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五輪談合、再発防止のため7社に排除措置命令
東京五輪をめぐる談合事件で、公正取引委員会は電通や博報堂などに総額約33億円の課徴金の納付を命じた。
課徴金の納付命令を受けたのはセレスポ(11.63億円)電通グループ(4.96億円)とその傘下の電通(4.25億円)、博報堂(4.94億円)、東急エージェンシー(3.31億円)、フジクリエイティブコーポレーション(3.28億円)、セイムトゥー(8875万円)。ADKマーケティング・ソリューションズは
課徴金減免制度に基づいて調査前に自主申告したことから、課徴金納付を免れた。
公取委によると、各社は遅くとも2018年4月以降、テストイベントならびに本大会業務の受注予定企業を決定し、競争を実質的に制限していた。上記8社のうち電通グループを除く7社に対しては、排除措置命令も出している。
電通グループは声明で「同大会の成功に向けて全社を挙げて取り組む中、当社と電通は『テストイベント計画立案等業務』において法令違反があったことについては厳粛に受け止め、真摯な反省に基づき、インテグリティを最優先とする組織風土への進化に取り組むなど再発防止に取り組んでまいりました」とコメント。
しかし、公取委が法令違反の対象を「テストイベント実施等業務」と「本大会運営等業務」にも及ぶとする認識については「大きく異なっており、看過できない相違があります」と述べ、取り消し訴訟を提訴することを決定したと発表した。
オムニコムのIPG買収、連邦取引委員会が条件付きで承認
オムニコム(Omnicom)のインターパブリック・グループ(Interpublic Group)買収について、米連邦取引委員会(FTC)が条件付きで承認した。30日間のパブリックコメント期間を経て最終承認へと至る。世界最大の広告会社誕生までの大きなハードルをクリアしたことになる。
FTCが提示した条件は、パブリッシャーの政治的またはイデオロギー的な立場を理由に、クライアントの広告出稿のボイコットや指示をする契約を締結できないというもの。競争を阻害して、開かれた議論を制限する可能性がある不公平な協力を防ぐことが目的だ。
「広告に依存するウェブサイトやその他の出版物は、我が国のコマースやコミュニケーションの流れにとって極めて重要です」と、FTCの競争局ディレクターであるダニエル・グアルネラ氏はコメント。「政治的またはイデオロギー的に好ましくない見解を持つ出版物への広告出稿を控えるため、広告会社が連携することは、広告会社間の競争を脅かすだけでなく、公な議論や討論を歪める恐れがあります」。
「大企業はプレッシャーを感じ始めている」マイクロソフトAI CEO
AIツールは「何百万もの人々に大きな力を与える」が、その一方で過当競争による「ある程度のカオス」も引き起こすだろう――カンヌライオンズでマイクロソフトAI(Microsoft AI)のCEO、ムスタファ・スレイマン氏が語った。
ワイデン+ケネディ(Wieden & Kennedy)から今年3月にスナップ(Snap)に移ったコリーン・デクーシー氏と共に登壇した同氏は、「競争によって、当然のことながら基準は高まります。参入障壁が下がっていることは事実で、その結果つまらないものの量も増えるでしょう」と述べる。
また、「良いニュースは、品質が飛躍的に向上するということ。それはさまざまな人々、さまざまな組織、さまざまな機関によって実現します。大企業の中には、プレッシャーを感じ始めているところもあるでしょう。これは非常に喜ばしいことです」とも。
両氏はさらに、クリエイティブな仕事における「摩擦」がいかに重要かについても議論した。スレイマン氏は、アイデアを発想から実行に移すまでの摩擦は、AIによって「完全に解消される」と予測しており、誰もが公平な競争の場に立つことができるようになると考えている。
一方のデクーシー氏は、摩擦は常に進歩や技術によって除かれてきたが、「より良い作品」を生み出すことにも役立つと語った。「今は誰もがツールを持っている時代で、私はそのことをそれほど恐れていません。アイデアを高めるのは、やはり心だと思うからです。どのようにして、思考に摩擦を取り戻せばよいのでしょうか。創作活動において、『自分が知っていること』『自分が作っているもの』『自分が思っていること』という枠をどのように超え、奮い立たせればよいのでしょうか」。これに対し、スレイマン氏は「摩擦や遅さは、アイデアを練って処理する私たちに固有の特性」と述べた。
【お知らせ】
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(文:田崎亮子)