
エゼキエル氏の後任探しには、コカ・コーラも協力
WPPのCMO(最高マーケティング責任者)を務めるローラン・エゼキエル氏が、ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)に移る。ピュブリシスでの新たな役割については、明らかになっていない。
同氏は2019年にWPPに入社する前は、16年間をピュブリシスで過ごし、GSKのクライアントリーダーや、ディジタス(Digitas)の北米&国際担当プレジデントを務めた。
WPP入社後は最高マーケティング&事業成長責任者に就任し、2021年にコカ・コーラ(Coca Cola)のグローバル統合アカウントの獲得に重要な役割を果たす。その後、コカ・コーラの専属ユニットであるWPP Open Xを立ち上げ、CEOとなった。
同氏がピュブリシスに戻るのは、今年3月にWPPがコカ・コーラの北米のメディアアカウントをピュブリシスに奪われたことを受けたものだという。コカ・コーラは5月にWPP Open Xとのパートナーシップを更新し、同社のグローバルCMOであるマニュエル・アロヨ氏はリンクトインへの投稿で、エゼキエル氏に謝意を表していた。
Campaignが確認したコカ・コーラの社内メモによると、WPPと協力してエゼキエル氏の後任を探しているとのこと。WPPの広報担当者は「後任については近日中に発表する予定」と述べる。ピュブリシスからのコメントは得られなかった。
WPPは現在、リーダーシップの移行を進めている。現CEOのマーク・リード氏が年末に退任する他、7月中旬にはシンディ・ローズ氏が9月にCEOに就任することが発表された。
APAC・アフリカで業績が低迷のハヴァス、全体では堅調な成長
ハヴァス(Havas)が第2四半期の決算を発表し、オーガニック成長率は+2.6%だった。地域別にみると、アジア太平洋およびアフリカが前年同期比-4.9%と低迷。北米はヘルスケア事業が2桁成長し同+4.6%、欧州も同+2.6%と好調、中南米は同+2.5%だった。
上半期の純売上高を事業領域別にみると、クリエイティブが全体の41%、メディアが36%、ヘルスが23%を占める。
CEOのヤニック・ボロレ氏は上半期を振り返り、特に北米における新規事業の獲得や、AIを活用したケイパビリティー(組織力)の拡大などによって堅調だったと述べた。
市場予測を上回ったメタ、AIへの投資を拡大
フェイスブックやインスタグラムを運営するメタ(Meta)が発表した第2四半期の決算が、市場の予測を大幅に上回った。総売上高は475億米ドル(前年同期比+22%)で、その大部分を占める広告売上は465億米ドル(同+21%)。広告の成長に寄与したのは、広告のインプレッション数が世界的に同+11%、広告の平均価格が同+%9と上昇したことにある。
マーク・ザッカーバーグCEOは「事業としてもコミュニティーとしても、力強い四半期だった」とコメント。そして「世界中のすべての人々のために、パーソナルなスーパーインテリジェンス(超知能)の構築に胸が躍ります」と述べた。
同社はそのためのチームを立ち上げ、新興企業である米スケールAI(Scale AI)の株式49%を取得し、アレクサンダー・ワンCEOをメタの最高AI責任者に任命。他にもアップル(Apple)など競合からエンジニアを引き抜いたと報じられている。
メタ、10代のユーザーを守る安全機能を追加
メタは、10代のユーザーの安全を守る機能を追加したと発表した。メッセージ機能でやりとりしている相手の登録年月や安全関連の情報を表示する他、ブロックや報告のオプションを画面に追加し、対処しやすくした。
インスタグラムは13歳以上でないと利用できないが、大人が代わりにアカウントを運営していることを明記していれば利用できる。この大人が管理する13歳未満のアカウントについても、ティーンアカウントの保護機能の一部を適用し、安全対策を強化する。望まないメッセージを受け取らないよう受信設定を自動的に最も厳しいレベルにし、攻撃的なコメントをフィルタリングする機能も有効になる。
また、10代の利用者にブロックされたことがあるなど「疑わしい行動をとっている大人」についても、おすすめとして表示しないようにしたり、検索でも見つけづらくする他、残したコメント非表示にするといった対策も講じる。
同社はこれまでも、大人が管理する13歳未満のアカウントの投稿に性的なコメントを残したり、性的な画像を要求した13.5万件のアカウントや、こういったアカウントと関連するアカウント50万件を削除している。また、50社以上のテック企業が加盟するテック・コアリション(Tech Coalition)の「ランタン・プロジェクト」を通じて、子どもたちを搾取しようとするユーザーの情報を、他のプラットフォームとも共有してきた。
(文:田崎亮子)