David Blecken
2017年7月04日

周年を記念し、謎の白い肉を前面に押し出す日清食品

国民的人気を誇るカップヌードルが、またもや趣向を凝らしたCMを制作した。

さまざまな「記念」を理由に盛り上げることが得意な日清食品が、「カップヌードル チリトマトヌードル」発売35周年を記念して、謎めいた肉についてのプロモーションビデオを制作した。

意図が飲み込めないかもしれないが、カップ麺の具材に謎の白い肉が加わったと伝えることに特化した動画なのだ。カップヌードルに入っている肉は「謎肉」と呼ばれ親しまれているが、この白い謎肉は今まで以上に謎に満ちており、話題性は十分だ。

グッドデザインをもじった「新具材(New Good Design)」がキャッチコピーで、「世界を変える具材をつくろうとしたら自然とGood Designになりました」とのこと。映像では白いキューブ状の肉が躍動し、面の名称や角度などといった詳細なスペックも付記される。制作は電通で、音楽プロデューサーの中田ヤスタカ氏が完全オリジナルの楽曲を提供している。

Campaignの視点:
原材料や産地など、消費者が食品のあらゆる情報を把握したがる風潮の中で、あえて謎めいた肉を訴求ポイントにした点が興味深い。謎に包まれていても消費者は日清食品を信頼し、カップヌードルに手を伸ばすだろう。皮肉の込められたユーモアと、印象的なビジュアルや音楽が組み合わさった小気味よい作品は、同社の他のCMとは作風が異なるが、ブランディングを真に理解するブランドだという点で一貫している。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

3 日前

世界マーケティング短信:オムニコムの新体制が明らかに

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2025年12月02日

人員削減はビジネス上の理由 リストラから迅速に再出発するには?

人員削減がクリエイティブ業界の構造を変えつつある中、人員整理は今やビジネスにおける現実となった。2026年に向けて再出発し、新たなポジションを見つけ、採用されるための実践的なロードマップを、採用ディレクターのディーン・コネリー氏が紹介する。

2025年11月28日

アサヒGHDへのランサムウェア攻撃 最大190万件の個人情報が流出か

アサヒはシステム障害への対応に注力するため、通期決算発表を遅らせると発表した。

2025年11月28日

世界マーケティング短信:オムニコムのIPG買収が完了

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。