Ryoko Tasaki
1 時間前

世界マーケティング短信:オムニコムの新体制が明らかに

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

(左から)トロイ・ルハネン氏、ジョン・レン氏、フロリアン・アダムスキー氏
(左から)トロイ・ルハネン氏、ジョン・レン氏、フロリアン・アダムスキー氏

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

脱サイロ化を目指すオムニコム 年内に4000人削減予定

インターパブリック(IPG)買収が完了したオムニコムが、新しい組織体制やリーダーを発表した。

組織再編の中核となるのは、9つの「コネクテッド・ケイパビリティ」への移行で、オムニコム・メディア、オムニコム・アドバタイジング、オムニコム・パブリックリレーションズ、オムニコム・プロダクション、オムニ&フライホイール・コマース・ネットワーク(データ部門)、ダイバーシファイド・エージェンシー・サービス、オムニコム・ヘルス、オムニコム・ブランディング、オムニコム・プレシジョン・マーケティングを、それぞれのCEOが率いる体制に。社内の連携を深め、サイロ化からの脱却を目指す。

オムニコム・メディア・グループは、オムニコム・メディアに名前を変え、フロリアン・アダムスキー氏がCEOに就任。ハーツ&サイエンス(Hearts Science)、イニシアティブ(Initiative)、メディアハブ(Mediahub)、OMD、PHD、UMの6ブランドが残る。各ブランドのグローバルCEOは、役職名をグローバルブランドプレジデントに改める。

一方、トロイ・ルハネン氏が率いるクリエイティブ領域は、BBDO、TBWA、マッキャン(McCann)の3ブランドに集約。DDBとマレンロウ(MullenLowe)はTBWAに、FCBはマッキャンに統合されて、ブランドが廃止となる。

ジョン・レンCEOはCampaignの取材に応じ、9人のCEOのうち8人、また経営幹部の大半がオムニコム出身であることを認めた。「12年前にピュブリシスとの対等な合併を目指し、実現しなかった」ことから、今回はインターパブリックとの合併でなく買収を望んだという。

アジア太平洋地域のCEOとしては、ショーン・ドノバン氏(オムニコム・アドバタイジング・アジア)とトニー・ハラディン氏(オムニコム・メディア)が任命された。オムニコム・メディアの日本市場におけるCEOにはマット・ウェア氏(元IPGメディアブランズジャパン CEO)、CFOには大江隆公氏(元IPGメディアブランズCFO)が就任。両氏とも、数少ないIPG出身の幹部となる。

また12月末までに4,000人の人員削減を実施する予定だというが、対象となる地域などについては明かされていない。合併後のグループ全体の従業員数は10.5万人となる予想で、2024年末の12.8万人から-18%と大幅に減少することになる。

IPGメディアブランズ、APACで複数幹部が退職

オムニコムによるIPG買収に伴い、アジア太平洋地域では複数の幹部が退職している。

APACのCEOを9年務めたリー・テリー氏は、リンクトインに「この会社を去りますが、業界を去るわけではありません」、そして「次の章について考える前に、しばらく休みます」と投稿。PHDのCEOを6年務めた後、約1年前にIPGメディアブランズの最高顧客責任者に就任したジェームズ・ホーキンス氏も、同社を去る。

豪州担当CEOのマーク・コード氏も、「大きなニュースが続き、素晴らしい章の終わりを告げる1週間でした」と退職の挨拶を投稿した。同社で長年CFOを務めたジョン・クレメンツも退職する。

他にも、同社のタイ担当CEOを9年務めたタラプット・チャルヴァタナ氏や、マグナ(Magna)のマネージングディレクターであるルーシー・フォルモサ・ブラウン氏が退いている。

WPP、給与見直しを一部延期か

WPPが世界的に、一部従業員の10月・11月の給与見直しを5月まで、その他の従業員については次の1月まで延期することがCampaignの取材で明らかになった。

給与見直しの条件は部門によって異なるが、特に賃金が低い社員はインフレや生活費高騰の影響を受けやすいため、昇給対象として優先的に検討しているという。WPPはCampaignからの問い合わせに対し、コメントを控えている。

WPPの従業員数は10.4万人(6月末時点)で、人員索引を経て昨年12月の10.8万人から減少している。

同社は第3四半期の決算発表で、通期での成長率を下方修正しており、シンディ・ローズCEOは「最近の業績は容認できないもの」とコメントしている。また、ジョアン・ウィルソンCFOは「(顧客の)支出変動や、さらなる支出削減、今年実施予定だったプロジェクトの延期、新規事業を取り巻く環境などが、最も大きな落ち込みの原因」であり、「これらに最も大きな影響を与えるのは、当社事業の中で最も大きな部分を占めるメディア事業です」と説明した。

(文:田崎亮子)
 

提供:
Campaign Japan

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