Bill Scott
2018年6月07日

エージェンシーは「インハウス」を恐れるな

エージェンシーはもっと広い心を持ち、クライアントの新たな取り組みをサポートしていくべき −− ドロガ・ファイブ(Droga5)・ロンドンのCEOが語る。

エージェンシーは「インハウス」を恐れるな

「あなたが、もっと面白い時代に生きられますように」 −− この呪いのような言葉は、中国の古いことわざだ。今の広告界に目を向けてみると、かつてないほど「面白い時代」であることは間違いないだろう。エージェンシーは致命的ではないにしろ大きく信頼を失い、これまでの仕事のやり方が通用しなくなっているのは明らか。それを象徴する大きな潮流が、クリエイティブ業務をクライアントがインハウス(社内)でこなすようになっていることだ。

この流れは、今までのところ様々な結果を生んでいる。独自の堂々たる世界を築いたバーバリーの例もあれば、お粗末な作品で物議を醸したペプシの例もある。だが、「インハウスで」という動きは今後も続くだろう。だからと言ってエージェンシーが自己防衛的になり、それから目をそらすのは愚かなことだ。我々はこの課題に正面から取り組めるし、またそうすべきでもある。そのためにはクライアントのプロセスに積極的に関わり、いつも自らが言っているように「かけがえのないコンサルタントで、パートナー」になるよう努めなければならない。

クライアントは常に、最善のシステムやエージェンシーの組み合わせを実現するためいろいろな試みを行う。どのクライアントも、それぞれのニーズに合った最適なビジネスモデルをつくりたいと望んでいるのは言うまでもない。だが、それがエージェンシーにとって命取りになると考える必要はないのだ。「クライアントは今後も我々の意見が必要」と自信を持つべきだろう。

今眼前には、マーケティング界の将来の方向性をクライアントとともにデザインし、形づくるチャンスが広がっている。戦略的アプローチやクリエイティブアプローチ、コミュニティマネジメントのニーズ、制作、メディアバイイング、データの供給、アナリティクス、流通経路といったあらゆる面で、マーケターとともにベータテストを行うことが可能なのだ。これらは数多くのクライアントと関係を築き、幅広い人材を持っているエージェンシーだからこそできる「専門分野」とも言える。自らの経験を生かしてクライアントが求めるソリューションを提供すべきであり、尻込みしている場合ではないのだ。

今こそ、エージェンシーが果たせる役割を明快に提示するべきときだ。戦略的コンサルティングやクリエイティビティー、業務の遂行、プロダクトへの批評……こうした面での貢献は、コストをかけて見苦しい結果に終わってしまったペプシのキャンペーンをコンセプト作りの段階で阻止できただろう。

エージェンシーは「大人」になり、心を広く持ってクライアントの新たな取り組みを受け入れ、サポートしていくべきなのだ。我々の求める利益は、クライアントのそれと同じであるべきだ。エージェンシーが自分たちのテリトリーを守ることや、サービスを売りつけることだけに汲々としていたら、どうしてマーケターが我々の意見を信用し、一緒に仕事をしようという気になるだろうか。そうした姿勢では、クライアントはますます離れていってしまうだけだ。

(文:ビル・スコット 編集:水野龍哉)

ビル・スコット氏はドロガ・ファイブ・ロンドンでCEOを務めている。

提供:
Campaign UK

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