Emily Tan
2017年10月02日

WPP、カンヌライオンズ不参加を示唆

世界最大の広告会社であるWPPがカンヌライオンズに望むのは、カテゴリー数の削減と開催期間の短縮だ。

マーティン・ソレル氏
マーティン・ソレル氏

アセンシャル社が11月にロンドンで主催するアワード「ユーロベスト」に、WPPが参加を取りやめる意向であることが明らかになった。カンヌについても、今後どのように関与していくかを運営側(アセンシャル社)と協議中だという。

AdWeekが入手した電子メールによると、広告界最大のアワードであるカンヌにWPPグループが今後も参加するのか否かは、マーティン・ソレル氏(WPPグループCEO)とジョン・オキーフ氏(同ワールドワイド・クリエイティブ・ディレクター)が近々予定している、アセンシャル社CEOダンカン・ペインター氏との会合の行方次第だ。

WPPがカンヌに求めるのは、増えすぎたカテゴリーの整理と、フェスティバル期間の短縮だとされている。

AdWeekが引用したオキーフ氏の電子メールには、ユーロベストは「本質から目をそらさせる高額なイベント」だと書かれている。

しかしオキーフ氏がユーロベストへのエントリーを控える意向を表明した後も、WPPグループからは審査員や講演者が予定され、さらには117作品の応募もあった。

ソレル氏はオキーフ氏のメールへの返信の中で、社員の列席や作品のエントリーを即座に取りやめるよう指示している。

今年のカンヌ終了後、ピュブリシスが「来年は広告賞に参加しない」と発表。その直後にソレル氏はCampaignのギデオン・スパニエに、「カンヌは金儲けに走っており、本筋を見失っている」と語った。エントリー費用の高さを疑問視する声は、ソレル氏の周りで多く聞かれたという。

「6月にカンヌに行くというのが、果たしてふさわしいことなのか。再考するべき時期なのだと思います」とソレル氏。この件は、オムニコムのトップ、ジョン・レン氏とも議論したのだという。

このような動きを受けて、カンヌは「フェスティバルの将来の方針を決めるため」に、P&Gやユニリーバのマーケティング責任者などからなる諮問委員会を発足させている。

(文:エミリー・タン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign UK

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