Emmet McGonagle
2020年6月05日

「ブラック・ライブズ・マター」 声を上げるブランド

米・ミネアポリスで白人警官が黒人男性を死なせた事件に対する抗議行動が全米を席巻している。多くのブランドも、いち早く声を上げた。

ナイキのスポットCMより
ナイキのスポットCMより

ナイキ、アディダス、ベン&ジェリーズ(アイスクリームチェーン)といった著名ブランドは先週末、全米に広がる「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事)」運動を支持する姿勢を鮮明に打ち出した。

黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官によって殺された事件をきっかけに、人種差別主義に対する抗議行動は世界各地に広がる。

米国では「人種的マイノリティーへの暴力をやめよ」と訴えるデモ隊に対し、警察がゴム弾や催涙ガスで対抗。25都市で夜間外出禁止令が出されたが、抗議の勢いは止まらない。

こうした状況の中、多くのブランドが「ブラック……」運動への賛意を明確にした。

ナイキは字幕だけの力強いスポットCMを公開。同社の有名なキャッチコピーを逆手に取った「Don’t do it」という言葉で始まり、慣習化した人種差別をなくす「変革に参加」し、「事態を静観せず、沈黙するな」と訴えかける。制作はワイデン+ケネディ。

ライバル社のアディダスはいち早くこのCMに支持を表明。「連帯こそ前進。連帯こそ変革を生む」という言葉を添え、ツイッターでCMをシェアした。

2014年にミズーリ州ファーガソンで起きた白人警官による黒人少年射殺事件以来、「ブラック……」運動を公然と支持するベン&ジェリーズは、今回も重厚な声明を発表。

人種に起因する不正は「まさしく現代における公民権と社会正義を揺るがす問題」であり、すべての人々が「蔓延・慣習化した人種差別と取り組む必要がある」。そして、「すべての命が大切。しかし、黒人の命が尊ばれなければそれは実現しない」と訴えた。

また、いくつかのブランドはロゴマークを変更して抗議運動への支持を表明。グーグルは米国内向けホームページに黒いリボンを添えて、メッセージを付記。サンダー・ピチャイCEOは「人種間の平等、そしてそれを実現しようとするすべての人々を支持する」というメッセージとともに、このロゴをツイッターで拡散した。

ベン&ジェリーズがツイッターに投稿したメッセージ


ツイッターはハッシュタグ「#ブラック……」を追加し、ロゴマークを白黒のヴァージョンに。同社は先週、トランプ大統領の投稿に対し「暴力を美化している」と警告を発した。

ネットフリックスもツイッターを通して自社の立場を表明、人々に声を上げ、変革を起こすよう呼びかけた。「沈黙は人種差別への加担を意味する。我々にはプラットフォームがあり、黒人のメンバーや従業員、クリエイター、そして才能ある人のために声を上げる義務がある」。

アマゾンは黒人アーティストや作家、プロデューサーたちの果たす役割を称え、「黒人コミュニティーと連帯し、人種差別や不正に対して共に闘う」と発表。

ネットフリックスのメッセージ


ディズニーも、「我々の仲間である黒人従業員、ストーリーテラー、クリエイター、そしてすべての黒人コミュニティーの人々を支持する」と表明した。

(文:エメット・マクゴナグル 翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign UK

関連する記事

併せて読みたい

21 時間前

クリエイティブマインド : メリッサ・ボイ(MRMジャパン)

気鋭のクリエイターの実像に迫るシリーズ、「クリエイティブマインド」。今回ご紹介するのはMRMジャパンのシニアアートディレクター、メリッサ・ボイ氏だ。

22 時間前

世界マーケティング短信: TikTok米事業、売却か撤退か?

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

1 日前

ブランドがパロディー動画に乗り出す理由

エンターテインメント要素のあるストーリーテリングは、消費者からの注目を集めると同時に、ブランドに創造的な自由を与える。

1 日前

生成AIは、eメールによるカスタマーサポートをどのように変えるか

従来のチケット管理システムでは、現代の顧客からの期待に応えられない。企業はAIを活用してeメール戦略を洗練させ、シームレスな顧客体験を提供する必要があると、イエロー・ドット・エーアイ(Yellow.ai)のラシッド・カーン氏は主張する。