電通イージスの売上総利益の成長は鈍化
2017年度上半期、電通イージスの売上総利益は0.1%増だった。第1四半期は3.1%増だったものの、第2四半期は2.7%減。ちなみに2016年度第2四半期は7.2%増、2015年第2四半期は10.2%増だった。電通は成長鈍化の理由として厳しい市況と、第3四半期に数字として反映される業績を挙げている。電通グループ全体の売上総利益は13.1%(国内事業1.2%、海外事業27.2%)の成長で、4166億円だった。
電通本体の日本での総利益も微減
電通の国内売上総利益は1.1%減だった。同社はその要因として、リオ五輪のような大きなプロジェクトやマーケティング、販促のイベントがなく、TV広告などに影響したことを挙げている。
デジタル関連事業は売上総利益の40%以上
P&Gなどを始め大手広告主の間で世界的にデジタルメディアへの懸念が強まっているが、電通は今後もデジタル事業を成長の最重要分野と見なす。電通グループの売上総利益に占めるデジタル関連事業の比率は42.4%(国内事業21.7%、海外事業・電通イージスネットワーク=DAN58.3%。DANは昨年同期比で8%以上増加)。DANの6月の報告書によれば、デジタルメディアへの総支出は2018年までに2158億米ドル(約23兆7380万円)に達する見込みだという。
一方で、DANのグローバルCEOを務めるジェリー・ブルマン氏は最近のCampaign のインタビューで、ユーチューブなどのオンラインプラットフォームでブランドの安全性が取り沙汰されるようになってから「デジタル広告が減速している」ことに懸念を示した。
欧州・中東・アフリカ地域は依然、DANにとって最も成長が見込める地域
DANの第2四半期・売上総利益のオーガニック成長率は0.3%に下がったが、同地域は2015年から2016年にかけて2桁成長を遂げ、この報告書以前の各四半期で5%以上の伸びを示している。アジア太平洋地域における成長率は3.8%減、南北アメリカは4.1%減だった。
企業買収は引き続きDANの重要戦略
今年上半期、DANは14件の企業買収を行った。デジタル分野の強化がその主な目的で、買収先は豪州のカスタマーエクスペリエンス企業「アコーダント(Accordant)」、米国のマーケティングソリューション・エージェンシー「リープフロッグ・オンライン(Leapfrog Online)」、英国のデジタルタレント・マネージメント会社「グリーム(Gleam)」など。電通は2020年までにDANを「100%のデジタル事業会社にしたい」としている。
日本における電通の最優先事項は、「労働環境の改革」。決算の発表にあたり、山本敏博・同社代表取締役社長は「進歩的な職場環境を構築する」と明言。「不透明な市場状況にかかわらず、上半期の優れた業績を電通グループ全体に確実に反映させていきたい」と述べている。
(文:デイビッド・ブレッケン 編集:水野龍哉)