
アセンシャル社が11月にロンドンで主催するアワード「ユーロベスト」に、WPPが参加を取りやめる意向であることが明らかになった。カンヌについても、今後どのように関与していくかを運営側(アセンシャル社)と協議中だという。
AdWeekが入手した電子メールによると、広告界最大のアワードであるカンヌにWPPグループが今後も参加するのか否かは、マーティン・ソレル氏(WPPグループCEO)とジョン・オキーフ氏(同ワールドワイド・クリエイティブ・ディレクター)が近々予定している、アセンシャル社CEOダンカン・ペインター氏との会合の行方次第だ。
WPPがカンヌに求めるのは、増えすぎたカテゴリーの整理と、フェスティバル期間の短縮だとされている。
AdWeekが引用したオキーフ氏の電子メールには、ユーロベストは「本質から目をそらさせる高額なイベント」だと書かれている。
しかしオキーフ氏がユーロベストへのエントリーを控える意向を表明した後も、WPPグループからは審査員や講演者が予定され、さらには117作品の応募もあった。
ソレル氏はオキーフ氏のメールへの返信の中で、社員の列席や作品のエントリーを即座に取りやめるよう指示している。
今年のカンヌ終了後、ピュブリシスが「来年は広告賞に参加しない」と発表。その直後にソレル氏はCampaignのギデオン・スパニエに、「カンヌは金儲けに走っており、本筋を見失っている」と語った。エントリー費用の高さを疑問視する声は、ソレル氏の周りで多く聞かれたという。
「6月にカンヌに行くというのが、果たしてふさわしいことなのか。再考するべき時期なのだと思います」とソレル氏。この件は、オムニコムのトップ、ジョン・レン氏とも議論したのだという。
このような動きを受けて、カンヌは「フェスティバルの将来の方針を決めるため」に、P&Gやユニリーバのマーケティング責任者などからなる諮問委員会を発足させている。
(文:エミリー・タン 翻訳・編集:田崎亮子)