Nikita Mishra
13 時間前

アクセンチュア ソング、日本統括の黒川氏をAPACの新リーダーに任命

アクセンチュア ソングの日本事業を統括する黒川順一郎氏が、APACの事業責任者を兼任することに。Campaign Asia-Pacificの独占インタビューで、優先事項や課題、レガシーネットワークへの挑戦、AIの活用計画などについて語った。

 写真:黒川順一郎氏
写真:黒川順一郎氏

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

アクセンチュア ソング(Accenture Song)の日本事業を長年統括してきた黒川順一郎氏が、アジア太平洋地域(APAC)の事業責任者を兼任することとなった。引き続き東京を拠点とし、新任のグローバルCEOであるンディディ・オテ氏の直属となる。

これと並行して行われる組織再編では、シンガポールを拠点とする東南アジア責任者のシモーネ・モランディ氏が、アジア・オセアニア責任者を兼任することとなる。モランディ氏は黒川氏の直属となり、豪州・ニュージーランド、東南アジア、大中華圏、インドを直接管轄する。

今回の異動は、前APACプレジデントのフラビアーノ・ファレイロ氏が米国の金融サービス部門に異動したことを受けたもので、両氏は8月1日付で就任した。

これらの異動は、クリエイティブ界の重鎮であるデイビッド・ドロガ氏が9月1日付でグローバルCEO を退き、アクセンチュアのバイスチェアパーソンに就任することに伴う、グローバルな組織改革の一環だ。米国担当責任者を務めるンディディ・オテ氏が、グローバルに指揮を執る。オテ氏はカンヌで報道陣に対し、「デイビッド(・ドロガ氏)が速いなら、私はもっと速い」と意志を明らかにしている。また、アクセンチュアに長く務めるエイミー・パラン氏が米州担当責任者に昇進した。

黒川氏にとって、APAC事業の統括という新たな役職は、決して形式的なものではない。マクロ経済の不確実性が高まる中で、APACは2桁成長への期待が高まり、世界的なコンサルティング企業やエージェンシーネットワークが激しい競争を繰り広げる断片化した地域だ。Campaign Asia-Pacificの独占インタビューで黒川氏は、人材の統合やレガシーネットワークへの挑戦、そしてAIが台頭している中でもAPACではテクノロジーが勝敗を決めるわけではなく、均衡をもたらす要因になると考える理由を語った。

アクセンチュア ソングの米州担当責任者に就任するエイミー・パラン氏(左)と、アジア・オセアニアおよび東南アジア担当責任者のシモーネ・モランディ氏

Campaign:世界的なリーダーシップ交代の時期に、APAC責任者に就任されました。当面の重点事項や責任についてお聞かせください。

黒川:今後はAPACと日本の事業責任者を兼任することとなります。

日本は既に(アクセンチュア ソングにおける)APACの売上高の半分以上を占めているため、その意味で理に適った体制といえるでしょう。私の役割は、各国間の連携を強化し、互いにサポートし合い、事業全体を成長させること。最優先事項は、国境を越えた人材の連携です。現在、各市場は依然として独立しており、サイロ化した状態です。そのため、ネットワークの強みを活かして統合しつつ、それぞれの自律性を維持することが最初の大きな課題です。

もう一つの重要な優先事項は、自国市場を超えて事業拡大するクライアント、特に東南アジアへの進出を検討している日本ブランドの支援です。しかし戦略面ではまだ初期段階で、各国の強みや、コラボレーションが有効な場所を見極める必要があります。

まとめると、国境を越えた人材の統合、クライアントへの影響力の拡大、そしてAPACのあらゆる市場においてアクセンチュア ソングを優秀な人材や主要ブランドにとってなじみ深い存在にすること、この3つが優先事項です。

非常に大きな課題ですね。これほど多様な地域をつなぐ上で、最も大きな課題は何だと想定していますか?

文化と言語が最初のハードルです。日本、インドネシア、中国など、それぞれの国は大きく異なるため、統合という点でAPACは米国や欧州とは全く同じではありません。これらの文化を尊重し調和させ、効果的な連携を実現することが、私にとっての最優先事項です。また、地域戦略を策定する前に、現地市場の動向を深く理解する必要もあります。単なる強力な現地オフィスの集合体ではなく、真に一体となったネットワークとして機能していくための方法を、模索し始めたばかりです。

アクセンチュア ソングの成長目標は野心的なことで知られています。マクロ経済の逆風を考慮しても、目標は達成できる見込みですか? 成長に向けた戦略的優先事項は何ですか?

マクロ経済の状況に関わらず、アクセンチュアは毎年高い成長率を目標としています。アクセンチュア ソングは既に大きな組織ですが、顧客の変革を通じて新たな収益を創出し、アクセンチュア全体のビジネスに影響を与えるだけの力を持つことが期待されています。

具体的な数字は公表できませんが、このような経済状況下においても、そして他のエージェンシーの業績が不振な中であっても、APACは成長を続けています。

人口動態とデジタル化の加速により、東南アジアは当社にとって最も成長が見込まれる地域ですが、回復傾向にある中国を含むすべての市場において好調です。そして、日本は引き続き最大の市場であり続けるでしょう。

アクセンチュア ソングは、多くの大手エージェンシーネットワークとは異なり、従来型のメディアバイイング部門がありません。これは戦略における弱点ではないでしょうか?

当社の主要事業は、メディアのセールスではありません。クライアントの変革を支援することに注力しており、その成果はメディアや価値などさまざまな形があり得ますが、重要なのは成果であって、メディアのセールスではありません。日本ではクライアントからメディアの取り扱いを依頼されることもあり、他のエージェンシーと提携したり、場合によってはメディアを請け負うこともありますが、それは当社が重点を置く分野ではありません。メディアのセールスを優先すれば、当社のモチベーションやアプローチも変わるでしょう。

アクセンチュア ソングのオペレーションとクライアント業務における、AIの活用計画についてお聞かせください。

AIは現在、あらゆるものの中心にありますが、近い将来、AI自体が差別化要因ではなくなります。真の差別化は、当社の社員がテクノロジーをどのように活用するか、そしてクリエイティビティーとデータ、デザイン、AIをどのように組み合わせて独自のソリューションを提供できるかにかかっています。当社は現在、マルチエージェントAIに多額の投資を行い、クリエイティブやコンサルティングのサービス全体にテクノロジーを統合しています。しかし最終的には、当社の人材や彼らのクリエイティビティーによって、差別化が実現するでしょう。

アクセンチュア ソングにとって競争上の最大の弱点は、どこにあると考えていますか?

各国の状況について深く掘り下げる必要がありますが、戦略、コンサルティング、マーケティング、コマース、クリエイティブ、デザイン、AIなど当社のサービス全体を見渡すと、同等の規模で全てを提供する直接的な競合企業はほとんどありません。各分野には競合が存在しますが、当社の幅広いサービスに匹敵する企業はごくわずかです。

日本のような市場では依然として、従来からの関係性に基づく事業運営がされています。電通や博報堂のような既存のプレイヤーと、どのように競争していくのでしょうか? 

日本では、電通や博報堂はマーケターと深い関係を築いていますが、当社のクライアントの多くは経営幹部層です。CEO、CSO、CIOの方々は、単なるマーケティングキャンペーンの実施ではなく、ビジネス全体の変革を望んでいます。当社は、従来型のプレゼンをほとんど行わず、CEOから直接アプローチいただくことが多いです。他のサービス企業やデザイン会社と競合することもありますが、私たちは変革をリードし、その中で他の企業に参画いただくケースがほとんどです。

その良い例が、資生堂の案件です。コロナ禍の真っ只中だった5年前、同社はテレビを中心とした従来のアプローチが持続不可能であると気付きました。消費者との長期的な関係を、パーソナライズされたデジタルコミュニケーションによって築きたいと考えていましたが、資生堂自身にも従来型のエージェンシーにもできなかった。そこで、5年間で変革を実現しようと、私たちに声がかかったのです。資生堂と当社から社員を半分ずつ集めて合弁会社を設立し、毎日一緒に働きました。このようなプロジェクトで目標としているのは、私たち自身が不要になること、つまりブランドのケイパビリティー(組織的な能力)を高め、私たちが全く必要なくなるようにすることです。資生堂は現在、全く新しいパーソナライズされた方法でマーケティングを行うことができます。このような変革を実現できるエージェンシーは、他にありません。

クライアントが真の変革を求める時に、私たちに声がかかるということ。これが従来型のエージェンシーモデルとの違いです。

クライアントは貴社を、クリエイティブ能力を持つコンサルティング会社と見なしていますか、それともコンサルティング能力を持つクリエイティブエージェンシーとしてでしょうか?

それは状況によります。日本ではドロガ5(Droga5)や長年デザインを手掛けてきたフィヨルド(Fjord)を擁しているため、多くの人々は私たちをクリエイティブ主導型と見なしています。他の市場では、コンサルティング会社として見られているかもしれません。重要なのは、品質を妥協することなく両方を実現できるという点です。

では、CMOやCIOにそれをどのように納得させるのでしょうか?

クライアントの経営幹部層が重視しているのは、システムやメディアバイイングではなく、ビジネスの成長です。収益向上やコスト削減の方法を示せば、彼らから賛同いただけます。日本ではCMOとCIOが緊密に連携しているため、足並みをそろえるのは難しくありません。他国ではもう少し難しいかもしれませんが、重要なのはビジネスの成果に焦点を当てることです。

あなたのリーダーシップのスタイルは、どのようなものですか?

明確なビジョンを持ち、社員のモチベーションを高め、多様性を尊重しながらチームを結束させる文化を築くことです。これが私が日本で実践してきたことであり、APAC全体でも目指していく方針です。


分かりやすさと簡潔さを考慮し、インタビューに編集を加えています。

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