Lindsay Stein
2020年4月22日

カンヌライオンズ、動画配信で新たな取り組み

「今ほどクリエイティブが必要とされている時期はない」 −− ライオンズのマネージングディレクターは語る。

カンヌライオンズ、動画配信で新たな取り組み

今夏、世界の広告業界の重鎮がフランスのカンヌに集結し、数々の優秀作品に祝杯を上げることはもうない。だが、世界のクリエイティブ界を一つにまとめる催しは続けようと、カンヌライオンズは6月にオンライン上で「ライオンズライブ」を実施する。

これは誰もが無料で視聴できるエクスペリエンスで、6月のひと月間配信される。デジタルを通して教育やネットワーキングを推進し、さらには世界のクリエイティブを今一度見直そうという試みだ。特に重要なコンテンツは、当初カンヌライオンズが予定されていた6月22日から26日にかけて配信される予定。

「今ほどクリエイティブの役割が重要な時期はない。我々はパートナーやクライアントと徹底した対話を繰り返し、そうした結論に至ったのです」と話すのはカンヌライオンズのマネージングディレクター、サイモン・クック氏。「業界に活力を与えるインスピレーションやアイデア、クリエイティビティーは困難な時代にこそ必要です」。

「業界が苦境にある今、多くの人々が孤立してしまっている。だからこそグローバルコミュニティーを一つにし、インスピレーションを与えていかねばならない」

ライオンズライブの一部をご紹介すると、有料会員を対象としたコンテンツが「The Work」。過去の20万本以上に及ぶCF作品やカンヌにおける1600の講演・トークセッションの動画が閲覧できるアーカイブだ。これによって「各時代にどのような作品が生まれたかを系統立ててチェックすることができる。以前の不況時にはどのような作品が登場したかということも分かります」(クック氏)。

全42本から成る講義シリーズ「42 Courses」にはDDBのキース・ラインハード名誉会長やVMLY&Rのデビ・ヴァンディブンCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)らによるマスタークラスもあり、こちらは無料公開となる。

また、業界のリーダーとクリエイターによるバーチャルのトークセッション、新型コロナウイルスによる新たな課題にライオンズがどのように取り組むべきかを業界のプロたちが語る「Future Gazers」といったコンテンツも企画されている。

こうしたエクスペリエンスは実際のフェスティバルを再現しようというものではないが、「『The Lions of St.Mark』(生涯功労賞)のようないくつかの特別賞は選定を行う」とクック氏。

ライオンズライブのセッションや講演者に関する詳細は、6月頭に発表される予定だ。

(文:リンゼイ・スタイン 翻訳:編集 水野龍哉)

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