Ryoko Tasaki
2021年6月25日

世界マーケティング短信:スポンサーの露出方法と好感度

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

広告テストを見送ったゲーム「ブラストン」
広告テストを見送ったゲーム「ブラストン」

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。


アスリートによるスポンサー商品の扱いが物議

サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手(ポルトガル代表)が先週、ユーロ2020(サッカー欧州選手権)の記者会見で、テーブルの上に置かれた2本のコカ・コーラをどけ、水のボトルを掲げながら「水!」と発言。その直後にコカ・コーラ社の株価が下落したことが、大きな話題となった。同氏は以前から健康管理を徹底していることが、たびたび報じられている。

今回の件に反応したのが、飲料水ブランドのエヴィアン。「これよりうまく言うことは、自分たちにはできなかっただろう」とツイッターに投稿した。

ロナウド選手の件の翌日にはポール・ポグバ選手(フランス代表)も、テーブルの上のハイネケンの瓶を足元に移した。同選手はムスリムであり、飲酒は禁止されている。

コカ・コーラ社とハイネケン社はともに、同大会のオフィシャルスポンサー。欧州サッカー連盟(UEFA)は17日、スポンサーとのパートナーシップは大会にとって不可欠であることを説き、スポンサーを尊重するよう通達した

 

五輪担当相の発言で、批判の矛先がスポンサー企業に

開催まで1カ月を切った東京オリンピックでも、スポンサーをめぐる発言が物議を醸した。会場での酒類販売を容認するのかと問われた丸川珠代五輪担当相が22日、「大会の性質上、ステークホルダーの存在がどうしてもある」とコメントし、批判の矛先がアサヒビールに向けられたのだ。ソーシャルメディアでは「#アサヒビール不買運動」というハッシュタグが拡散。結局、酒類提供は見送りとなったが、アサヒビールは23日に「当初から大会組織委員会へ酒類提供を見送るよう提言を行いました」「今回の組織委員会のご決定は当然のことと考えます」と声明を出している。

 

VRゲームの中での広告表示テスト、苦情多数で中止に

フェイスブック社は先週、VR(仮想現実)ヘッドセット「オキュラス」を使って遊ぶゲームの中に広告を試験的に表示すると発表した。だが多くの苦情が寄せられ、中止されることに。広告テストを実施する予定だったゲームは、レゾリューション・ゲームズ社の「ブラストン(Blaston)」。広告はゲーム開発者の新たな収入源になると期待されていたが、「プレイヤーたちからのフィードバックを聞き、このような広告テストにブラストンは最適ではないと実感しました」と同ゲームの公式アカウントはツイートした。将来的には同社の無料ゲームで、小規模にて広告テストを行う可能性も示唆している。

 

M&S、多様な肌色や体形に合わせた下着を発売

英小売大手マークス&スペンサーは、さまざまな肌に合わせた「ニュートラルカラー」の下着を発売した。これまでニュートラルカラーといえば、明るいベージュ色を指すことが多かったが、この1年間でDEI(ダイバーシティー、公平性、インクルージョン)への意識が高まり、色やサイズのバリエーションを増やす動きが加速したという。色の名前も「ローズクオーツ」「トパーズ」など宝石にちなんだものを選んだ。

多様な肌の色に合わせた商品は、急速に開発が進んでおり、昨年2月には英スーパー大手テスコが、3種類のカラーバリエーションの絆創膏を発売している。

 

豪州の広告界に、もっと多様性を

人口の3割が国外で生まれている多民族・多文化国家の豪州だが、同国の広告界に目を向けると、その割合はわずか16%である――このような問題意識から、プロジェクト「#OnlyOneInTheRoom」が立ち上がった。プロジェクトの名称は、職場や会議室、オンラインミーティングの参加メンバーを見渡した時に、文化的背景が異なる人物がたった一人しかいないような状態を終えたいという期待を込めたものだ。プロジェクトのサイトにはこの業界で働く人々のエピソードや、今年から始まる「B&Tダイバーシティーアワード」の詳細が紹介されている。

 

ターバン着用のライダーに、タフなターバンの作り方を無料公開

頭にターバンを巻くことが戒律上の義務だというシーク教徒に対し、オートバイ乗車中のヘルメット着用義務を免除する州がカナダにはある。だが、もっと安全性を高めたターバンを作れないだろうか……?

このように考えたトロント郊外のディーラー「パフ・ハーレー・ダビッドソン(Pfaff Harley Davidson)」と、クリエイティブエージェンシー「ズールー・アルファ・キロ(Zulu Alpha Kilo)」は摩擦や衝撃に強い素材を3層にした「タフ・ターバン」をデザインした。さらに作り方を無料で公開し、個人利用を許諾している。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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