Tyler Brindamour
2024年5月08日

ソーシャルメディアでユーモアを発揮するには、文化盗用に用心を

オーディエンスとのつながりを求めるブランドは、真正性さに欠ける言葉を使わないように――。アレン&ゲリッツェン(Allen & Gerritsen)のPRアソシエイト、タイラー・ブリンダムール氏はこのように説く。

Photo: Getty Images
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* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

面白さを表現するには、まず誰を楽しませようとしているのかを理解しなければならない。コメディーは絆を深める上で要となるもので、オーディエンスとの関係性の質や距離感、そして支持の証といえる。

そもそも、信頼できない相手と心から笑い合う人がいるだろうか?

ニールセン(Nielsen)によれば、ユーモアは欧米の視聴者に最も強く響く広告テーマであり、その傾向はますます強まっている。しかしユーモアを使いこなすのは、思いのほか簡単ではない。よくブランドは親近感を持たせることで笑いをとろうとするが、これが常に成功するとは限らないのだ。

この問題の根源は、ブランドが無理に取り入れようとする言葉づかいにある。私が2年ほど前に個人のTikTokを削除したのは、プラットフォーム上の多くのブランドが、同じような言葉を使おうとしていたからだ。多くのブランドが自分たちをクールで流行の最先端をいくユーモラスな存在に見せようと、Z世代のスラングを誤用したり、AAVE(アフリカ系米国人の特徴的な英語)やLGBTQ+用語を下手にリブランディングしたりしていた。

スプラウト・ソーシャル(Sprout Social)の調査では回答者の65%が、平均的なソーシャルメディアマネージャーは白人だと考えている。つまり、ブランドが親近感を持たせようとしてメッセージにAAVEを使うと、警戒心の強いZ世代のオーディエンスは、その企業が黒人の人材によって経営されているのか疑問視するというのだ。

つながりを築こうとするブランドにとって、真正性に欠ける言動はリスクがある。EY社のレポートによるとZ世代の92%は、真正性が何よりも重要であると回答している。またBBCの調査では回答者の71%が、オーセンティック(真正)だと認識したブランドについて肯定的に話す傾向があることが分かった。

ブランドのソーシャルメディアでの存在感は、ブランド戦略の一部ではあるものの、他のチャネルと大きく異なるものであってはならない。一貫性のないブランドボイス(そのブランドらしいコミュニケーションスタイル)が生み出すのは、一貫性のないブランド体験だ。

では、特にソーシャルメディアにおいてユーモアを戦略に組み込みたい場合、ブランドは何をすべきなのだろうか?

強力なブランド戦略には、コミュニティーマイニング(一般にソーシャルリスニングとして知られる)で明らかになったオーディエンスのユニークな洞察やニュアンスを活用する必要がある。得た洞察のすべてが価値を生み出すとは限らない。だが、取り組みを実施すべき時期か否かをデータから知ることは、同じくらい重要だ。

デュオリンゴ(Duolingo)は、ソーシャルリスニングを効果的に活用した面白い成功例だ。ソーシャルメディアユーザーが投稿する公式マスコット関連のミームやコンテンツに応答することで、自分たちらしいブランドボイスと、ユーモアに対する受け手側のインサイトのバランスをうまくとっている。最近ではエイプリルフールに「デュオリンゴ・オン・アイス」という動画を公開した。

ブランドはユーモアを通じてつながりを構築し続けるため、自分たちらしいイメージや、オーディエンスにとって何が適切かを、ソーシャルインサイトを利用して判断する必要がある。

今、何が求められているのか? それはオーディエンスを理解すること、そしてソーシャルメディア戦略がブランドボイスのすべてではなく一部であると認識することだ。

では、何が「格好悪い」とされているのか? それは、質よりも量を優先したオーセンティックでないメッセージや、AAVEやLGBTQ+スラングの誤用などによって、ブランド力や品質を高めるメッセージングを犠牲にすることだ。


タイラー・ブリンダムール氏は、アレン&ゲリッツェン(Allen & Gerritsen)のPRアソシエイト。

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