Ryoko Tasaki
6 時間前

世界マーケティング短信:アサヒGHDへのサイバー攻撃で流通に影響

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:アサヒGHDへのサイバー攻撃で流通に影響

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

ハッカー集団が犯行声明、情報漏洩の痕跡も アサヒGHD

アサヒグループホールディングスは9月末からランサムウェア(身代金要求型ウィルス)の攻撃を受け、商品の製造や出荷に大きな影響が出ている。

今回の攻撃では国内のシステムが影響を受けた。同社は「お客さまおよび取引先の皆さまの個人情報を含む重要データの保護を最優先とし、被害を最小限にとどめるために障害の発生したシステムの遮断措置を講じました」と発表。その後の調査で、情報漏洩の可能性を示す痕跡が確認されたという。遮断措置に伴い、国内グループの受注・出荷を含む業務に影響が生じた他、社外からの電子メールも受信できなくなった。

ビールの製造については10月2日から全6工場で再開。アサヒ飲料やアサヒグループ食品の工場も、製造を一部再開している。システムによる受注・出荷業務は停止しているが、供給を最優先に位置付け、部分的に手作業で対応し出荷を開始した。

今回のサイバー攻撃については7日、ハッカー集団「Qilin」が犯行声明を出しており、内部文書や従業員の個人情報などを盗んだと主張している。

R/GA、シンガポールオフィスを閉鎖へ

R/GAが11月に、シンガポールオフィスを閉鎖する予定だ。全20名のスタッフには数週間前に通知された。R/GAは今年3月、インターパブリック・グループ(Interpublic Group)との23年間の関係に終止符を打ち、独立すると発表したばかり。

同社CEOのマイケル・ティッツホール氏はCampaignに対し、「新たな事業戦略の一環として、シンガポール事業を慎重に見直しました。そして、その役割を転換し、東南アジアでの取り組みをクライアントの需要が最も高いテクノロジー&クリエイティブプロダクションハブに再び集中させることに決定しました」と述べた。

「独立以来、当社はグローバルに成長を続け、AI製品、テクノロジー、デザインのケイパビリティー(組織的な能力)を構築してきました。最近ではAIシステムデザインと開発を手掛けるスタジオ『アディション(Addition)』を買収し、今後もさらに買収を進めていく予定です」。

豪保険会社、安全運転をゲーム化して奨励

豪州の保険会社AAMIによると、豪州人の約9割が不注意運転をしており、約3分の1が、事故に遭わない限りこの危険な習慣を続けるという。そこで同社は、運転中の危険行為を罰するのではなく、安全運転に報酬を与える6カ月間のキャンペーンを開始した。

国内で最も安全なドライバーの座をかけて競う「AAMIドライビングテスト」には、豪州の18歳以上の運転者が参加できる。アプリからアクセスできるこのテストでは、速度、急ブレーキ、コーナリング、携帯電話の使用など、さまざまな行動を測定。より良い運転方法や、スコア向上のためのヒントを提供する。安全運転に努め、AAMIのリワードプログラムに登録したドライバーには毎月、6万豪ドル以上の賞金獲得のチャンスがある。

ローンチに合わせて公開された動画では、スタート地点に集まったドライバーが「合流前に死角を確認する」「道路から目を離さない」「環状交差点への進入時と退出時にはウィンカーを使う」と、自身の安全対策を語る。そして信号が青に変わると、ゆっくりと発進し、スコアが上昇していく。企画・制作はレオ・オーストラリア(Leo Australia)。

「AAMIの最新の調査によると、豪州のドライバーは自身の運転が、他のドライバーよりも安全だと考えている傾向があることが分かりました。この事実をAAMIドライビングテストに盛り込み、あらゆるドライバーに知識や、個々に合わせたフィードバックを提供することで、運転中の自身の行動を評価し、改善して事故を未然に防ぐことを目指しています」と、AAMIの親会社であるサンコープ(Suncorp)のブランド・顧客体験担当エグゼクティブゼネラルマネージャー、ミム・ヘイサム氏は語る。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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