Ilyse Liffreing
2017年4月19日

ブランドのデジタル体験は低評価:IBM調査

IBMの研究機関が催した調査で、ブランドが提供する最新のデジタル体験に消費者の70%が不満であることが明らかになった。

ブランドのデジタル体験は低評価:IBM調査

各ブランドはほぼ毎週のように、デジタルを駆使して次々と創造的な体験を編み出している。VRやAR(=Augmented Reality、拡張現実)、モバイル決済サービス、スマート家電、そしてバーチャルショールーム……マーケターたちは、これらを商品や新しい技術を紹介する絶好の媒体と捉えているだろう。ところが最新の調査では、ブランドが多額の予算を費やしているにもかかわらず、こうしたデジタル体験の評価が消費者の間で芳しくないという結果が出た。

この調査に参加した消費者の70%は、ブランドとのデジタルインタラクションに「不満」と回答。商品を選ぶ際のVR体験やデジタルディスプレイ、カスタマーサービスのボイスコマンドといったサービスを、大多数の人々は物足りないと感じていることを示した。

今回の調査はIBV(IBM Institute for Business Value)が実施。最新のデジタルサービスを導入している企業幹部600人と消費者6000人を対象に、顧客体験に関する質問を行った。「The Experience Revolution: Digital Disappointment—Why Some Consumers Aren’t Fans(最新の顧客体験:デジタルへの不満‐なぜ一部の消費者を魅了できないのか)」と題された調査は、消費者の行動がテクノロジーの推移につれてどう変化するかを見極めるもので、今回が4回目。

ブランドが提供するデジタル体験に消費者が満足しない主な理由は、以下の通りだった。

1. 期待通りに機能しない
2. 使い勝手が悪い
3. 使いにくい
4. 理解しにくい

「調査で、消費者が現状に全く満足していないことが分かりました」と話すのは、IBMのインタラクティブ・エクスペリエンス・ディビジョンで戦略・デザインのグローバルリーダーであるロバート・シュワルツ氏。「企業の思惑と消費者のニーズとの間に大きな溝があったのです」。調査では企業幹部と消費者の双方に同じ質問をした。「ブランドが提供する新しいデジタル体験に、消費者はなぜアプローチするのか」。同氏はこの答えから企業のデジタル戦略の方向性を導き出せると考えていたが、結果は意に反して「驚くべきもの」だった。

双方が最大の理由として挙げたのは、「利便性」。だが、それ以外は全く異なる答えが出た。企業幹部が上位に挙げたのは、「より高度な操作をしているという実感」「デジタルへの好奇心」「1人で全てができることへの満足感」。これに対し消費者は、「手っ取り早さ」「すぐに結果が欲しいから」「操作が簡単になることへの期待」だった。

「これまで、社会との接点であるデジタルのチャンネルが減ることを極端に嫌がるクライアントもいました。しかしそういった人々も、自分たちの作りたいブランド価値や認識はデジタル経験では作り出すことができない、と気づき始めています」とシュワルツ氏。

更に、世代とデジタル体験の関連性についても企業幹部はあまり理解していないことが分かった。「年齢はデジタル体験と関わりがある」と答えた企業幹部は、半分以下の38%。一方、最新テクノロジーに心が踊ると答えた人々はミレニアル世代で63%、X世代(1960年代初めから1970年代生まれ)は48%、ベビーブーマー世代が39%。明らかに、世代による関心の違いがあった。

IBVのグローバルリサーチリーダーであるキャロライン・ヘラ―・ベアード氏は、企業がデジタル予算を決めるときには「何が消費者との価値あるインタラクションにつながるのか、よく考えるべき」だと言う。「大切なのは、これまでのインタラクションの欠点を克服し、消費者に全く新しい体験を提供できるかどうかということなのです」

(文:イライス・リフリング 翻訳:岡田藤郎 編集:水野龍哉)

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