Jessica Heygate
2022年10月21日

グーグル、ブランド適合性のための新たなソリューションを発表

独占取材:グーグルが、ユーチューブとグーグル・ディスプレイネットワークの両方をカバーする新たなコントロールセンターを立ち上げた。その狙いは、マネタイズの妨げとなっている包括的な除外アプローチを抑制し、広告主により強固なセルフコントロールを提供することにある。

グーグル、ブランド適合性のための新たなソリューションを発表

グーグルは、ファーストパーティとサードパーティのメディアプロパティ全体で、ブランド適合性の管理機能を一元化した。広告設定オプションの不統一が、非効率な広告支出につながり、クリエイターのマネタイズを妨げていると判断したためだ。

ブランド適合性とは、広告主が広告を表示したいコンテンツカテゴリーや、同載されたくないテーマを調整するプロセスのことだ。一方、ブランドセーフティとは、不適切なコンテンツがマネタイズされるのを防ぐ目的で、プラットフォームが採用している包括的アプローチのことで、すべての広告主に対して一律に適用される。

ユーチューブの場合、広告主は3段階のインベントリ管理システム、ラベルの適用、トピックの除外設定(後述)など、複数のオプションを調整して適合性を設定することができる。だが、3500万のウェブサイトとアプリで構成されているグーグル・ディスプレイネットワークでは、利用できるオプションの数が少なかった。

適合性に複数のオプションや手法が混在するこの不統一な状態が、コンテンツクリエイターの収益や広告リーチを低下させるといった「予期せぬ結果」を引き起こしていたと、グーグルとユーチューブでグローバル動画ソリューション担当ディレクターを務めるマービン・ルノー氏は、Campaign USの取材に対して述べている。

グーグルが広告主やエージェンシーに聞き取り調査をしたところ、「最大限の透明性を提供していなかったため」、コンテンツのブロックが過度に保守的なものになっていたことがわかったという。除外リストは膨大な長さとなり、ブランドに合わせてカスタマイズされこともなく、キャンペーンから次のキャンペーンへと「コピーアンドペースト」して使い回されていたという。

一元化された新しい適合性センターでは、広告主がユーチューブとグーグル・ディスプレイネットワークの両方を対象に、キャンペーンごと、またはアカウントごとに適合性を管理できる。そのため、同じ除外設定をすべてのキャンペーンに適用できるようになった。コンテンツ適合性センター(Content Suitability Center)と呼ばれるこのソリューションは、グーグルが広告主とエージェンシー、それにサードパーティのパートナーと2年間にわたって取り組んできた成果だ。

「私たちの望みは、すべてを1つのプラットフォームに集約することによって、広告主が除外すべきコンテンツとターゲットにすべきコンテンツを幅広い視点から検討し、収益に基づいた正しい決定を下せるようにすることだ」と、ルノー氏は言う。

「私たちの望みは、すべてを1つのプラットフォームに集約することによって、広告主が除外すべきコンテンツとターゲットにすべきコンテンツを幅広い視点から検討し、収益に基づいた正しい決定を下せるようにすることだ」と、ルノー氏は言う。

さらにこのソリューションでは、広告主がダブルベリファイ(DoubleVerify)やインテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)といったサードパーティに頼ることなく、自分たちだけで適合性設定を容易に管理できようになる。とはいえ、グーグルがこれらの技術パートナーに取って代わるつもりはなく、「これらの企業は今後もこれまでと同様のサービスを提供できる」と、ルノー氏は述べている。「自ら適合性を管理しようとする広告主は多い。私たちは、広告主がそれを選択した場合に、それに容易に対応できるようにしただけだ」

グーグルは、自社プラットフォームがブランドにとって安全な場所であることをアピールすべく、長年取り組んできた。その結果、今では適合性に対しよりきめ細やかなアプローチを採るようになっている。ユーチューブはこれまで、広告主に警戒心を抱かせるようなブランドセーフティ関連の大きな危機を何度か経験してきた。2017年には、複数の大手ブランドの広告が、過激なコンテンツ、ヘイトスピーチ、テロリストのプロパガンダを含む動画とともに表示されていたことが、ある調査で明らかになった。その3年後には、100以上のブランドの広告が、気候変動を否定する動画に表示されていたことが判明している。

キーワードブロックを利用した保守的なアプローチは「安全に対する懸念の名残のようなもの」だと、ルノー氏は説明する。

「これまで、信頼の確立とブランドセーフティの実現は、私たちが乗り越えなくてはならない最低限の基準だった。そして、これらの課題をクリアできたことが、監査を受ける動機となった」と、ルノー氏は言う。ユーチューブは、米Media Rating Council(MRC)からコンテンツレベルのブランドセーフティ認定を受けた、現時点で唯一のデジタルプラットフォームだ。

「今や広告主は、安全な環境を求めるだけでなく、自社ブランドに合ったコンテンツやコンテンツクリエイターを支援する方法を求めるようになっている」と、ルノー氏は語る。

グーグルは今後、それぞれの適合性設定が、主要な広告指標に与える影響を予測できる機能を追加する計画だ。

ルノー氏によれば、コンテンツ適合性センターの開発は、同社のアドテク慣行を調査している規制当局への対応とは無関係な取り組みだという。グーグルの透明性の欠如は規制当局の調査対象の一つとなっているが、適合性管理の取り組みを進めたのは、主に広告主の要望によるものだったと、同氏は説明した。

「私たちは問題と機会を見いだし、それがエコシステムにも利益をもたらすことがわかったから、この取り組みを進めた。規制当局の要請や要望はもちろん承知しているが、これはまた別の話だ」と、ルノー氏は語った。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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