David Blecken
2017年10月25日

臓器移植に再び光を当てる、「セカンドライフファッション」

衣服の再生で、移植医療への関心を高めよう −− 昨年に引き続き、新たな取り組みが開始された。

臓器移植に再び光を当てる、「セカンドライフファッション」

日本での臓器移植への関心を高めようと、昨年電通が立ち上げたキャンペーン「Second Life Toys(セカンドライフトイズ) 〜 おもちゃの移植手術」。今年で臓器移植法の施行から20年になるのを記念し、その第2弾である「Second Life Fashion (セカンドライフファッション)〜 洋服の移植手術」が始められた。

この取り組みも、「おもちゃの移植手術」のコンセプトを作り上げた電通の2人のクリエイティブディレクター、鈴木瑛氏と木田東吾氏の手によるもの。「おもちゃの〜」が子どもの臓器移植に焦点を当てていたのに対し、今回は大人が対象。意図は同じく、一般の人々にいまだ馴染みが薄い移植医療に関する議論を喚起しようというものだ。

キャンペーンはそごう・西武を介して行われる。賛同者が提供した衣服の生地を、修繕を望む別の参加者の服に「移植」。例えば袖が破れたシャツに他の服地を組み合わせることで、新たなスタイルとして再び「命」を吹き込むというもの。

このサービスは無償で行われるが、服の仕上がりには不平を言わないことが前提。また、このチャリティーに対し各人が妥当と考える金額の寄付が求められる。集まった寄付金は、そごう・西武から臓器移植の普及と啓発を行うグリーンリボンキャンペーンに送られる。

電通によれば、現在日本の移植希望登録者は1万4000人。だが、実際に移植手術を受けられる人々はその2%に過ぎないという。

Campaignの視点:
今回の新たな取り組みは移植医療キャンペーンを前進させる確かな1歩であり、前回同様、有意義で印象深い。この種の問題に社会的関心を喚起するには運動の継続が大切で、この試みが一定期間ではなく、半永久的に続いていくことを望みたい。いずれにせよ、今後も同じテーマに基づいたより様々な取り組みを期待する。

木田氏と鈴木氏が最近手がけたプロジェクトでは、ヤフーのために立ち上げた視覚障がいを持つ人々向けの選挙情報サイト「聞こえる選挙」がある。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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