David Blecken
2017年10月06日

アマゾンがバーを出店、酒類の販売促進をねらう

アマゾンによるバー運営は、同社初の試みとなる。

アマゾンがバーを出店、酒類の販売促進をねらう

アマゾンは期間限定のバーを出店し、同社サイトで扱うアルコール商品の販売促進をねらう。

「アマゾン・バー」は10月20日から10日間限定で、銀座にオープンする予定だ。78席を備える店内ではカクテルやワイン、日本酒を提供する他、限定品や未発売商品の先行試飲もできると、同社は声明で発表した。

店内にはメニューが無く、おすすめのお酒をお薦めする形式。同社は、実店舗の書店を出店した経験はあるが、バーをはじめとする娯楽施設は今回が初めてとなる。この企画の構想自体は興味深いとしながらも、プロモーションがほとんどされていないことを指摘するのは、ピュブリシス・ワン・ジャパンのコンテンツプロダクション責任者であるブレンダン・クラヴィッツ氏だ。同氏は第三者の視点から、バーについて紹介するサイトはもっと魅力的なものにできるはずと考えており、「見た人を惹きつけるウェブサイトを用意するなど、このイベントをもっと盛り上げていくためのリソースや予算がアマゾンにはあると、普通だったら考えますよね?」とコメントした。

アマゾンの日本市場での売上高は、米国、英国、ドイツに次ぐ4位で、これら4市場の収益は全体の9割超を占める。日本はアルコール消費量が多い国の一つだが、その消費量は減少傾向にある。大きな部分を占めるビールですら、高齢化や、若者世代の健康志向の高まりの影響を受け、消費量は減少している。

一方、ここ10年間で大幅な伸びを見せているのはワイン(55%)とウイスキー(34%)だと、国税庁の調査は明らかにしている。

同社は他にも、配送サービスを米国で試験中だといわれており、UPSやフェデックスと競合していくこととなる見通し。

Campaignの視点:
アマゾンがバーを運営するとは予想外の展開だが、酒類販売のみならずアマゾンブランドの訴求において効果的だと考えられる。銀座という立地も良い。特設サイトは特筆すべき出来栄えというわけではないが、もしかしたら店舗オープンまでの間に発表を考えている情報が、他にもあるのかもしれない。店舗オープン後、より詳細な内容をお届けする予定。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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