Rahul Sachitanand
2021年2月18日

TikTok大幅改善、SNS各社のメディア責任指数スコアが大きく向上

IPGメディアブランズが定期的に発表しているメディア責任指数で、TikTokを筆頭にソーシャルプラットフォームのスコアが軒並み向上した。だが、彼らが取り組むべきことはまだまだ多い。

TikTok大幅改善、SNS各社のメディア責任指数スコアが大きく向上

IPGメディアブランズが発表した最新のメディア責任指数は、エージェンシー子会社のリプライズ・デジタル(Reprise Digital)が2020年下半期に測定した結果をまとめたものだ。それによると、大手ソーシャルプラットフォームによるメディア責任原則の遵守状況は、測定対象となっている10項目の原則のほとんどで向上し、指数は上半期から平均11ポイント上昇した。

このメディア責任指数調査は、2020年8月に公開された2020年上半期のメディア責任指数調査に続くものだ。

調査に参加したプラットフォームは、フェイスブック、インスタグラム、ピンタレスト、Reddit、Snapchat、TikTok、Twitch、ツイッター、およびユーチューブで、ソーシャルメディアコミュニティで活動している世界中のユーザーの大半をカバーしている。また、前回の指数との差が大きいプラットフォームは、それだけ向上幅が大きかったことを示している。

前回の調査から最も大きくスコアを伸ばしたのはTikTokだった。同社は、3番目の“多様性と代表性”の原則でスコアを大幅に改善した。前回の調査では、同社はこの原則に関する十分な公開データを提供できずにいた。さらにTikTokは、サードパーティとのブランドセイフティなパートナーシップや「ポリシーの実施」に関する原則でも大幅な向上を見せた。

「直近の四半期に業界のプラットフォームパートナーの“説明責任”と“敬意の向上”原則に関するスコアが大きく向上に転じたのは心強いことだ」と、IPGメディアブランズでAPAC(アジア太平洋地域)担当CEOを務めるリー・テリー氏は言う。「これは、ブランドやコミュニティに貢献するために、より適切かつ安全で、責任ある環境を構築しようと共同で取り組む動きが続いていることを示している」

最も大きな向上が見られたのは、“敬意の向上”と“説明責任”に関する原則だった。また、“ヘイトスピーチの排除”と“誤情報/偽情報の排除”でも、多くのプラットフォームで取り組みの改善が見られた。この原則は、共通の基準を設ける必要性が示されたことを受けて、IPGメディアブランズが制定したものをアメリカ広告業協会(4A)が公式に採用したもので、メディア責任を統括する業界団体である「グローバル・アライアンス・フォー・レスポンシブル・メディア(GARM)」もこれを支持している。

「私たちは、メディア責任指数が新たなランキング制度としてではなく、有益なツールとしてソーシャルプラットフォームから歓迎されることを信じ、この指数を開発した」と、リプライズでソーシャル担当グローバル責任者を務めるイライジャ・ハリス氏は言う。「今回発表された結果は、プラットフォーム各社が、私たちの行動を促す呼びかけに応え、広告業界と私たちが住む世界により良い未来をもたらすべく力を合わせ、迅速に動いたことを示している」

声明によると、ソーシャルメディアプラットフォーム各社は、自社のフィード環境を管理できる機能を強化しており、ユーザー生成コンテンツ(UGC)の管理を重要な目標とみなしている。Snapchatを運営するスナップ(Snap)とユーチューブは、2021年初めにもUGCの管理機能を強化できるとの見通しを明らかにした。他のプラットフォームも、2021年中にUGCの管理機能や管理ツールを強化すべく力を入れていくと述べている。

今回の調査において、上記の変化のように、プラットフォーム各社にプレッシャーをかけ、説明責任の文化を構築することは効果的ではありつつも、まだまだ彼らがなすべき仕事が多いことが明らかになっている。消費者、広告主、規制当局の誰もが、大手ソーシャルプラットフォームに多くに対し、さらなる管理機能の強化と取引の透明性の向上を求めているのだ。今回の結果からはプラットフォームの改善や強化が続けられていることが示されてはいるが、今でもステークホルダーの多くが、さらなる取り組みと透明性の強化によって、マーケティング活動がよりメディアの原則に合わせて行われるようになることを待ち望んでいる。

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