David Blecken
2017年9月04日

企業の存在感をアピール、「ハイテク回転盆」

中華料理店で食事をするときの気まずい瞬間……あるモーターメーカーはそれを解消するため、創造的な提案をする。

日本電産(英名、ニデック・コーポレーション = Nidec Corporation、本社・京都)という名前を聞いたことがなくても、その製品は誰にとっても身近なものだろう。世界一の総合モーターメーカーは、ディスクドライブから車まで、あらゆるものを縁の下で支えている。

同社が打ち出した最新のコンセプトは、中華料理店へのIoT(モノのインターネット)の導入。宣伝用の動画は、回転盆をうまく扱えない不器用で機転の利かない人々のためのユニークなソリューションになっている。

名付けて、「スマートチャイナテーブル」。スマートフォンを使って操作ができる回転盆で、画面上のアイコンでテーブルを回せるのはもちろん、音声認識で好きな料理を目の前に移動させることもできる。更に「最後に1つだけ残った餃子を誰が食べるか」「誰が食事代を払うか」(これは最も注意深く対処せねばならない課題だろう)といったデリケートな問題も、巧みに解決してくれるのだ。

発案と動画制作は、東京・渋谷の独立系デザイン / テクノロジーエージェンシー「ドットバイドット」。

Campaignの視点:
「世界を動かすモーターをつくる」という日本電産のスローガンを、優れた楽しいやり方で体現している。普段の我々の暮しでモーターを意識することはほとんどないが、このアイデアはクリエイティビティーの際限ない可能性をよく表しているだろう。誰が勘定を払うかを決める「チェック・ルーレット」の場面は出色。顔の見えにくい企業がユーモアのセンスをアピールする手段として、実に秀逸だ。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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