Bailey Bellingy
2024年3月12日

アジアのジェンダー格差に取り組み、未来を変えるブランドの力

世界のジェンダー平等は、綱渡りの状態にある。ジェンダー格差を是正しようとするブランドは、これを女性だけの課題としてではなく、世界の人類にとって最大の課題として扱うべきだというのが、行動分析学者ベイリー・ベリンギー氏の見解だ。

Photo: Bailey Bellingy, Canvas8
Photo: Bailey Bellingy, Canvas8

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

近年、世界的に女性の権利をめぐる状況が悪化している。COVID-19がジェンダー平等を大きく後退さ後、米国ではロー対ウェイド判決が覆るなど、現在、ジェンダー平等の状況はますます不安定になっている。

10人中9人が女性に何らかの偏見を持つとされ、女性や女子を守るための法整備など格差解消にはあと286年かかると国連は予測している。国際的にみても、東アジアや太平洋地域、南アジアは、現在までの格差解消の進捗が最も遅い3地域となっている。ジェンダー不平等の影響は徐々に深刻化し、永続的な損害をもたらす。まず影響を受けるのは、家父長的な構造によって精神的・身体的な幸福や人生におけるさまざまな機会を損なわれ続ける女子や女性たちだ。だが、彼女たちが属するコミュニティーも、やはり大きな影響を受ける。世界的な調査によれば、女性が自律的な力を付けると、コミュニティー全体も栄えるという。ジェンダー格差解消の後進に取り組もうとするブランドは、これを女性だけの課題としてではなく、世界全体にとって最大の人権問題であると考えなければならない。

教育と労働参加

パンデミックの影響を受け、世界的な雇用喪失の54%を女性が占めた。女性は労働人口の39%しか占めていないにもかかわらず、である。例えばインドでは、労働力人口に占める女性の数が20%を下回った。この影響は広範囲に及んでいる。しかし、アジアで女子や女性が教育からも労働市場からも遠ざけられているのは今に始まったことではなく、深く根付いており大きな損害をもたらしている。

アジアの女性と女子を教育や労働市場から構造的に遠ざけてきた要因は、貧困から家父長制的なジェンダー観念までさまざまだ。南アジアでは、学校に通えない女子は男子の3倍で、その結果、女性の35%が読み書きができず、46.5%がいかなる形の教育・労働・訓練にも参加していない。女子が学校に通えないと「身体が未発達な状態での妊娠、早期結婚や強制結婚、暴力」のリスクを高め、人生に深刻かつ根深い影響を及ぼすとユネスコの報告書は結論づけている。

この問題への取り組みを、ブランドがさまざまな方法で強化している。タニシュク・ジュエリー(Tanishq Jewellery)の母の日のキャンペーンは、インドの母親に対する価値観を覆し、女性が育児を通じて身につけたスキルが仕事にも応用可能であることを強調し、産休・育休後の職場復帰を後押しした。一方、ナイキ(Nike)の「バウンドレス・ガールズ(Boundless Girls)」は、中国の少女たちにスポーツへの参加を促し、地域に根ざした環境配慮型の取り組みを通じて機会を提供することでエンパワーしようとしている。

これらのアプローチは、教育や労働市場への女子や女性の参加を支援する2つの方法を示している。まず、社会的な見解に異議を唱え、偏見が生み出す障壁を減らすよう働きかけること。そして、支援や能力開発のための具体的かつ地域固有の機会を提供することである。

暴力

アジア太平洋地域の女性は、世界平均をはるかに上回る割合で暴力を経験している。東南アジアでは、15~49歳の男性パートナーを持つ女性の33%が、現在または以前のパートナーによる身体的・性的暴力の被害を生涯に少なくとも1回は受ける。インドでは68%の女性が公共交通機関で暴力を受けた経験があり、アジア太平洋地域では75%の女性がセクシャルハラスメントを経験しているとされ、問題は家庭内や個人の環境を超えている。調査によれば、この地域では女性に対する暴力が蔓延し、女性が法律で保護されていないことも非常に多い。そして、このことが女性自身と家族の双方の深刻な健康リスクを高めるだけでなく、職場の生産性や家庭の経済成長を阻害しているという。

ロレアル(L’Oreal)は中国でのセクハラ問題、ダヴ(Doveはタイの学校における髪型の規制に取り組むなど、感情に訴えかけるキャンペーンを展開している。

写真:ロレアルが中国で支援する国際女性映画フェスティバル

これらのキャンペーンは、従来はタブー視されてきた話題に、より多くの人々を参加させるためのものだ。きわめて透明性の高いアプローチによって、このような構造的な問題が疑問視されずに黙殺されてきたことに対して立ち向かっている。そしてダヴのキャンペーンは、シチズンシップの取り組みで市民とのエンゲージメントを積極的に築いている。髪の強制散髪をなくす活動への支持を2,800人から集め、意識向上が行動によって裏打ちされている。

健康にまつわる偏見

米国で1993年まで医薬の治験から女性が除外されていた結果、世界的に見て女性は男性より25%も多くの時間を、不健康な状態で過ごしている。さらに、人種的・民族的マイノリティーに属するグループも臨床試験への参加率が低いため、マイノリティーに属する女性に合わせた情報が不足している。

アジアの女性たちは、医療資源へのアクセスが限られている。この問題は、医療インフラの構造的な問題と、女性の健康に関する偏見を生み出してきた文化的なタブーの両方によって助長され、女性だけでなく医療従事者の間にも教育格差を引き起こしている。医療インフラの限界について言えば、スリランカの経済危機は現在、同国の妊娠中や授乳中の女性を栄養失調の危険にさらしており、特に貧困にあえぐコロンボの女性に大きな影響を与えている。

文化的なタブーにより、インドの女性の79%が更年期障害について家族や友人、同僚と話すことに抵抗を感じている。また、生理に関する教育が不足しているため、同国では毎年20%の女子が学校を中退している。さらに、アジア太平洋地域の女性の21%が、女性に期待される役割から発生した家庭の事情によって、治療を遅らせたり避けたりする傾向があると報じられている。

インドの女子の5人に1人が、生理開始後に学校を退学する。(写真:ウィスパー・インド)

インドで生理にまつわるタブーを教育によって払拭することを目的としたウィスパー(Whisper)のキャンペーンは、タブーに対処し意識を高めるだけでなく、母親とその娘の両方に対し、生理に関する貴重な教育を提供する。一方で、フェムテック新興企業のエルダ・ヘルス(Elda Health)はインドで女性の更年期障害の症状を管理する支援をしている。女性のニーズを過小評価したり誤解したり、恥ずかしいという気持ちにさせる社会的な要因にとらわれず、女性が自分の健康を自律的に管理できる場を提供している。

今後行うべきこととは?

女性の権利の未来にとって重大なターニングポイントにある今、ブランドはこれらの問題の是正に貢献できるし、貢献すべきだろう。ブランドが沈黙を破って開放性を徹底していくことで、文化的な潮流を揺さぶり、開かれた対話を生み出し、具体的な変化の機会を個人レベルでも地域レベルでも提供することができる。その際に一律のアプローチをとるのではなく、地域の問題への文化的なニュアンスを理解して対処することが、大きな成功につながる。ジェンダー不平等を現代社会における最大の人権課題の一つとして認識し、さらにこれからの社会全体のウェルビーイングと切り離せないと認識する上で、行動を起こすことが最も重要なのだ。


ベイリー・ベリンギー氏は、シンガポールに本拠を置くエージェンシー「キャンバス8(Canvas8)」の行動アナリスト。

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