Kate Magee
2020年10月16日

バイロン・シャープ氏が語る、COVID-19への最も賢明な対応が「広告出稿停止」だった理由

「COVID-19に関連するブランドメッセージに消費者が興味を持つだろうというマーケターの考えは“恥ずかしいほど傲慢だ”」とシャープ氏は話した。

シャープ氏:ロックダウン中にマーケティングを一時停止したコカ・コーラを称賛
シャープ氏:ロックダウン中にマーケティングを一時停止したコカ・コーラを称賛

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するブランドの最善の対応は、広告出稿を止めることだった。バイロン・シャープ(Byron Sharp)氏は自著『How Brands Grow: What Marketers Don't Know(邦題:ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11 朝日新聞出版)』の10周年を記念したCampaignのインタビューでそう語った。

シャープ氏はCOVID-19に関するメッセージを発したブランドを酷評し、ブランドがCOVID-19について語る内容に消費者が興味を持つだろうというマーケターの考えは“恥ずかしいほど傲慢だ”と断じた。

一方でシャープ氏は、ロックダウン中の3か月にわたり、英国におけるマーケティング支出を停止したコカ・コーラを称賛した。「エージェンシーに駆け込んで『COVID-19に関連する広告を用意すべきだ』と要求するより、はるかに良いと思う。静観すれば、節約にもなる」

シャープ氏は、南オーストラリア大学のマーケティングサイエンス教授で、同大学のアレンバーグ・バス研究所のマーケティングサイエンスディレクターを兼任しており、氏が2010年に出版したこの著書は、世界の広告業界に多大な影響を与え、マーケティング部門とマーケティング哲学の再考につながった。シャープ氏は著書の中で、ブランドが成長するには、既存顧客に支出を増やすよう働きかけるより、できる限り多くの顧客を獲得することを最優先すべきだと言い、そのためには、特徴的で記憶に残るブランドを創造することに加え、幅広い層をターゲットにしたマスマーケット向けのコミュニケーションが必要だと主張している。

この10年で社会が移り変わり、メディアを取り巻く状況は絶えず進化し、COVID-19も到来したが、マーケティングの基本は依然として同じだとシャープ氏は話す。

シャープ氏は、マーケティングに関する自身の考え方をアイザック・ニュートンの万有引力の法則になぞらえ、どちらも変わることのない科学原理だと主張する。マーケターは短期的な変化に気を取られるがあまり、大きなトレンドを見落としていると述べ、「何かが根本的に変わったと言い続けるペテン師には注意すべきだ。消費者は極めて習慣的であり、以前の暮らしを好み、それを取り戻したいと望んでいる」と、シャープ氏は続けた。

シャープ氏は迫り来る景気後退について、マーケターがパニックを起こさないよう助言する。旅行など特に影響の大きいカテゴリーでない限り、過去の景気後退のデータは、購買習慣は大きく変化しないと示唆している。「景気後退はスーパーマーケットで売られているものにはあまり影響を及ぼさない」と、シャープ氏は言う。

以下は、Campaignによるシャープ氏へのインタビュー抜粋だ。
 

代表作「ブランディングの科学」の出版から10年が経過しました。この期間に変わったことはありますか?

その質問は、万有引力の法則はまだ有効かと聞くようなものです。残念ながら、マーケターは今週起きていることに気を取られてしまっており、大きなトレンドを完全に見落としています。グローバルマーケターの立場になって、その生涯で最も大きなトレンドを考えるならば、過去100年間で驚くほどの富が蓄積されたことでしょう。それ以前は、全人口の99.9%が絶対的貧困にあるのが当たり前でした。景気後退局面においては変に聞こえるかもしれませんが、やはり、この10年間を振り返ると、富の蓄積が最大の変化だったと言えるでしょう。

それがマーケターの仕事の意味なのです。富の増加は貧しい国に対し最も大きな変化をもたらしますが、豊かな国にも高級ビールやワイン、資産運用サービスなどの増加をもたらします。人々の寿命は延び、教育水準も高くなっています。これらは大きなトレンドです。

さまざまな新しいメディアについてもよく質問されますが、『ブランディングの科学』が出版された2010年の時点で、インターネットはすでに成熟したメディアでした。私たちがこの10年間に見てきたことは、新しいメディアが現れるたびに起きること──つまり、よりシンプルになるという傾向です。新しいメディアが現れると、選択肢が急に増えるせいでマーケターは複雑になったと感じますが、その後には整理統合が進みます。

今では、オンラインメディアの世界は驚くほどシンプルです。全(広告)支出の半分を占めるのがグーグル検索。残りの半分を分け合うのが、実質的に世界規模のテレビ局であるグーグル傘下のユーチューブと、フェイスブック、インスタグラム、グーグルアドネットワーク等のディスプレイ広告です。あとはテレビ、新聞、雑誌などの伝統的なメディアくらいで、これらもオンライン化されましたが、紙面からスクリーンに移動しただけです。つまり、本が出版されて以降、メディアの世界はむしろよりシンプルになっているのです。
 

著書の内容で最も誤解されていると思うことは?

賢いマーケターが正しく読み取ったメッセージは、顧客基盤を拡大することなしには、持続可能な本物の成長を望むブランドを育てることはできないという事です。B2Bマーケティングの業界にいる人なら、容易に理解できるでしょう。例えば、広告エージェンシーなら、顧客を増やさなければ成長できないと分かっています。しかし、消費財メーカーの場合はもう少し複雑です。

読者が少し難しいと感じたのは、ごくたまにしか買わない人にリーチすることでシェアを拡大するという部分かもしれません。これは新規顧客の獲得に言及しているのではありません。もちろん、特定のカテゴリーの商品を初めて買う人など、新規に獲得できる顧客も確かに存在します。しかし、コカ・コーラのような企業にとっての「新たな顧客」とは、それとは異なり、コーラを飲んだことはあるが、3~4年に1度しか買わない人のことです。成長の大部分は、そうした顧客にさりげなく訴求し、ほんの少しロイヤルティを高めてもらうことで実現します。

別の誤解もあります。『ブランディングの科学』には、ロイヤルティなど存在しないと書かれていると言う読者もいます。しかし実際にはあるページに、私たちがあらゆるカテゴリーにおいて目にする基本的要素のひとつがロイヤルティだ、という引用があります。(サーチ&サーチ[Saatchi & Saatchi]のCEOだった)ケビン・ロバーツ(Kevin Roberts)氏が言う「ブランドに恋する」ようなロイヤルティのことではありません。私たちの大半はお気に入りのリストを持っていて、前に買ったことのあるブランドに何度も立ち戻ります。私たちは自分で思うほど、好奇心旺盛でも挑戦的でもないのです。

COVID-19の話題に移りましょう。このような異常な時代に突入し、消費者は以前より気まぐれになり、新しいブランドを試しているという調査結果が公表されてきました。例えばマッキンゼーのレポートでは、米国の消費者の36%が初めての商品を試しているといいます。在庫切れのせいで別の商品を買った可能性があるものの、この状況下で古い習慣を捨てて新しい行動を開始し、それを定着させた人もやはりいるでしょう。これまでも同一ブランドの購入は年平均5回以下でしたが、今後さらに少なくなると思いますか?

こうした調査は役に立ちません。どれくらいの人が過去に新しいブランドを試したことがあるかが分からないからです。私たちはパンデミック中、パニック買いが起きている期間の購買行動を分析しましたが、以前とよく似ています。COVID-19に感染する可能性があるため、人々は少量ずつの買い物をしなくなったと考えた人もいるでしょう。しかし実際は、メディアが報じていたような買いだめは起きていませんでした。トイレットペーパーなどの在庫がなくなったのは、資本集約型の大きな工場で生産されているからです。このような工場は一定水準の需要に最適化されており、需要のピークには対応できません。また、場所を取るので、店舗や倉庫も在庫を持ちたがらないのです。そのため、需要がほんの少し増加するだけで、突然サプライチェーン全体が大混乱に陥ります。これが今回起きたことです。人々はいつもよりほんの少し多く買う必要があり、結果として商品棚が空になりました。

それ以外にも、ロックダウン中は店舗販売が大打撃を受け、宅配が増加するという予想通りのことが起きました。しかし、ロックダウンが解除されると、すべてが元に戻りました。何かが根本的に変わったと言い続け、話題作りをする人に注意してください。消費者は極めて習慣的で、以前の暮らしを好み、それを取り戻したいと望んでいるのです。
 

最新のエデルマン・トラストバロメーターでは、消費者の64%が、新しいブランドではなく、確立され認知されているブランドを選択すると回答しています。もし信頼がこれほど重要なのであれば、大手ブランドへのロイヤルティが今後さらに高まるのではないでしょうか?

歴史があり、確立された、より大きなブランドへのシフトが若干見られました。原因はおそらく、買い物をする時間を通常より短くしようとする傾向があったことでしょう。とにかく手早く買い物をしようとするという行動はかなり印象的です。ソーシャルディスタンスに関する制約も一因でしょう。その結果、売り場に長居しないようになりました。「おや、これは先週買った無名ブランドの栄養ドリンクか。今日は別のものを試してみようかな」と検討するのではなく、「必要なのは飲み物だ。コーラにしよう」と即決し、次に移るのです。ただし、これもごくわずかな増加傾向にとどまっています。
 

また、エデルマン・トラストバロメーターでは、消費者が広告主に対し、COVID-19に関連した生活苦の解決にその商品やサービスがどう役立つかを明示してほしいと望んでいることも分かりました。あなたはブランドパーパス(ブランドの存在意義)に批判的な立場ですが、ポストコロナの情勢で状況が変わると思いますか?

COVID-19に関するメッセージが、医療分野のトップからのものも含め、世の中にあふれています。そんな状況で、ブランドは人々の生活において極めて重要だから、ブランドがメッセージを発するなら人も心から聞きたがるだろうとマーケターが考えるのは、驚くほど傲慢です。恥ずかしいほどに傲慢ですね。私たちは消費者とその生活の理解者であるべきだとおもっています。

COVID-19関連の広告を集めたユーチューブ動画がありますが、多くのブランドパーパス広告がそうであるように、創造性が放棄されています。どの広告も「この前例のない時代、私たちはあなたを助けるためにここにいます」という同じ主張しています。メディアがCOVID-19関連の広告で埋め尽くされているのは滑稽です。

コカ・コーラは英国で、消費者がこの時期に別のことを考えているのを理解し、広告の出稿を一時停止しました。エージェンシーに駆け込んで『コロナがらみの広告を用意すべきだ』と訴えるより、はるかに良いと思います。
 

あなたはいつも、コミュニケーションを取らなければ、人々に忘れられ、ブランドを損ねることになると言っていませんか?

確かに私は一貫性の大切さを支持しますが、COVID-19関連の広告を作るより、広告を停止する方がはるかに合理的です。広告の「津波」が押し寄せていることに気づいたのであれば、過ぎ去るのを待った方が節約にもなります。コカ・コーラのような大手ブランドの場合、広告を数か月中断しても問題ありません。状況が少し落ち着いてから、コカ・コーラの存在を思い出してもらえばいいのです。
 

英国には、政治や多様性といった重大なテーマへの姿勢を鮮明にするブランドがいくつかあります。あなたは以前から、潜在顧客を遠ざけるべきではないと述べていますね。最大限の潜在顧客を引きつけるため、こうしたブランドは中立を維持すべきなのでしょうか?

ある政治的な立場を取れば、それについて賛否両論があります。したがって、その論点について味方だと考える仲間がいる一方で、異なる意見の人々を遠ざける危険もあります。しかし、私は専門家として、むしろ自社のブランドと無関係な主張を発信していることを懸念します。

マーケターは、特にブランドパーパスの領域で、極めて傲慢な存在になろうとしています。マーケターはいくつもの驚きを経験してきました。ブレグジットの投票結果、ドナルド・トランプ氏の米大統領候補指名と選挙での勝利、英総選挙でのボリス・ジョンソン首相の地滑り的勝利、オーストラリア総選挙での労働党の敗北。どこかの時点で驚くことをやめ、何かが間違っていると気づくべきです。

この問題については自分で調査したいくらいです。ベン&ジェリーズは存在意義を強調するブランドの代表格ですが、それを認知している消費者がどれくらいいるのかを街頭で調査したいですね。聞かれた人々は口々にこう答えるはずです。「クッキー・ドウのブランドでしょう?」と。

スターバックスのCEOが以前、成功の大きな要因は音楽だと語っていました。レコードレーベルを立ち上げ、店で流している曲を売っていたとか。冗談かと思いました。幹部がどれほど勘違いしているかを端的に示す例です。

COVID-19の観点から見ると、2020年は小さなブランドにとって特に厳しい1年になっています。あなたが説く「ダブルジョパディ(二重の不利)の法則」では、ブランドが小さいほど、市場シェアがより小さく購入頻度もより低くなって二重に苦しむといいます。マスリーチに必要なテレビ広告のための大型予算を伴わずに、小規模なブランドがこの罠を回避できるような現実的なアドバイスはありますか?
 

まず誤った通説を否定させてください。ダブルジョパディは、小さなブランドが絶望的だという意味に誤解されていますが、そうではありません。確かに、小規模なブランドは顧客基盤が小さく、ロイヤルティも高くありません。しかし、だから成長できない、10年後には消えているということではありません。むしろ、顧客のフィジカルアベイラビリティ(物理的な買い求めやすさ)とメンタルアベイラビリティ(心理的な認知度の高さ)を高めることによって、ロイヤルティの高い顧客を多数獲得することで、小さなブランドがどのように成長していくかを示しているのです。

小さなブランドにとっての朗報は、成長する余地があることです。過去のテキストでは、小さなブランドが小さいのはニッチすぎるからであり、ごく限られた消費者にしかアピールしていないからだと説いていました。しかし大抵の場合、これはまったく現実に即していません。小さなブランドには、素晴らしくポジティブな可能性があります。一方で、巨大ブランドがさらに大きくなるのは困難です。周りはライバルだらけで、少しずつシェアを奪われるのですから。
 

どうすればブランドはeコマースの爆発的成長に適応できるでしょうか?

未公表ではありますが、当研究所にはかなり大きな研究アジェンダがあります。それは、どのカテゴリーが成長していて、どのブランド、チャネル、国に投資すべきか、というものです。適切に投資せず、伸びるチャネルを外してしまうと、ブランドを成長させるのは非常に困難です。

日用消費財の分野で過去10年間の成長を比較すると、おそらくアルディ(Aldi)やリドル(Lidl)といったディスカウントストアの方がeコマースに勝っています。そうした伸びるチャネルを外してしまうと、ブランドを成長させるのは非常に困難です。例えば、米国で売り上げを伸ばそうとしても、ウォルマートに扱ってもらわなければ難しいでしょう。

eコマースは成長中のチャネルですが、過剰に宣伝されているため、実際の数字を確認すべきです。爆発的な成長ともてはやされていますが、当然ながら、最初はごく小さな数字から始まったでしょう。
 

残念ながら、景気後退に向かいつつあります。ブランドが不安定な状況を乗り切るために、どんなアドバイスをしますか。過去の景気後退のデータから何がわかりますか?

シャンパンや海外旅行を販売している企業の場合は、かなり厳しいでしょう。しかし、地域の商店、スーパーマーケット、薬局、ホームセンターといった分野について、世界金融危機の際のデータを分析したところ、意外なことに世界はほとんど変化していませんでした。これは注目すべきことです。取引の減少は見当たりませんでした。ほぼすべてのカテゴリーで、平均価格も維持されていました。

節約が必要と言う人もいますが、一方で「高額の海外旅行に行かないから、高級チョコレートを買う余裕がある」と言う人もいます。プライベートブランドに移行する動きが若干あったものの、景気後退前からその傾向があったので、景気後退によって加速したかどうかを知るのは不可能でしょう。シェアを減らしたプライベートブランドもあります。

私が言いたいのは、ニュースの見出しには用心すべきだということです。見出しのせいで世界の見方が歪められてしまいます。最悪なのは、直感的に正しいと思われるものです。間違っていることが多々あります。科学の歴史を研究する人なら誰でも、現実世界はとても奇妙な場所だと言います。現実世界が、私たちが考えるものとはまるで違う法則でできているからです。

私からマーケターへのアドバイスは、パニックになるなということです。景気後退に強い株と言えば、マクドナルド、P&G、ユニリーバ、SCジョンソンなどです。景気後退はスーパーマーケットで売られているものにあまり影響を及ぼしません。
 

米国と中国を比べて、どちらがブランド構築でより成功したと言えるでしょうか?

中国は以前よりはるかに豊かな国になりました。そのため、以前より私たちの生活に入り込んでいます。しかし、いまだに驚かされますが、朝起きて新聞を開き、国際ニュースの欄を見ると、米国とトランプ氏のニュースばかりです。世界の人口は70億人で、米国には3億人しかいないのに。

「米国の経済は世界最大だ」と言う人もいるでしょう。しかし経済の規模は西欧と同じくらいです。興味深い傾向で、これもロイヤルティと言えるかもしれません。20世紀は米国の世紀と呼ばれました。何もないところからあれほどの大国になったからです。米国は、今も世界中で観られるテレビ番組や映画を支配しているので、私たちはいつも米国文化にさらされています。米国は驚くほど私たちの生活に入り込んでいます。ですから、米国は最高のブランドであり、奇妙な程に成功したブランドであると言えるでしょう。
 

最後の質問です。あなたが自説の再考を余儀なくされるブランドや状況に遭遇したことはありますか?

いつもです。私たちは常に見直しを行い、好ましい結果にさえ極めて懐疑的であり続けます。とはいえ、メンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティを高めることなく、ブランドが大きく成長できると思うかと問われたら、答えは「ノー」ですね。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

関連する記事

併せて読みたい

3 日前

世界マーケティング短信:Cookie廃止の延期、テスラの人員削減

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

4 日前

大阪・関西万博 日本との関係拡大・強化の好機に

大阪・関西万博の開幕まで1年弱。日本国内では依然、開催の是非について賛否両論が喧しい。それでも「参加は国や企業にとって大きな好機」 −− エデルマン・ジャパン社長がその理由を綴る。

2024年4月23日

エージェンシー・レポートカード2023:カラ

改善の兆しはみられたものの、親会社の組織再編の影響によって、2023年は難しい舵取りを迫られたカラ(Carat)。不安定な状況に直面しつつも、成長を維持した。

2024年4月23日

私たちは皆、持続可能性を前進させる責任を負っている

持続可能性における広告の重要性について記した書籍の共著者マット・ボーン氏とセバスチャン・マンデン氏は2024年のアースデイに先立ち、立ち止まっている場合ではないと警告する。