David Blecken
2016年8月12日

ナイキの提唱する、素晴らしき「身の程知らず」

言うまでもなく、「身の程知らず」とは己の能力をわきまえない人を揶揄する言葉だ。だがナイキジャパンの新しいキャンペーンでは、これを肯定的なメッセージとして使用する。自らに限界を設けるな、と若者たちを鼓舞するのだ。

ナイキの提唱する、素晴らしき「身の程知らず」

このキャンペーンを仕掛けたのは、ワイデン+ケネディ東京。限界に挑む日本人アスリートや一般の人々を取り上げ、彼らをサポートするナイキの姿勢を表現した。60秒のスポットCMでは、日本の社会や教育現場が押しつけようとする「限界」と、それを乗り越えようとするアスリートたちを対比して映し出す。登場するアスリートたちは、サッカーの伊藤涼太郎選手(浦和レッドダイヤモンズ)、陸上の高松望ムセンビ選手、バスケットボールの落合知也選手(リンク栃木ブレックス)、ダンスの菅原小春氏など。ナイキのウェブサイトでは、挑戦を続ける彼らアスリートのストーリーも公開されている。



さらに、「#身の程知らず」ではスポーツシーンをソーシャルメディアに投稿するプロジェクトや、実際にスポーツにチャレンジするイベントも実施。今回のキャンペーン・テーマは、同じくワイデン+ケネディが去年韓国で展開したもののバリエーションだ。韓国では10代の若者たちに向けて、受験戦争の重圧をスポーツで跳ね返そうというメッセージを発信した。

Campaignの視点:
「身の程を知れ」と若者たちに諭すことは、単に個人の問題に留まらず、ややもすると国全体の自粛を促す空気の醸成になりかねない。ナイキのようなパワフルなブランドが、各市場の社会的課題に独特の手法で光を当てるのは歓迎すべきことだろう。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:高野みどり  編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

3 日前

世界マーケティング短信:アップル製品にChatGPT搭載

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

4 日前

「AIはクリエイティビティーを強化」 マーク・リードWPP CEO

AIの時代となりつつある現在。大手エージェンシートップはクリエイティビティーへの投資をどう考えているのか。カンヌライオンズ2024の開幕を前に、WPPのマーク・リードCEOが綴る。

2024年6月12日

プライド月間のマーケティング施策、慎重姿勢が強まる

プライド月間が始まったが、企業の参加は減少すると予想される。

2024年6月12日

「消費者はモルモットになるべきではない」 性急なAI導入に広告業界が警鐘

グーグルが、AIの不正確性で再び苦境に立たされている。検索結果を要約するAI製品に広告が間もなく掲載されることから、デジタル広告会社の幹部はテクノロジー業界に開発競争のペースを落とすよう促す。