David Blecken
2016年11月14日

2020年東京五輪と、人々の「消費意欲」

エデルマン・ジャパンが2020年東京五輪・パラリンピックに関する人々の意識調査を行った。大会への様々な期待の高まりとともに、スポンサーにとっては懸念すべき点もいくつか浮き彫りとなった。

2020年東京五輪と、人々の「消費意欲」

今回の調査対象者は700人。大会に対する肯定的な意見は60%で、そのうち23%が「非常に期待している」と答えた。年齢別に見ると50~69歳のシニア層が最も肯定的で、エデルマンではその一因を1964年の東京大会へのノスタルジーと見る。彼らに次いで肯定的だったのは、子供を持つ家族と学生層。大会によって日本がより開かれた国になることを期待している、という見立てだ。

大会への否定的な意見は15%、どちらでもないと回答したのは25%だった。

開催費用が当初の見積から大幅に超過したことや、コンサルタント料に関する収賄疑惑、さらにエンブレムの盗作騒動など問題が続出しているにもかかわらず、大会は前向きに受け止められていることがこの調査で判明した。総費用は開催地への立候補を表明した時点で35億米ドルだったが、実際はそれをはるかに上回る額になる見通しだ。一方の経済効果は、昨年12月に発表された日銀の試算では2,490億米ドルとうたわれている。

回答者の42%が「大会は日本経済にとって好材料」と見ており、19%が「経済効果を実感できることを期待」する。また4分の1以上が、大会を通して日本が「各国との友好を促進し、世界での存在感を強める」ことを望んでいる。観光産業の振興に期待を寄せる意見も4分の1に上った。

スポンサーにとっては、やや複雑な心境にならざるを得ない調査結果も出た。スポンサーの製品やサービスに対して「好感が持てる」と答えた人は72%に達した一方、「実際に購入する」と答えたのは20%にとどまった。さらに、製品を友人や家族に薦めたいと答えた人はわずか9%に過ぎなかった。

2016年リオ大会と2020年東京大会に関するCampaignの数々の取材からも分かるように、スポンサーには単なるスポンサーとしての存在を超えた、より大きな役割が求められている。調査でも、五輪・パラリンピックがもたらす長期的資産(レガシー)の創出にスポンサーが貢献してほしい、と期待する人が半数近くに上った(45%)。

これはどういうことを意味するのだろうか。エデルマン・ジャパン代表取締役のロス・ローブリー氏は、「スポンサーはブランドの目指すものと大会のレガシーとを一致させる必要がある」と語る。つまりブランドには、大会後も東京都民、ひいては日本の社会全体に持続的効果をもたらし、グローバルブランドとしての「日本」の確立に貢献する役割が求められているのだ。

「スポンサーは五輪と自社ブランドを結びつけることで得られる利益だけでなく、より大きな枠組みで東京大会を捉えなければなりません。社会全体の取り組みの中でどのような役割を果たすべきなのか、主催者や他のスポンサーとどのように協力すれば大会のレガシーに貢献できるのか……こうした視点が必要なのです」と同氏。

また、このような課題解決のプロセスに携わることで、「五輪に関連したあらゆるマーケティングやコミュニケーションを包括する、ブランド推進のためのストーリーを生み出すことができます」。
ほかに人々がスポンサーに期待することは、キャンペーンの実施(32%)、関連製品のプロモーション(28%)、イベントの開催(25%)、大会観戦チケットの提供(25%)などが挙がった。

スポンサーにとっての究極の目的は、「消費者との密接な関係を作り上げること」とローブリー氏。「それが業績に結びつくだけでなく、ブランドへの支持にも繋がります。そうすれば、消費者は自らブランドのための行動をとってくれる。だからこそ、ブランドは製品やサービスの枠を超えて、消費者の生活の中で積極的な役割を果たしていく必要があるのです」。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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