Ryoko Tasaki
2023年9月08日

世界マーケティング短信:カンタス航空のCEOが早期退任

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

写真:Getty Image
写真:Getty Image

欠航便の航空券、販売を継続したカンタス航空

豪州の競争・消費者委員会(ACCC)はカンタス航空を、欠航が決まっていた航空券の販売を継続したとして連邦裁判所に提訴した。2022年5~7月に欠航があらかじめ決まっていた8,000便以上について平均して2週間以上、最長47日間に渡って販売を続けた。

さらに、10,000万便以上の航空券購入者に対して平均約18日間、最長で48日間も欠航の事実を通知しなかった。同社ではこの期間に、国内線ならびに国際線66,000便のうち、約4分の1にあたる約15,000便をキャンセルしている。

ACCC代表のジーナ・キャス・ゴットリーブ氏は声明で「欠航した便の航空券を販売し続け、航空券購入者に欠航の情報を伝えなかったカンタス航空の行為によって、顧客は代替便を手配する時間が減り、特定の時間の便を利用するために高い料金を支払った可能性があります」とコメント。「今回の提訴は、実際にフライトをキャンセルしたことに対する違反容疑ではなく、キャンセル後のカンタス航空の行為に関連したものです」。影響を受けた購入者の例が、ACCCのサイトに列挙されている。

同社は8月下旬にも、広告に表示されていた特別運賃での予約ができなかったとして、顧客がACCCに申し立てをしている。相次ぐ不祥事に、11月に交代予定だったアラン・ジョイスCEOは6日付で早期退任を発表した。

KFC、固定観念を想起させる屋外広告に批判が集まる

ケンタッキーフライドチキン(KFC)がカナダで、おなじみのフレーズ「It’s finger lickin’ good.(指をなめるほど美味しい)」をナイフやフォークにフォーカスして描いたユニークなキャンペーンを開始した。人々がチキンを手づかみで食べるため、使われなかった食器に対して謝罪をするという内容になっている。動画にはさまざまな人種や年齢の人物が登場する。

だが、このキャンペーンの屋外広告に登場するのはアフリカ系の人物のみで、これが差別的だと批判が集まることとなった。フライドチキンの起源は、米南部の奴隷たちにあるとされ、今も差別的な表現として用いられることがあるためだ。

同社の規模を考えると、キャンペーンの公開までに膨大な人数が携わり、何段階もの承認を得る必要があるものだ。今回のような問題が起こり得ることを、果たして誰も指摘しなかったのだろうか。CampaignはKFCと、制作を担当したカレッジ社(Courage)にコメントを求めたが、回答は得られていない。

大規模な事業も、アプリを使えば短期間で完成!?

「ローマは一日にして成らず」ということわざを覆す動画を、アマゾンが公開した。法人・個人事業主向けサービス「Amazonビジネス」の数量割引や購買を推奨する商品の優先表示、分析ツールを駆使し、古代ローマ人が効率よく建設していく。エージェンシーはジョイント(Joint)、制作はアウトサイダー(Outsider)。

【お知らせ】

未来のリーダーを選出する、Campaign Asia-Pacific主催のアワード「40 Under 40」。11回目となる2023年度のエントリーの、最終締切が9月14日(木)に迫りました。詳しくはこちら(英語)をご確認ください。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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