Gideon Spanier
2020年2月06日

アマゾン、世界最大の広告主に

アマゾンの広告費が、全世界の広告費のおよそ2%を占めることがわかった。

ドロガ・ファイブ・ロンドンが制作した、今年のスーパーボウル用のアマゾンのCF.
ドロガ・ファイブ・ロンドンが制作した、今年のスーパーボウル用のアマゾンのCF.

アマゾンは年次報告書で、2019年の広告費が110億米ドル(約1兆2100億円)に達したと発表した。前年からは34%、28億ドル増で、世界最大の広告主となった。

同報告書によると、商品やサービスの売上を伸ばすために広告・販売促進費を増額。純売上高は前年比20%増の2805億ドルだったが、広告費の増加率はそれを上回った。

「スポンサードサーチやサードパーティカスタマーからの推薦、ソーシャルやオンライン広告、テレビ広告など、あらゆるチャネルを利用して消費者をまず我が社の店舗に誘導する」(同報告書)

全米が注目するスーパーボウルのテレビ中継でも、アマゾンはレギュラーの広告主だ。今年のCFを手がけたのはアクセンチュア インタラクティブ傘下のドロガ・ファイブで、人気コメディアンのエレン・デジェネレスをフィーチュアした。

近年はラッキージェネラルズ(Lucky Generals)、ジョイント(Joint)といった多くの広告エージェンシーもアマゾンのクリエイティブを担う。

世界市場におけるメディアバイングを担っているのは、インターパブリック傘下のイニシアティブ社だ。

アマゾンの広告費の推移(2009年〜2019年)


「世界の広告費の2%」

1994年、ジェフ・べゾス氏によって創設されたアマゾン。その広告費はこの10年間でほぼ20倍になった。2009年の広告費は5億9300万ドルだったが、2014年には33億ドル、2019年には110億ドルに(同社発表)。

つまり、世界でトップの広告主だったプロテクター・アンド・ギャンブル(P&G)やユニリーバといった巨大消費財メーカーを凌いだことになる。

WPPグループ傘下のグループエムでグローバルインテリジェンス責任者を務めるブラアイン・ウィーザー氏は、「世界の広告費のほぼ2%を占めるアマゾンは、今や世界最大の広告主」と話す。

アマゾンにとっての4大市場は米国、ドイツ、英国、そして日本。サブブランドにはアレクサやファイヤー、フレッシュ、キンドル、プライム、プライムビデオ、Twitch、ウェブサービスなどがある。

年次報告書によれば、マーケティングコストは総額189億ドル。広告費が110億ドルで、関連経費が79億ドルだった。

「マーケティングコストは広告費や人件費、マーケティング・販売活動に従事するスタッフの関連経費(アマゾン ウェブ サービスの販売手数料など)を含む」(同報告書)。

「アマゾンプライム会員関連の経費や商品の送料はマーケティングコストに含まれていないが、こうしたサービスは世界中で効果を発揮するマーケティングツールと考えており、今後も無期限に続けていく予定」とも。

つい最近まで、誰もが認める世界最大の広告主だったのはP&Gだ。2019年の同社の広告費は3億5000万ドル減って68億ドルに。マーケティング関連のコストなどを含めた販売・一般管理費は、191億ドルだった。

アマゾンは近年、自社のウェブサイト上の広告スペースの販売で重要なメディアオーナーになった。その売上高は「他のサービス提供」による収益も含め、前年比39%増の141億ドル。広告セールスのトップを占める。

調査会社イーマーケター(eMarketer)によれば、デジタル広告の売上高でアマゾンはグーグル、フェイスブック、アリババに次いで4位につけている。

(文:ギデオン・スパニエ 翻訳・編集:水野龍哉)

提供:
Campaign UK

関連する記事

併せて読みたい

2025年10月09日

豪保険会社、安全運転をゲーム化して奨励

豪州の保険会社AAMIが、運転中の危険行為を罰するのではなく、安全運転に報酬を与える6カ月間のキャンペーンを開始した。

2025年10月09日

世界マーケティング短信:アサヒGHDへのサイバー攻撃で流通に影響

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2025年10月09日

なぜ人間よりもGPTに対して、良いフィードバックを与えるのか?

率直さは職場において、非常に大きな力を発揮するはずだ。しかし、私たちはどういう訳か、最も有用なフィードバックを機械にのみ与える。

2025年10月08日

X世代の消費額、2030年には5.7兆ドルに

消費額が兆規模に達する1965年〜80年生まれのX世代。彼らの61%はアジアに、そしてその4割近くは中国に居住する。だが依然として、彼らはマーケティングの「レーダー」にはっきりと捉えられていない。