Ryoko Tasaki
2020年10月30日

世界マーケティング短信: 一人ひとりの選択が変えるもの

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信: 一人ひとりの選択が変えるもの

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

CMOが求めるのは、プロアクティブな提案と時間短縮

Campaign Asia-PacificとR3による「CMOアウトルック」で、アジア太平洋地域のマーケティング責任者(CMO)はエージェンシーからのプロアクティブ(積極的)なアイデア提案を期待していることが分かった。この調査は90名のマーケターを対象とし、さらに10名のトップマーケターにはインタビューを実施したもの。パンデミックの影響でCMOの予算は大幅に削減されており、2~5割減と回答したマーケターは33%、5割以上減らされたマーケターは20%に上る。一方で、CMOはチームやエージェンシーの極端な変更を望んでいないことも明らかに。特にクリエイティブエージェンシーやブランドエージェンシーを変えたいと考えるマーケターが大幅に減った。

COVID-19によって、消費者の動向が大きく変わった。「我々が求めているのは、実施までの時間の短縮、より短い承認プロセス、そしてアライメント(調整)のスリム化です」と語るのは、バリラのアジア・アフリカ・豪州担当マーケティングディレクター、ウン・イーペン氏。同氏によると、COVID-19の6カ月前にはエディトリアルコンテンツの年間予定が決まっていたが、「今では2週間ごとに変え、新しいコンテンツも常に開発しなくてはなりません」。

 

ナイキ、投票を促すキャンペーンを開始

いよいよ来週に迫った米大統領選に向けて、ナイキが投票に行くよう若者に促すキャンペーンを実施中だ。同社はこれまでコリン・キャパニック選手(アメフト)やレブロン・ジェームズ選手(バスケットボール)など、社会問題に声を上げるアスリートを積極的に起用してきたが、今回の動画のメッセージは「発言するのに、スターである必要はない」。制作はワイデン+ケネディ ポートランド。

特設サイトには最寄りの投票所の場所や、州ごとに異なる期日前投票のルールなどを調べるコーナー、「2018年の中間選挙で投票しなかった若者は3分の2」などと訴求するグラフィックなどが用意されている。

 

電通、中国で巨大アカウントを相次いで獲得

電通は、マクドナルドの中国でのメディアバイイングを担当することとなった。10年以上にわたり、オムニコム傘下のOMDがメディアプランニングもバイイングも担当してきたが、メディアプランニングは今年5月にピュブリシスが獲得。5月以降のメディアバイイングをどの広告会社が担ってきたのかは明らかにされていない。中国本土を除くアジア太平洋地域において、OMDは引き続きマクドナルドのメディアエージェンシーの地位を維持する。

電通は、同じく中国でネスレのアカウントも先日獲得している。同社のメディアエージェンシーは、2018年よりマインドシェアだった。

 

インターパブリック、IPG DXTRAを立ち上げ

インターパブリックグループ(IPG)は、ウェーバー・シャンドウィック、ゴリン、オクタゴン、ジャック・モートン、フューチャーブランドを中心とする28のエージェンシーの共同体「Constituency Management Group(CMG)」を、IPG DXTRAと改めた。PR、スポーツ&エンターテインメント、

ブランディング、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開していく。CEOに就任したのは、2012年よりウェーバー・シャンドウィックのCEO、昨年7月からはCMGのCEOを務めたアンディ・ポランスキー氏。

 

スパイクスアジア、エントリー受付開始

スパイクスアジアの2021年度のエントリー受付が開始された。今回は審査も含め、すべてオンラインで行われる予定とのこと。エントリー締切は1月21日(早期エントリー締切は12月10日)、発表は2月。

(文:田崎亮子)

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Campaign Japan
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