Tatsuya Mizuno
2019年10月24日

三池崇史監督、「ブロスタ」を撮る

人気のモバイルゲーム「ブロスタ(Brawl Stars)」の新たなキャンペーンを、世界的に名を馳せる三池崇史監督が撮り下ろした。同氏にとっては初のブランデッドコンテンツだ。

ブロスタはフィンランドのモバイル開発会社スーパーセル(Supercell)が手がけるモバイルゲーム。3対3のチーム戦など、さまざまなゲームモードが楽しめる。アプリのダウンロードは無料で、昨年12月から世界市場でのサービスが開始された。

今回のキャンペーンを制作したのはワイデン+ケネディ トウキョウ。「三人の復讐者(Revenge of the Three)」と題されたショートフィルムは、全部で5本のバージョンがある。三池監督に依頼した理由について同社広報は、「Vシネマの世界観に根差した、ユーモアあふれるものにしたかったから」という。「三池監督が過去の作品で表現してきたユーモア感覚が、我々の方向性に近いことも大きな要因でした」。

主演を務めるのは「Vシネマの帝王」こと哀川翔。Vシネマがルーツである三池監督の作品にかつて多数出演、「黄金のコンビ」と言われた。ほかにも個性派俳優として鳴らす白龍や小沢仁志、お笑い芸人の長州小力、更にはラッパーやユーチューバー、プロスケーターといった多彩な面々が登場。各バージョンの最後には「一人より三人だろ」というセリフがキーワードとして示され、ブロスタの3対3のチーム戦の楽しさという特徴をうたい上げる。

三池監督にとっては初のブランデッドコンテンツ。依頼を受けた際の反応はどうだったのだろう。「『Vシネマの世界観で、哀川翔さんが主演。自分がやらなかったら誰がやるの?』とのっけから非常に好意的、意欲的でした」(同社広報)。

スーパーセルはこれまで「クラッシュ・オブ・クラン」「クラッシュ・ロワイヤル」といった人気ゲームを世に送り出している。

Campaignの視点:

まさしく、「三池ワールド全開」と言える内容だ。数々の国際映画祭で作品が紹介され、既に世界的な名声を得ている三池監督の売りの一つはハードなアクション。一見モバイルゲームの世界とはかけ離れた存在だが、そのミスマッチがいい。そういう点で、ワイデン+ケネディ トウキョウの発想力と企画力は評価されるべきだろう。

監督が得意とするB級映画的世界が濃厚に展開し、ユーモアも満載。監督が現場で伸び伸びと楽しみながら撮影している姿が容易に想像できる。さまざまな隠し要素はゲームファンや三池ファンにとってニンマリする内容だが、そうでない視聴者にとっても十分楽しめるストーリー。万人向けのエンターテインメントで新たなオーディエンスに訴求しようという同社の姿勢も評価できる。

(文:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

2 日前

クリエイティブマインド : メリッサ・ボイ(MRMジャパン)

気鋭のクリエイターの実像に迫るシリーズ、「クリエイティブマインド」。今回ご紹介するのはMRMジャパンのシニアアートディレクター、メリッサ・ボイ氏だ。

2 日前

世界マーケティング短信: TikTok米事業、売却か撤退か?

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

ブランドがパロディー動画に乗り出す理由

エンターテインメント要素のあるストーリーテリングは、消費者からの注目を集めると同時に、ブランドに創造的な自由を与える。

2 日前

生成AIは、eメールによるカスタマーサポートをどのように変えるか

従来のチケット管理システムでは、現代の顧客からの期待に応えられない。企業はAIを活用してeメール戦略を洗練させ、シームレスな顧客体験を提供する必要があると、イエロー・ドット・エーアイ(Yellow.ai)のラシッド・カーン氏は主張する。