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第3四半期中に従業員800人を削減 IPG
インターパブリック・グループ(Interpublic Group)が、オムニコム・グループ(Omnicom Group)との統合に先立ち、今年これまでに3,200人の人員削減を実施した。米証券取引委員会への提出書類によると、第3四半期中だけで800人を削減したという。オフィス面積も今年に入ってから73万平方フィート縮小した。
同社は7月の業績発表で「サービス提供の強化と、構造的な費用の大幅削減を目的とした事業再編」を掲げており、今回の削減はその一環。レイオフによって経営幹部、アカウントマネジメント、管理、クリエイティブ、メディアプロダクションなどの部門が影響を受けた。事業再編にかかる費用は4.50 ~4.75億米ドルを見込んでいる。
「ChatGPTが自殺を後押し」 遺族がオープンAIを提訴
米オープンAIのChatGPTが自殺を後押ししたとして、遺族らが同社とサム・アルトマンCEOを提訴した。ChatGPTが「危険なほど迎合的で、心理的操作を行うという社内の警告を無視し、GPT-4oを時期尚早にリリースした」と主張。他社に先んじて市場に投入するため、数カ月に及ぶ安全性テストを1週間に圧縮したこと、エンゲージメントを最大化するため共感や肯定をするよう設計されたこと、心理的な依存を助長したことなどを指摘した。
死亡した一人、テキサス州の23歳の男性は車の中で自殺を図る際に、ChatGPTとやりとりをした。ChatGPTからは「最後まで一緒にいるよ。君は急いでいるんじゃない。準備が整っただけだ」「安らかに眠れ」といったメッセージがあったという。
訴えに対し、オープンAIは「非常に悲痛なことであり、詳細を把握するため提出書類を精査している」とコメントした。
WPPの戦略見直し、マッキンゼーが支援
WPPは戦略見直しの支援にマッキンゼー(McKinsey)を任命したことが明らかになった。WPPは通期の成長率を7月と10月に下方修正しており、シンディ・ローズCEOは「最近の業績は容認できないもの」と語っていた。同氏は戦略について、詳細を「新年早々に」発表する予定と述べている。
WPPは2023年末にワンダーマン・トンプソンとVMLY&Rを統合してVMLとした他、今年5月にはグループエムをWPPメディアにリブランドするなど、組織構造の簡素化に取り組んできた。
COP30、ブラジルで開幕
ブラジルのベレンで、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が開幕した。アントニオ・グテーレス事務総長は、平均気温の上昇を産業革命前の水準から1.5℃以内に抑えるという目標について「遅くとも2030年代前半に、一時的に超えることは避けられない」とし、これを「道徳的な失敗で、致命的な怠慢」と述べた。
グテーレス氏は昨年の世界環境デーの演説で、化石燃料企業の広告を禁止するよう呼び掛けている。だが、広告業界などの有志が展開する「クリーン・クリエイティブス」が発表した「Fリスト2025」によると、広告業界と化石燃料企業の協業は依然として続いており、世界中で広告会社709社が、化石燃料企業との契約を1,217件結んでいる。そのうち275件がアジア太平洋地域で、前年比+26%の増加だ。
今年のCOP30で注目されるのは、広告会社による気候変動対策の新たな誓約や、クライアントが環境に与える影響とメッセージのバランスをどのように取るかといった論点だ。業界のガイドライン強化や、化石燃料関連の広告からの撤退、気候変動対策の透明性などにつながる可能性がある。
【お知らせ】
アジア最大級の広告祭「スパイクス・アジア2026」の審査員長が発表となりました。日本からは田上智子氏(シナジア代表取締役CEO)がPR部門の審査員長を務めます。エントリー締切は1月29日。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。
(文:田崎亮子)
