Ryoko Tasaki
2017年10月20日

デザイナーを悩ませる修正指示のやりとりが話題に

もはや支離滅裂ともいえる、修正指示の嵐。制作に携わった人なら、一度は経験があるだろう。

デザイナーを悩ませる修正指示のやりとりが話題に

何かと話題になるカップヌードル(日清食品)のツイッターアカウントが10月17日にツイートした一連の画像が、SNS上で拡散中だ。内容は、10周年を迎えるミルクシーフードヌードルの広告制作にあたり、クライアントが無茶な修正指示を繰り出すというもの。

一つ目は、都会にある公園を背景に女性が商品を手に微笑む、いたってシンプルな画像である。
 

その15分後にツイートされたのが、以下の画像。上司から「厳しいダメ出し」が入った、ということで、「人間以外にもミルクシーフードが愛されてる感じに」「どこかに『ねとめし感』出して」、「チーズ感のある髪型に」と漠然とした修正指示が書き込まれている。
 

その後、これらの要望を忠実に反映した画像がツイートされたが、即座にまた厳しい修正指示が入る。内容も「ミルクシーフードの存在に嫉妬する地球外生命体の存在」や「巨大な電子頭脳を置く」、パンダの画像には「商品を目の前にして『笹食ってる場合じゃねえ』感を。&もっと牛っぽく」など、唐突で場当たり的だ。もはや仕上がりが想像できない。
 

こうしてようやく完成したのが、以下の画像だ。
 

さまざまな要素がてんこ盛りで、逆に何を伝えたいのか理解できない。モデルの女性の目つきも不自然だ。だが「上司からOK出ました!」と一件落着で、広告は完成したようだ。

Campaignの視点:
無茶苦茶な修正を次々と入れられ、それに応えていくうちに作品が崩壊していく様子は、パロディーなのに妙なリアリティーがある。Campaignの読者の中には、こういう修正指示を出したことがあるクライアント側の人間も、受け取って振り回された経験のある制作側の人間もいるだろう。

とはいえ、このようなやりとりを実際に経験したことのある業界関係者は、全人口からすると決して多くはない。それでも、デザイナーの笑うに笑えない苦悩はツイッターまとめサイトで、しばしばネタにされてきた。今回のキャンペーンは凄まじい勢いでリツイートされており、商品の10周年を周知するという目標に、大きく寄与したことだろう。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan
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