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買収完了で、世界最大の広告持株会社が誕生
オムニコムのインターパブリック買収が完了したことが、米証券取引委員会(SEC)に11月26日に提出された書類で明らかになった。
オムニコムCEOのジョン・レン氏が会長兼CEO、フィル・アンジェラストロ氏がエグゼクティブバイスプレジデント兼CFO、インターパブリックCEOのフィリップ・クラコフスキーCEOとダリル・シム氏が共同社長兼COOに就任する。新しいリーダーシップチームは12月1日に発表される予定で、組織構造についての詳細は明らかにされていない。
レン氏は「当社と業界にとって決定的な瞬間」とコメント。「取引の完了により、オムニコムは現代のマーケティングとセールスのリーダーシップにおける新たな基準を確立し、より強いブランドの構築と、優れたビジネス成果を実現して、持続可能な成長を推進してまいります」。
スタグウェル、シンガポール拠点を開設
スタグウェル(Stagwell)がシンガポール拠点を開設し、アジア太平洋地域にある傘下のエージェンシーを集結させると発表した。スタグウェルは今年初めにADK GLOBALを買収している。
新拠点には、ADK、アリソン(Allison)、アセンブリー(Assembly)、フォースマン&ボーデンフォース(Forsman & Bodenfors)など各エージェンシーが一堂に会する。クリエイティブ、コミュニケーション、デジタルトランスフォーメーション、ブランド体験、メディア、AI機能を一カ所に集約することで、密接に連携しながらソリューション構築を加速させていく。
「シンガポールは、アジアにおける当社の成長エンジンです。新しいスタグウェルのシンガポールキャンパスは、クリエイティビティ、メディア、コミュニケーション、データ、そしてAIを結集し、クライアントに対してより迅速に対応できる体制を構築します」と語るのは同社のアジア太平洋地域担当マネージングディレクター、ランディ・デュアックス氏だ。「これこそが新たなモデルです。より連携が深く、より革新的で、そして各地域市場の勢いに対応するために構築されたモデルです。アジアはこの業界の未来が形づくられている場所であり、スタグウェルはまさにその未来を創り上げているのです」。
スタグウェルAPACの最高成長責任者であるコニー・チャン氏は、新拠点について「未来を見据えた取り組みを推進するというスタグウェルの揺るぎないコミットメントを体現しています」と説明する。「ここは、コラボレーション、クリエイティビティ、そしてサステナビリティのために設計された空間であり、シンガポールおよびAPAC全域のクライアントに対して、より強い価値を提供できるようにするための拠点です」。
マークルの情報漏洩、元社員150人以上が集団訴訟を計画
電通グループ傘下のマークル(Merkle)の英拠点で従業員や顧客のデータが漏洩した件で、元社員150人以上が集団訴訟を検討している。
同社は法執行機関に通報し、国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)ならびにデータ保護機関(ICO)に報告。また漏洩した可能性のある現従業員と元従業員に通知した他、エクスペリアン社のダークウェブ監視サービスの1年間のメンバーシップも無料提供すると同社のサイトに記されている。
Campaignが取材したところ、元社員らは漏洩発覚後に連絡を受けたことはなく、どのようなデータが漏洩したかも不明だという。中には10年以上前に退職した者もおり、同社がこれだけ長い期間データを保管していたことを疑問視する声も上がっている。
英歳入課税庁(HMRC)は、税務関連の記録を6年間(+当該年度)保管するよう求めている。EU一般データ保護規則(GDPR)ならびに2018年データ保護法では、目的に必要な期間を超えて個人情報を保管してはならないとしている。
マーク・リード氏、カンター・メディアへ
カンター・メディア(Kantar Media)が、WPPのCEOを務めたマーク・リード氏を取締役会の会長に任命した。同社は最近カンター・グループとベインキャピタルから、プライベートエクイティ投資会社「HIGキャピタル」に売却され、このたび取締役会を新設した。
パトリック・べアールCEOは、同社史上「極めて重要な転換期」にリード氏が参画することを光栄に思うと述べた。「マークは深い戦略的思考力と、変革、データ、AIの実践的な経験を兼ね備えており、何よりも複雑な状況に明確さをもたらすことで業界を変革するという志を共有しています」。
リード氏は「カンター・メディアは、人々がどのようにメディアを消費しているか、そしてメディア投資を最も効果的に配分するにはどうすればよいかを、広告主やエージェンシー、メディアオーナー、そしてプラットフォームが理解できるよう支援するという、メディアエコシステムにおいて独自かつ重要な役割を担っています」とコメント。「オーディエンスの行動がかつてないほど急速に変化しているこの時代に、取締役会に会長として参加し、メディアエコシステムの透明性を高めようとするパトリックと彼のリーダーシップチームを支えられることを大変嬉しく思います」。
(文:田崎亮子)
