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東京高裁、電通側の控訴を棄却し有罪判決
東京五輪をめぐる談合事件で、東京高等裁判所は31日、電通グループに罰金3億円、元スポーツ局局長の逸見晃治被告に懲役2年(執行猶予4年)とした一審・東京地方裁判所の判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。同社は「主張と大きく異なっており、看過できない相違がある」として即日、上告した。
東京高裁は5月に、博報堂についても罰金2億円、博報堂DYスポーツマーケティング元社長の横溝健一郎被告を懲役1年6カ月(執行猶予3年)とする一審判決を支持している。
一連の事件では6月末に公正取引委員会が、電通グループなどに総額約33億円の課徴金の納付を命じている。
内部通報窓口で健全な企業文化の醸成を
電通グループが公開した統合グループによると、2024年はグループ共通の内部通報窓口「SpeakUp」への通報件数が2023年(218件)から大きく増えて314件だった。
ハラスメント窓口への相談件数は177件で、2023年(164件)から8%増。一方、社内のハラスメントや不当な扱い、業務における不正、社の精度に関する疑念といったコンプライアンス違反を通報する日本国内の窓口「コンプライアンスライン」への通報件数は28件と、2013年(32件)から減少した。
この数字について、同社は「あらゆる活動において社員がイノベーションを起こし、成長し、誠実な行動ができると感じられる文化を醸成することに尽力しています」とコメント。「これは、社員が安心して発言できる職場環境があってこそ実現できるもの。SpeakUpポータルは、社員にとってオープンで安全な文化を創造するという当社のコミットメントを示すものです」。SpeakUpへの通報件数は増加しているが、「経営が健全かつ倫理的な企業としてのグローバルな基準に十分沿うもの」だと説明した。
広告大手の中では電通グループの他に、WPPとピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)も通報件数を公表している。ピュブリシスの内部通報の件数は、102件(2023年)から221件(2024年)と倍以上に増えた。その大部分は人事関連の内容だった。
一方、WPPの内部通報件数は2024年に609件、2023年は612件と横ばい。懸念事項を提起できる「Right to Speak(発言する権利)」というホットラインも運営し、こちらには507件(2024年)の報告があった。
ユニリーバ、「購買意欲をかき立てるため」マーケ費を増額
世界最大級の広告主企業であるユニリーバ(Unilever)が、上半期の売上高の15.5%(0.4ポイント上昇)をマーケティングに投資した。同社が発表した上半期の決算によると、上半期の売上高は301億ユーロ(前年同期比+3.2%)。
マーケティングへの投資は「主要なイノベーションや市場開発のための投資を増やした」もので、その結果として美容・健康部門の営業利益が3.7%減少したという。
今年3月にCEOに就任したフェルナンド・フェルナンデス氏は「主力ブランドで購買意欲をかき立て、全てのチャネルで優れたエグゼキューションを行うことで、販売数量の伸びや粗利の向上を実現するマーケティングと販売の体制を構築しています」とコメント。同氏は以前、マーケティング費用に占めるソーシャルメディアへの支出を30%から50%へと増やし、20倍のインフルエンサーと提携する考えを示していた。
アマゾン、ポッドキャスト事業を再編
アマゾン(Amazon)がポッドキャスト部門を再編し、2020年に3億米ドルで買収したポッドキャスト配信会社「ワンダリー(Wondery)」の事業を見直すとブルームバーグが報じた。この組織再編により、従業員が110名削減され、ワンダリーのジェン・サージェントCEOも退く予定だという。
ワンダリーの既存のコンテンツは、アマゾンの2つのチームに分割され、一部のシリーズはオーディオブック事業「オーディブル(Audible)」に移管する。また、パーソナリティー主導型のコンテンツは、新たに設置するクリエイターサービスのチームに移され、収益化を目指す。
アマゾンのオーディオ・ツイッチ・ゲーム担当バイスプレジデントであるスティーブ・ブーム氏は社内文書で、今回の組織再編について説明。ワンダリーの当初のポッドキャスト戦略が不振だったことや、動画の台頭によりポッドキャストクリエイターの境目が曖昧になり、ポッドキャストの世界が大きく変わったことなどを挙げた。
(文:田崎亮子)