Ryoko Tasaki
2017年4月17日

アディダスがランニングの新しい楽しみ方を提案

アディダスが、信号機に止められることなくフルマラソンを走り抜けるイベントを都内で実施した。

アディダスがランニングの新しい楽しみ方を提案

3月10日未明から明け方にかけて、30名の集団が都内をランニングするイベント「GREEN LIGHT RUN TOKYO」が開催された。96基の信号機に足止めされることなく42.195km(女性限定の10kmコースも有り)を走る、この前代未聞のレースは、アディダス ジャパンがシティーランニングに特化した新店舗のオープン記念で主催したもの。一位の走者は、ゴールでもある新店舗の一人目の客となることができる。

ルールは、定められたペースに合わせて走り、赤信号にひっかかったらレースから脱落すること。信号機のサイクルやタイミングを計算し尽した、緻密なルート開発には、ナビタイムジャパンが協力している。「信号機の時間を計算しつつ、魅力的な場所を走ることを両立させるのに苦労しました」と、アディダスのランニング・ビジネス・ユニットでブランドコミュニケーションを担当する西脇大樹氏は語る。

2月下旬、ティザーの動画がユーチューブで公開され、「反響は凄まじいものでした」と西脇氏は振り返る。応募条件は「フルマラソンを4.5時間で完走できること」と厳しいが、30名の枠に180名が応募。SNS上では「当たるといいな」「参加したいけど速く走れない」といった書き込みが見られた。

また、走り終えた参加者が「信号に合わせてペースを変えていくので、ドキドキ感があってすごく楽しかった」「夜中に東京を走る機会はなかなかないので今回はとてもいい経験でした」などとコメントし、盛り上がりはイベント後も続いた。

オープン記念イベントとしては異色の取り組みが奏功し、新店舗の売り上げは「順調に推移しています」と西脇氏。同社主催のランニングコミュニティー「adidas Runners of Tokyo」の参加者数の増加や、店舗トラフィック、ソーシャルメディアへの反響などからも「東京のランナーの間でのアディダスへのイメージ向上に、大きな効果があったと実感」しているという。

Campaignの視点:
都内に密集する信号機をどのように避けることができるのか――。疑問が心に浮かび、たとえランニングに興味が無くても、引き込まれる内容だ。シティーランニングの新しい魅力を提案したこのキャンペーンがブランドイメージの向上に貢献したことは、参加者の喜びの声や、参加者を見守るSNS上のコメントからも、うかがい知ることができる。

今後も新しいコースを作ったり、他の都市でも実施したいという話は同社内で出ているようだが、開催予定は今のところ未定。ルート開発や安全への配慮など、実施が容易でないことは想像がつくが、今後どのような展開を遂げていくのか注目したい。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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