Dean Connelly
2025年12月02日

人員削減はビジネス上の理由 リストラから迅速に再出発するには?

人員削減がクリエイティブ業界の構造を変えつつある中、人員整理は今やビジネスにおける現実となった。2026年に向けて再出発し、新たなポジションを見つけ、採用されるための実践的なロードマップを、採用ディレクターのディーン・コネリー氏が紹介する。

ディーン・コネリー氏
ディーン・コネリー氏

今年リストラされた多くの優秀なプロフェッショナルにとって、求人市場は非常に厳しいと感じられるかもしれない。不安定な経済情勢とクライアントの予算縮小を背景に、クリエイティブエージェンシー、メディアエージェンシー、コミュニケーションエージェンシーによる解雇が世界的に相次いでいる。

本能的にすぐ次の仕事を探そうと焦るかもしれないが、まずはマインドセットを切り替えるべきだ。人員整理はほとんどの場合、個人の失敗ではなく、ビジネス上の決定であるからだ。

人員整理は、個人的でなく組織的な問題

人員整理の対象となることはショックかもしれない。それまでプレゼンの準備をしていたのに、翌日にはリンクトインで「新しい仕事を探す」欄に入力するといった具合の急展開。ここで重要なのはマインドセットだ。私は、解雇されたことを恥ずかしいと思っている人たちとよく話すが、ほとんどの場合、人員削減は商業上・財務上の理由によるもの。数百万米ドル規模のアカウントを失うと、チーム全体が削減されるのは珍しいことではない。もっと規模が小さい場合でも、解雇は個人の業績ではなく、損益計算書(P&L)に起因している可能性が高い。

まずは、最初に感じるフラストレーションや悲しみを整理するための期間を(例えば48時間ほど)設け、その後でアクションに移そう。求人市場は厳しくなったかもしれないが、パニックになる必要はない。経験豊富で質の高い人材に対する需要は、依然として高い。例えば豪州では、PRやソーシャルメディアの分野の求職者は常に不足しており、特定のスキルセットを持つ人材が常に求められている。

迅速に方向転換できる能力は、むしろ有利に働く可能性さえある。世界経済フォーラムの調査によると、2025年から2030年にかけて最も強く求められるスキルとして、レジリエンス(回復力)とアジリティ(俊敏性)が挙げられている。

求職活動の最適化のために

まずは簡単に成果を得られるものから:職務経歴書を最新の状態に保ち、リンクトインや業界に特化した求人情報サイト(Campaign JobsやPRCA Jobsなど)で、すぐに採用につながりそうな案件を狙う。リンクトインのようなプラットフォームは応募数が多くても、関連性が低くて、ふさわしい経験が不足しているものが大半だ。もしもあなたが条件を満たすのであれば、それは数百人の候補者のうちの一人ではなく、数少ない候補者の一人である可能性が高い。

リンクトインのネットワークを戦略的に活用する:採用担当者やリクルーターの目に留まるよう、「新しい仕事を探す」のステータスをオンにしよう。リストラされた求職者が、自分の状況やスキル、希望条件などを投稿し、リンクトインのネットワーク内で探すことは珍しくない。

専門のリクルーターとつながる:あなたの専門分野と勤務地に特化した人材紹介会社に連絡を取ろう。現在の市場動向、給与水準、あなたの経験に対する需要など、詳細かつリアルタイムなインサイトを提供してくれる。そして何よりも重要なのは、公開されていない求人情報を紹介してくれる点だ。

企業に直接アプローチする:働いてみたい企業が具体的にあるのであれば、その意思を伝えよう。マネージングディレクター、人材部門の責任者、または上級管理職にメールを送り、複数回フォローアップしよう。存在感を示すことが重要だ。

面接に必要なのは明確さと自信:面接の機会を得たら、リストラについて話すことを恐れる必要はない。これはマインドセットの問題だ。簡潔で的確な、誠実な回答をし、背景を明確に説明しよう。「クライアントのX社を失った結果、戦略的な組織再編が行われました。私はその影響を受けた社員のうちの一人です」といったように、データがあると効果的だ。

AIの活用能力は、新たな強み

2026年が近付くにつれて、AIの活用能力は付加価値的なスキルから、必須の要件へと変わった。採用担当者が求めるのは表面的な知識ではなく、ビジネスに影響を与える応用力を示す証拠である。

つまり、以下の点を説明できる必要がある。

  • 日常業務でAIをどのように活用してきたか
  • 成功したものと失敗したもの、そしてその理由
  • チームが新しいツールを導入し、スキルアップできるよう、どのように支援してきたか
  • AIによって業務がいかにスピードアップし精度が向上したか、そしてクライアントにとっての効果に結びついたか

2025年半ばにラテ(Latte)が実施した調査によると、職場で正式なAIトレーニングを受けた豪州のコミュニケーション専門職は、わずか42%だった。格差は現在縮小しつつある。AIに単に好奇心を持つだけでなく真に習熟した人材が、2026年には際立つ存在となるだろう。


ディーン・コネリー氏は、豪州を拠点とするPR&コミュニケーション領域の人材紹介会社「ラテ(Latte)」の創設者兼採用ディレクター。

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