The Economist
2016年6月27日

カンヌでのマーケター達の声 「業界はつべこべ言うのを止めて」

『エコノミスト」が主催したカンヌライオンズのパネルディスカッションでは、時代遅れの代理店モデルにマーケターから批判の声が上がった。

P&Gのマーク・プリチャード氏。カンヌにて
P&Gのマーク・プリチャード氏。カンヌにて

カンヌ - 『エコノミスト』のパネルディスカッションでは、P&Gのグローバル・マーケティング・アンド・ブランドビルディング担当役員であるマーク・プリチャード氏、ペプシコのグローバル飲料グループプレジデントであるブラッド・ジェイクマン氏、AT&Tのシニア・エグゼクティブ・バイスプレジデント兼グローバルマーケティング担当役員あるロリ・リー氏がパネリストとして登壇した。この記事は当メディアのために『エコノミスト』によって書かれたものである。

「我々はつべこべ言うのを止めて腕を磨かなくては。『できる』からと言って必ずしも『やるべき』でないこともある」とプリチャード氏。「目下、くだらないコンテンツが多すぎる」

この発言に呼応するようにジェイクマン氏も、今日のクリエイティブの障害になっている広告ブロックなどは広告業界の自業自得だ、と熱弁をふるった。

「広告ブロックが生まれたのは、業界全体が怠慢で、ゴミのようなコンテンツを何年も量産したから。ブロックされて当然だ。コンテンツの作り方を変え、何らかの方法で人々に価値をもたらすコンテンツを生み出さねばならない」

この課題に真正面から取り組むため、ペプシコでは現在、視聴者に好まれているリアルタイム・コンテンツの大半を社内で制作している。従来型の広告代理店がこの課題に取り組もうとしない、あるいは取り組めなかったからだ。

「私は何も、広告代理店の仕事を崩壊させてやる、と朝起きるたびに念じているわけではない。ただ、仕事のやり方を変えてほしいと何年も依頼し続けてきたが、業界は未だに変わらない。だから自分たちでやることにした」とジェイクマン氏。「今でも付き合っている広告代理店を大切にしているが、『速くできる。安くできる。いいものもできる。だが三拍子揃うことはない』との古い格言は、今や的外れだ。是非とも三拍子揃えたいし、実際に自分自身でやっている」

データについては、マーケティング業界全体として現状を打破できる新しい効果測定法を利用しなくてはならない、また同時に、投資対効果を測る手法を探す努力もしなくてはならないと、パネリスト全員の意見が一致した。

ジェイクマン氏の最大の懸念は、消費者がますます洗練されていく一方で、業界が40年前から変わらない古風な手法を使い続けていることだ。

リー氏はマーケティングの世界では比較的経験が浅い方だが、「ファイナンスとオペレーションで経験を積んできたので、マーケティングの効果測定が非常に遅れているのを目の当たりにして驚いた。変わらなくては」とジェイクマン氏に同意した。

ディスカッションの最後の部分では、今日の広告の役割が焦点となり、ジェイクマン氏が「広告の役目は必ずしも売り込むことでなくてもよい」との見解を述べた。

「広告自体が売り込まなければならない、との考え方には賛成できない。広告はもっと売れるようにするためのものだ」

消費者とより意味のあるつながりの構築について、ジェイクマン氏とプリチャード氏の考え方は一致している。広告はその起源である「ソープオペラ(メロドラマ)」のスポンサーへと回帰しつつあり、エンターテインメントの提供者として、消費者から信頼を得ているのだという。

「人々が実際に見たいと思うもののスポンサーになることで、より多くの人にブランドを認知してもらえる。結局は基本に立ち返ることになる」とプリチャード氏は締めくくった。

(文:The Economist 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)

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