Ryoko Tasaki
2021年5月13日

世界マーケティング短信:デジタル広告の透明性向上へ

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:デジタル広告の透明性向上へ

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
 

カンヌライオンズ、創造的な広告主としてマイクロソフトを称える

カンヌライオンズの「2021年クリエイティブ・マーケター・オブ・ザ・イヤー」に、マイクロソフトが選ばれた。「勇敢かつ革新的な作品を、何十年にもわたり一貫して制作してきたこと」が、選出の理由。カンヌライオンズのライブ配信(6月21~25日)にて授与される。

 

アドベリフィケーション、漫画で分かりやすく

インテグラル・アド・サイエンス(IAS)が、デジタル広告の透明性と健全性を高めるために必要な広告検証の仕組み「アドベリフィケーション」の理解を助ける漫画を公開した。主人公はメーカーの若手デジタル広告担当で、デジタル広告にまつわるさまざまな問題に取り組んでいくというもの。サイトから無料でダウンロードできる。

アドベリフィケーションへの認知は高まっているが、具体的な内容や取り組みに至るまで正しく理解できている人は多いとはいえない。先日発表されたレポートでも、日本の広告詐欺対策が世界から取り残されていることが浮き彫りになった。3月には、デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)も設立した。

 

アップルの新OS、データ追跡を承認したユーザーは1割程度

アップル社が4月26日にリリースしたiOS14.5は、アプリケーションによるトラッキングの透明性が向上。アプリが、アプリやウェブサイトを通じてユーザーデータを追跡する際に、ユーザーから事前に許可を得る必要がある。昨年6月に発表された計画がいよいよ導入となったわけだが、オプトイン(承諾)をする人の割合を調べたところ、米国のiPhoneユーザーの約4%であったとアプリ分析会社「フルーリー(Flurry)」が発表した。グローバルでは約11%。

 

ソフトバンク、マレーシアのAIスタートアップと提携

ソフトバンクは、マレーシアに拠点を置くアシアタ・デジタル・アドバタイジング(ADA)と資本・業務提携し、約6,000万米ドルを出資する。ADAはアジア最大級の通信事業者であるアシアタ・グループの傘下で、データとAI(人工知能)をベースにした総合デジタルマーケティング事業をアジア9カ国で展開している。この提携によってソフトバンクは、デジタルマーケティング事業のアジア展開を加速させる。

 

アクティブシニア、コロナ禍でオンライン活用

趣味や交流を楽しむ活動的なシニアは、このコロナ禍でオンラインでの行動を進化させていることが、博報堂と趣味人クラブシニアコミュニティラボの調査で明らかになった。調査対象は、シニアを対象としたSNSコミュニティーサイト「趣味人クラブ」の会員(60~94歳)。

無料の動画を見る(2020年は27.6%→2021年は39.6%)や、ネットショッピングする(12.9%→30.0%)が大幅に増加した他、友人や家族との会話にメッセンジャーアプリ(10.6%→16.3%)やWeb会議ツール(2.3%→11.9%)を使う人が増えている。

情報収集源としてはテレビ(92.3%)、インターネットニュース(78.9%)、新聞(68.3%)が主力であった。孤独感をやわらげる助けになっているものとして最も多かったのはテレビ・動画・本など(58.7%)で、メッセンジャーアプリやメール、SNSがこれに続く。

 

適切なインテリアデザインで、不要なドラマ化を避ける

インテリアデザインを手掛けるインドのスタートアップ企業「リブスペース(Livspace)」が、シンガポールでのローンチに際して動画を公開した。インテリアデザイン会社の選び方を間違えると、デザインやフィッティングの悪さ、リノベーションの不手際などがイライラを誘発し、ホラーやカンフー、韓流ドラマ、ロマンスといったドラマ風の展開になってしまうという4部作だ。企画・制作はシンガポールのクリエイティブブティック「ソサイエタル(Societal)」、プロダクションはマレーシアの映像制作会社「タンカーズ・マレーシア(Tankers Malaysia)」。

 

【お知らせ】

Campaign Asia-Pacificは、アジア太平洋地域(APAC)で強い影響力を発揮するマーケターを選出する「パワーリスト2021」の推薦を受け付けています。締切は5月17日(月)。


(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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