Ryoko Tasaki
2025年8月21日

世界マーケティング短信: マッキャン・ワールドグループ ホールディングスのCEOに青木貴志氏

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

青木貴志氏(左)とジー・ワトソン氏
青木貴志氏(左)とジー・ワトソン氏

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

ジー・ワトソン氏は米国に帰国、後任に青木貴志氏

マッキャン・ワールドグループ ホールディングスの代表取締役CEOであるジー・ワトソン氏が米国にいる家族のもとへ帰国し、青木貴志氏(マッキャンエリクソンならびにクラフト ワールドワイドの代表取締役社長)が10月2日付で同社の代表取締役社長兼CEOに昇格する。青木氏は同日付で、マッキャンエリクソンの代表取締役社長兼CEOにも就任する。

ワトソン氏はターナー・インターナショナル、ザ・コカ・コーラ・カンパニー、サムスン、オグルヴィ・アンド・メイザー・ワールドワイドを経て、2015年にマッキャン・ワールドグループに入社。2017年に日本に拠点を移し、アジア太平洋地域のエグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高財務責任者として財務管理とスチュワードシップを統括した。2020年にマッキャン・ワールドグループ ホールディングスの代表取締役に就任、2021年にCEOに昇格した。

青木氏はクリエイティブ、デジタル、統合型マーケティングの分野で25年以上の経験がある。コンテンツプランナー兼ライターとしてキャリアをスタートさせた後、ジェイ・ウォルター・トンプソンの上海オフィスなどWPPに18年在籍。2018年にピュブリシス・グループに入社し、サーチ・アンド・サーチ東京支社のゼネラルマネージャー、Media.Monks Tokyoのマネージングディレクターなどを歴任。2023年10月にマッキャンエリクソンの代表取締役社長に就任した。日本広告業協会やAdvertising Week Asiaのアドバイザリー委員も務める。

ワトソン氏は声明で、次のように述べた。「日本におけるマッキャン・ワールドグループの舵取りを引き渡す準備を進めるにあたり、これまで共に歩んできた皆さんへの感謝の気持ちで胸がいっぱいです。この組織を率いる役割を担えたことは、私にとって大変光栄であり、継続的な成長の実現から、協働とイノベーションの社内文化の構築に至るまで、皆さんと共に成し遂げてきたことを誇りに思います」。また、青木氏がその成功の重要な立役者であり、「彼のリーダーシップのもと、日本におけるマッキャン・ワールドグループが今後もさらなる成功を収めていくことを、私は確信しています」と語った。

青木氏は「過去2年間にわたり彼女とともに推進してきたさまざまな改革と進化は、確かな成果を生み出し、当社は大きな変化の時代に柔軟かつ力強く対応できる組織へと成長いたしました」とコメント。「今後も、ケイパビリティーの拡張およびソリューションの統合を継続し、アイコニックなエージェンシーとしての存在価値をさらに高めることで、お客様に卓越したソリューションを提供してまいります」。

マッキャン・ワールドグループAPACプレジデント兼CEO、ガッサン・ハーフウシュ氏はワトソン氏について「広告業界にとって世界で最も重要な市場のひとつである日本において、持続的な成長とシームレスな統合を推進するとともに、インクルーシブな文化を社内に根付かせ、組織変革を力強く牽引してきました」と評する。「彼女のリーダーシップのもと、当社は日本市場において堅実な基盤を築き、将来に向けた確固たるポジションを確保することができました」。

スウォッチ、中国で公開した「つり目」広告について謝罪

 スイスの時計ブランド・スウォッチ(Swatch)が中国で公開したキャンペーン画像が、人種差別的だと批判を浴びた。

コレクション「スウォッチ・エッセンシャルズ」の新作キャンペーン画像では、アジア系の男性が目尻を両手でつり上げるポーズをとっている。歴史的にアジア人を侮辱するこのポーズには多くの批判が寄せられた。スウォッチはこの画像を削除し、インスタグラムや微博(Weibo)で謝罪の声明を発表した。

オメガ、ロンジン、ブレゲなどのブランドを擁するスウォッチグループにとって、中国は総売上高の27%(2024年)を占める最大の市場だ。同社は今年の上半期の売上高が前年比11.2%減だったが、その主要な要因として中国での業績不振を挙げている。

中国ではこれまでにディオール(Dior)やグッチ(Gucci)など欧米ブランドも同様の画像を公開し、人種差別的だと批判にさらされたことがある。



グーグル、豪州での反競争的な取引で罰金53億円

豪競争・消費者委員会(ACCC)は、グーグルが豪通信大手のテルストラ(Telstra)ならびにオプタス(Optus)と反競争的な取引を行ったとして、5500万豪ドル(約53億円)の罰金を支払うよう求め連邦裁判所に提訴した。グーグルは違反を認め、罰金の支払いに合意した。

この契約は、テルストラとオプタスが2019~2021年にかけて販売したAndroidスマートフォンに、グーグル検索のみをプリインストールすることに合意したもの。競合する検索エンジンをすぐに使える状態にしなかった見返りとして、グーグルは2社に広告収入の一部を支払った。

【お知らせ】

Campaign Asia-Pacificが主催する第32回エージェンシー・オブ・ザ・イヤーのエントリー最終締切が9月2日に迫っています。審査員や応募についての詳細はこちら(英語)をご覧ください。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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