David Blecken
2016年11月01日

「フェンディルミ」に見る老舗高級ブランドの奇策

高級であるはずのブランドが、日本の「カワイイ」文化を取り入れたようだ。

「フェンディルミ」に見る老舗高級ブランドの奇策

多くの世界的なファッションブランドは1980年代から近年まで、贅を尽くした製品を積極的に売り込まずともアジアで支持を得ることができた。しかしアジアの消費者の目が肥え、虚飾を排しつつもセンスの良いブランドの人気が高まる中、消費者に求められる存在であり続けるための努力を大手高級ブランドは強いられるようになってきた。

どのような対応があるだろうか。まず考えられるのは、高級路線を保ちながらも需要に合わせて控え目なトーンに切り替える方法だ。あるいは、高級ブランドの地位を捨て、毛むくじゃらの安っぽいマスコットを踊らせて宣伝する方法もあるだろう。まるで携帯ショップの店頭で見られる光景のようだが……。

どうやらフェンディは後者を選択したようだ。フェンディのゆるキャラ「フェンディルミ」のバグくんとピロちゃんは今、香港を練り歩いている。青色とピンク色の、正直なところ見た目が少々怖いこれらのキャラクターは、バッグに付けるチャームを等身大にしたものだ。創業家3代目のシルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ氏は、「日本のポップカルチャーと着ぐるみの大流行に触発されて」これらのキャラクターを生み出したという。

確かに、日本のふわふわしたおもちゃやマスコットのような、創意あふれる奇抜で珍妙なテイストは出せているが、高級志向とはかけ離れている。このキャラクターの投入が、香港における高級品の消費の落ち込み(政府統計によれば今年は19%近い下落)を補うとは考えにくい。

ちなみに、このミンクファーでできたチャームの値段は1500米ドルと、紛れもない高級品価格だ。フェンディのコンセプトがいまひとつ理解しきれないが、もし香港の消費者が新しい高級品のスタイルとして歓迎してくれれば、フェンディの狙い通りということなのだろう。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)

関連する記事

併せて読みたい

3 日前

世界マーケティング短信:エージェンシーの組織変革

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

バイロン・シャープ氏が語る、COVID-19への最も賢明な対応が「広告出稿停止」だった理由

「COVID-19に関連するブランドメッセージに消費者が興味を持つだろうというマーケターの考えは“恥ずかしいほど傲慢だ”」とシャープ氏は話した。

3 日前

広告活動に回復の兆し、マーケターの信頼が回復:WFA調査

現在、キャンペーンを延期している多国籍企業は半数以下に減少。6月には90%を超えていた。

4 日前

メディアの価格上昇率、最も高い地域はAPAC

グラフで見る:パンデミック下であっても、地域ごとのメディア価格を見ると、特にディスプレイとデジタル動画で価格が上昇しているのがわかる。