場」を開催中だ。応募期間は5週間で、eYeKa(アイカ)を通じて応募することができる。eYekaは、クリエイティブな一般消費者がブランドの課題を解決する、ウェブ上のコミュニティーだ。

募集テーマは一見するとシンプルな「初めての一人暮らしで生活がどう変わるのか」で、応募者はこれをストーリー化した60秒の動画を制作する。募集のコピーは「人生におけるもっとも大きなマイルストーンの一つは親元を離れ、一人暮らしを始める時です」で、「様々な変化が待ち受けていますが、一人暮らしを始めることは個人の成長のためにまたとない機会です」と続く。

企画はアサツー ディ・ケイ(ADK)と、独立系エージェンシーのQuark Tokyoとのコラボレーションによるものだ。結果はふたを開けてみないと分からないのがクラウドソーシングの常だが、レオパレスの執行役員である佐々木竜也氏は、クラウドソーシングこそ最適な方法と確信している。ターゲットとする視聴者に最も身近な存在であるクリエイター、場合によっては視聴者自らが動画を制作してくれるからだ。同社の強みを打ち出すよりも、普遍的なテーマで消費者に自由にコンテンツを作ってもらう方が、戦略として優れていると佐々木氏は言う。「細部にこだわるのではなく、事業を俯瞰したアプローチをしたいと考えました」。動画コンテストの応募を世界中から受け付けるのも、優れたアイデアや予想外のアイデアを幅広く募るためだという。

レオパレスがeYekaのクラウドソーシングをマーケティングに活用するのは、今回が2回目となる。前回の「動画世界道場」は原口政也氏(ADK)の下で実施され、ADKとQuark Tokyoが日本中の数々の学校(レオパレスの産学連携コラボレーション先)に出向き、eYekaを活用した動画コンテストのコンセプトを説明するセミナーを開催した。両社はコンテスト終了後にも学校を訪れ、選考過程などを説明。これが学生とレオパレスのエンゲージメントをより一層高めるのに効果的だったと、中村氏は受け止めている。

eYekaのアジア地域マネージングディレクターであるアンバ・クシアラ氏は、一般的に「アイデアを世界のクリエイターの手に委ねることによって、日本のブランドは『安全で均質的な環境』の紋切り型な表現から脱却することができる」と言う。

「その一方で、市場特有の視点をテーマに織り込むことには大いに価値があります。新しいアイデアがその市場に当てはまり、受け入れられるものかどうかを見極めるフィルターになりますから」(クシアラ氏)

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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