Matthew Miller
2020年12月03日

コロナ禍の世界、広告費は630億ドル減

2020年の世界の広告費は前年比10.2%減、2019年のレベルまで戻るのは2022年 −− WARC(世界広告研究センター)が最新の調査結果を発表した。

2020年の広告費の減少(上)と2021年の増大(下)を国別に示した色分け地図。色が濃いほど大きな変化を示す
2020年の広告費の減少(上)と2021年の増大(下)を国別に示した色分け地図。色が濃いほど大きな変化を示す

WARCの調査報告書「Global Advertising Trends : State of the Industry (広告業界の現状)2020/21」によると、今年の世界の広告費は10.2%(634億米ドル)減、総額で5573億ドルになるいう。

前回、5月に発表された同報告書の予測(8.1%減)よりもさらに2.1ポイント悪化した。

2021年は6.7%増となるが、今年の減少分の59%を取り戻すに過ぎない。2019年のレベル(6206億ドル)まで戻るには、2022年にさらに4.4%の成長が必要と指摘する。

今年、米国大統領選挙で使われた49億ドル分を除けば、世界の広告費は11%(680億ドル)減。リーマンショックで613億ドル減(前年比12.9%減)となった2009年の減少額を上回る。

地域別の2020・2021年広告費予測

従来型メディアは記録的な減少

従来型メディアはすべての分野で広告費が減少。全体で19.7%(624億ドル)減で、総額2539億ドルになる。リニアTV(配信中の番組が流れる従来型のTV放送)は16.1%(299億ドル)減。

広告費全体の54.4%を占めるオンライン広告はほぼ横ばい(0.3%減)で、総額3033億ドルに。ITバブルがはじけた2000年以降で、今年は初めて成長が止まる。

映画とOOH(屋外)広告は今年大きなダメージを受けるが、来年はそれぞれ41.2%、20.2%増と急速な回復を遂げる。

今年最も伸びるのはソーシャルメディアで、9.3%増の983億ドル。来年はさらに12.2%の成長を遂げて1103億ドルとなり、全広告費のほぼ5分の1(18.6%)を占める。

着実な成長を遂げるオンライン動画は今年7.9%増の527億ドルで、来年はさらに12.8%増。ペイドサーチ(検索結果に連動して表示する広告)は今年若干減となるが、来年は回復して7.0%増、1306億ドルとなり、全広告費の5分の1を超える(22.0%)。

メディア別の2020・2021年世界広告費予測

「旅行」「自動車」が大きな痛手

自動車業界の広告費は今年21.2%(110億ドル)減で410億ドルに。この減少額は全業界の減少額の17.4%に相当する。小売業は16.2%減の543億ドル、旅行業界は33.8%(84億ドル)減の164億ドルとなる。

業種別の2020・2021年世界広告費予測

(文:マシュー・ミラー 翻訳・編集:水野龍哉)

フォローする

トップ記事と新しいキャンペーン情報

速報メールを受け取る

関連する記事

併せて読みたい

4 日前

世界マーケティング短信:WPPのCEOがディープフェイクの標的に

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2024年5月16日

パワーリスト2024:「APACベストマーケター50」に選ばれた日本人

Campaign Asia-Pacificが毎年、アジア太平洋地域(APAC)の傑出したマーケターを選ぶ「パワーリスト(Power List)」。今年は日本から5名が選出された。

2024年5月16日

パワーリスト2024:足立光 (ファミリーマート)

足立氏は、ファミリーマートで季節ごとのキャンペーンを主導。ブランド史上最高益を達成した。

2024年5月16日

パワーリスト2024:岡部義昭 (資生堂)

テクノロジーとマーケティングを融合させる岡部氏は、パーソナライゼーションと消費者エンゲージメントに焦点を当てた資生堂のイノベーションを牽引している。