Humphrey Ho
2022年11月03日

2023年、B2Bマーケターはもっと先を読む必要がある

2023年、B2Bマーケターは間違いなく厳しい試練に直面する。ハイリンクのマネージングディレクターが4つのヒントを紹介する。

2023年、B2Bマーケターはもっと先を読む必要がある

2023年まであと2カ月あるが、たった2カ月しかないとも言える。広告主は、事業推進や事業再編のためにさまざまな準備を進めている。今年1月に世界が充電期間を終えて以来、私たちは遅れを取り戻そうと努力してきた。しかし、B2Bマーケターの多くは、まだ9カ月前の再始動の事後対応に追われており、回復する市場と停滞する市場をまだ予測できないでいる。

周知の通り、B2Bマーケティングは極めて専門的だ。そして通常、ごく限られた人たちに訴求するものだから、その手法は干し草の山から1本の針を探すようなものとなる。例えば、航空機メーカーの場合、マーケターが関心を持つのは、航空機を購入する人、リースする人、航空会社を経営する人など、おそらく全世界で1万人ほどしかいない。B2Bマーケティングは、一連のプログラムに従い、少数の顧客群のロイヤルティを継続的に維持することを得意としてきた。マーケターの役割は、ロイヤルティの核となる「顧客が自社のブランドを使う意義」を作り出す上で非常に重要だ。

それでも、マーケターはしばしば、事前準備よりも、むしろ事後対応に終始しがちだ。グローバルとローカルの関係が複雑なため、キャンペーンの調整だけで数カ月かかる。それは、グローバル企業がプログラムやプロセスを、マクロ経済の動向にアジャストできていないことを意味する。世界レベルで活動し、政治的、経済的な状況は熟知していても、多くのB2Bマーケターはキャンペーンやクリエイティブの制作に約1年を要してしまっている。

B2Bマーケターが今すぐ取り組むべきことは4つある。データとセキュリティのコンプライアンスの周知、グローカル(グローバルとローカルの両方)なクリエイティブ資産の蓄積、コラボレーティブイノベーションのプレイブック作成、そして全体統括機能としてのセンターオブエクセレンス(CoE)の確立だ。

ステップ1:データとセキュリティのコンプライアンス

あなたは、グローバル視点から、プライバシー法、情報移転、広告仕様、マーケティング手法などの各種情報にアクセスできるはずだ。多くの地域チームはEMEA、LATAM/Americas、APACなど、複数の国に跨がっているため、そうした情報を各ローカル市場に伝達することで、誤った判断を未然に防ぐことができる。同じ地域の中でさえ、APACにおける中国のPIPL、南北アメリカにおける米国カリフォルニア州のCCPAなど、異なるプライバシー法が存在している。

最終的には、B2BマーケティングもB2Cにつながっている。つまり、キャンペーンに必要なデータ収集については、高いプライバシー意識を持たなければならないということだ。中央のマーケティングチームは、こうした情報をローカルマーケターに伝えるためのツールやプラクティスを主導し、設定する必要がある。

基本的には、中央のチームが各地域の法律に関する知識を生かし、すべてのプライバシー法に対応する多国籍キャンペーンを企画するのがいいだろう。

ステップ2:グローカルなクリエイティブ資産を制作する

グローバルなB2Bマーケターは、あまりに(現地)に即しすぎたマーケティングになることを憂慮している。しかし、本国にとって意味のあることでも、現地では通用しないこともある。不安定な経済状況のなかで、ブランドマーケティングを行い、かつ成功させたければ、普遍的に受け入れられ、普遍的に理解され、ターゲット層の大部分に通じるクリエイティブを制作する必要がある。具体的な方法は以下の通り:

  1. 全世界のB2Bオーディエンスに対応するため、同じ作品を異なる人種の出演者で何通りか撮影する。この方法を採用すれば、コストも削減できる。
  2. ナレーションが少ないクリエイティブを制作し、各言語の字幕を入れられるようにする。
  3. 普遍的な真理に立ち戻る。あなたの製品を買うこと、あなたの製品に忠実であること、あなたの製品に乗り換えることの普遍的価値は何か?付加価値は何かあるか?なぜ競合他社より優れているのかなど、独自の強み(USP / ユニーク・セリング・プロポジション)を特定し、それを軸にすることだ。

ここ数年、地域マーケティングは堅調で、多くの地域マーケターが「グローバルタグラインを自地域に合わせて、自分たちでクリエイティブセットを制作しよう」と考えてきた。しかし、経済状況が不安定になったことで、グローバルマーケティングチームや中央のマーコムチームに再びクリエイティブ制作の負担が集中している。グローバルチームは、自社の強みを反映し、サウジアラビア人もコロンビア人も同じように共感できるものを作らなければならない。

ステップ3:センターオブエクセレンス(CoE)を確立する

本社にマーケター集団がいるのは素晴らしいが、B2Bマーケターは多くの場合、中央のマーコムモデルだけに依存している。しかし、マーコムモデルは、専門的な仕事を専門的な能力を持つところに委任したときに最も効果を発揮する。

例えば、あるグローバル企業が、メキシコに本社を置き、世界中にオフィスを構えているとしよう。メキシコ本社のPR施策はいまひとつだが、オランダのPRは素晴らしい。この場合、オランダのチームがPRを担当し、ブラジルのチームが制作を行うのが良いかもしれない。

製品紹介動画や動画による取扱説明書、ハウツーガイド、エキスパートガイドなどは、本社から支給するのではなく、現地で制作するべきだ。現地を信頼し、地域を中心としたマーケティング関係を維持、発展させるのだ。特定の仕事は特定の地域に委任することで、よりスムーズで早い、普遍的なプロセスを構築することができる。

ステップ4:イノベーションのプレイブックをつくる

ステップ4はステップ3と密接に関係している。B2Bマーケティング組織の多くが、現地チームと競合したり、争ったりしている。それは無駄であり、販売チームや販売代理店のためにもならない。グローバルのマーコムチームはイノベーションプレイブックをつくることに集中すべきだ。イノベーションプレイブックとは、組織全体の観点から作成され、すべての地域に配布されるガイドラインのようなものだ。

この考え方はキャンペーンのあらゆる側面に当てはまる。あなたは、プロジェクトを特定の地域に委任して、プレイブックを作成し、それをすべての地域と共有するのだ。イノベーションプレイブックは、地域間の競争を煽るのではなく、一貫性のある共感を生み出し、各地域と中央のマーコムチームの距離を縮めるためのものだ。

すべては、事前準備をすること、そして自社の強みに注力することに帰着する。グローバル企業は、主張の不整合によるリスクを望まない。そして、グローバル市場の回復は続いている。何か問題が起きてからではなく、今すぐイノベーションプレイブックをつくるべきだ。


ハンフリー・ホー氏はハイリンク米国法人のマネージングディレクター。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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