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出社義務を「徐々に増やしていく」 オムニコム
インターパブリックとの統合が完了したオムニコムで、出社ポリシーが「徐々に強化されていく」ことが従業員に伝えられた。以前から両社とも、週3日の出社を義務付けている。
オムニコムは社内向けのオンライン情報ハブを開設し、主要なポリシーや福利厚生などの情報を提供。11月に更新された「オフィス勤務ポリシー」によると、出社日数を徐々に増やすことを目指しているとのこと。この方針に従わない従業員は、米国では昇給や昇進が認められず、懲戒処分の対象となり、解雇の可能性もあるという。
広告業界では出社回帰の流れが強まっている。WPPは今年1月、出社義務を週3日から週4日に増やすと発表し、これに反発する従業員がオンライン署名活動を展開した。また1年前にはピュブリシス・メディアが米国で、オフィス回帰の方針に従わなかったとして従業員数十名をレイオフしている。
グレイとオグルヴィ、バックオフィス業務を統合
WPPが、傘下のグレイとオグルヴィのバックオフィス業務(財務、人事、ITなど)を世界的に統合した。
グレイは2020年、同じくWPP傘下のAKQAと統合。だが今年5月には組織再編の一環として、グレイをAKQAから分離させ、オグルヴィに移管した。AKQA創設者のアジャズ・アーメッド氏が退き、後任としてバイジュ・シャー氏が今年7月にCEOに就任している。グレイとオグルヴィの両ブランドは、それぞれ今後も維持される。
AKQAと伊藤忠商事が提携を拡大
AKQAと伊藤忠商事が2022年に設立した合弁会社AKQA ukaが、AKQA Tokyoと統合する。統合によって、日本市場に参入する国内ブランドとグローバル企業の双方に、サービスを提供することが可能となる。
協業は2020年に、AKQAのグローバルなデザインとイノベーションの専門知識と、伊藤忠商事の市場知識および企業ネットワークを組み合わせ、日本の主要組織の変革を支援するため始まった。5年間を経て、AKQAの日本市場への長期的な投資をさらに強化し、クライアントに提供するサービスと規模を一層向上させていくため提携を拡大させた。
バイジュ・シャーCEOは声明で「日本は、世界で最も刺激的なデザイン、クラフトマンシップ、そして独創性の中心地です」とコメント。「AIが組織の運営方法や競争環境を再定義し続ける中、真の機会は、それらが想像力、クラフト、文化的理解によってどのように導かれるかにあります。今回の取り組みにより、これらの要素を理想的に融合させることが可能となり、ブランドが単なる最適化を超えて、新たな成長源の創出へと踏み出すことを支援します」
伊藤忠商事の執行役員 情報・通信部門長である堀内真人氏は「今日、顧客はクリエイティビティ、利便性、感情がシームレスに融合した体験を期待しています」と述べる。「これを実現するためには、デザイン、テクノロジー、戦略の洗練された統合が必要です。これこそが、AKQAとの提携を進化させる原動力となっています。伊藤忠商事が持つ深い市場の洞察力と、AKQAが持つ世界的なクリエイティビティおよびデザインにおけるリーダーシップを融合させることで、一つに統合されたAKQAは、企業変革の支援において独自のポジションを確立します」
Z世代はバズよりもゆっくりとした優しい体験 ピンタレスト
ピンタレストが2026年のトレンドを予測するレポートを発表した。現在の消費者を取り巻く環境の特徴として、過度な刺激やあふれるコンテンツ、絶え間ないデジタルノイズといったオンライン世界の喧騒を「アンビエント・カオス」と定義づける。その中でZ世代は、よりゆっくりとしたペースで、優しい、自分の意に沿ったオンライン体験を求めているという。
トレンドに影響を与える要因として「感情的な安らぎや帰属意識」「模倣よりもキュレーション」「現実に根ざした楽観主義」の3つを挙げる。バイラルを求める過去10年の文化から、個の表現や内面的な創造性が中心となっていくという予測だ。
ピンタレストのアジア太平洋地域コンテンツパートナーシップ担当シニアディレクター、中島歩氏は「Z世代はアンビエント・カオスの中でも、自分自身のための空間を静かに再構築しています」とコメント。「企業にとっては、Z 世代が最も創造的に意思決定する瞬間に立ち会える絶好の機会です。アジア太平洋地域全体で、内省的な美学と大胆な自己表現の両方を受け入れる姿が見られます。この世代がデジタルのインスピレーションを静けさと持続する自分らしさへと変えていく様子は、非常に刺激的です」
【お知らせ】
本日の「世界マーケティング短信」をもちまして、本年の配信は最後となります。年明けからの配信につきましては、当面の間、休止とさせていただきます。
日ごろよりご愛読いただき、心より感謝申し上げます。どうか良い年をお迎えください。2026年のさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。
(文:田崎亮子)
