David Blecken
2017年7月20日

米国の巨人たちが楽天から学ぶもの

楽天とホームアウェイの提携は、フェイスブックのような企業にとって、イノベーションの先駆けになり得るか。ブランディングの専門家は問う。

イメージ:楽天LIFULL STAY
イメージ:楽天LIFULL STAY

楽天とホームアウェイが提携し、日本の民泊市場に参戦することが先日発表された。このことがフェイスブック、アマゾン、イーベイ(eBay)などに良い刺激を与えるのではないかと、ブランド戦略を専門とするコンサルティング会社「プロフェット」 のパートナー、アラン・ケーシー氏は話す。

楽天の民泊事業参入への意欲は、「同社のユーザー層を活用し、広告事業から一歩踏み込んで新たな収益源とすること、そして同社の位置付けをライフスタイルやライフパートナーの領域にまで広げることができる素晴らしい一例」とケーシー氏は見ている。

「例えばフェイスブックには膨大な数のアクティブユーザーがいますが、その収益は、ユーザーにあまり価値をもたらさない広告によるものがほとんど。このような企業が楽天を見習い、多様なサービスを提供するようになれば、自らのブランド資産を担保にした大きな利益を、新たに得ることができるでしょう。そのために他社と組む方法もありますが、フェイスブックに求められるのは信用できるプラットホームとしての役割、さらには将来的に、WeChat(微信)が中国で成し遂げたようなポジションを築くことです」

楽天LIFULL STAYとホームウェイの提携事業の成功の鍵は、民泊事業の存在を広く知らしめること、そして「卓越したダイレクトマーケティング機能を生かして、国内需要を呼び起こすことに尽きる」とケーシー氏。

楽天の担当者によれば、消費者向けのプロモーションは当面のところ予定していない。まずは不動産事業者や土地所有者に対し、民泊事業への関心を高め、理解を深めてもらうためのセミナーから始めるとのことだ。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:岡田藤郎 編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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