Cindy Gu Rahul Sachitanand
2020年1月21日

アリババ、五輪の「デジタル変革」を目指す

東京2020大会に向け、新たなロゴを発表したアリババグループ。CMOのクリス・タン氏が、成田空港に設置するデジタルアートインスタレーションやマーケティング戦略について語った。

クリス・タンCMO。成田空港のアリババクラウドギャラリーの前で
クリス・タンCMO。成田空港のアリババクラウドギャラリーの前で

五輪のワールドワイドパートナーであるアリババグル ープが、成田空港に「アリババクラウドギャラリー」 を設置すると発表した。また、国際オリンピック委員 会(IOC)とのパートナーシップ締結3周年を記念し た新たなロゴも発表(下参照)。アリババのテクノロ ジーで五輪と若者世代をつなぐという同社の今年のテーマを象徴するものだ。

日本の新進アーティストたちとの新たなクリエイティブキャンペーンは、日本の玄関口・成田空港に降り立つ旅行客に強い第一印象を与えようというのが狙い。第1、第2ターミナルの9つの通路に設けられるデジタルスクリーンでアーティストの作品が展示される。


「アリババクラウドギャラリーは、五輪を機に世界中から訪れる観光客のエクスペリエンスを高めるための初の試み」と話すのは同社CMOのクリス・タン氏。アリババクラウドのテクノロジーによるビジュアル素材の処理で、従来型のグラフィックアートが生き生きと、ダイナミックに変貌。クラウドコンピューティングのトランスフォーメーションで、平面的なペインティングを動画にすることが可能になった。

新たなロゴは、クラウド技術とeコマースに関する知見でオリンピックをサポートするという同社の「使命」を表現。若い世代に大会をより魅力的、かつ身近に感じてもらおうという取り組みだ。

このキャンペーンは3月からスタートし、来年3月末まで。一連のデジタルアートは日本の文化や歴史の様々な側面を描き出す。アスリートの活躍とともに、アリババクラウドのテクノロジーで大会が素晴らしいものになるように、との思いが込められる。

「世界中からの訪日客が成田空港に足を踏み入れた途端に、日本文化の魅力やアーティストの創造性、東京2020大会の雰囲気を感じることができる」と話すのは東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総長の古宮正章氏。「アリババが日本的要素を取り入れてさらなるイノベーティブな取り組みを行い、世界に向けて最もエキサイティングな『五輪エクスペリエンス』を示してくれることを期待しています」。

アリババにとって五輪は、マーケティングとテクノロジー、両面における長期投資の対象。同社のECサイト「Tモール」のオリンピックストアでは商品の販売だけでなく、コンテンツやショート動画もフィーチュアする。さらにクラウドの活用で、2022年北京冬季オリンピック大会のチケット購入も可能に。「アリババによる五輪のデジタル変革こそ、最善のマーケティングなのです」とタン氏。


キャンペーンに参加する木ノ内憲子氏の作品

「アリババクラウドのテクノロジーを活用したこのエキシビションで、より多くの人々に我が社のクラウドインフラストラクチャーのパワーとアーティスティックな可能性を感じていただきたい」


同じく、木ノ内憲子氏の作品 

(文:シンディー・グー、ラウール・サチタナンド 翻訳・編集:水野龍哉)

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