David Blecken Ryoko Tasaki
2017年4月10日

ペプシの例が示す、社会的課題の扱い方

デモ隊と警察の間に緊張が高まっても、炭酸飲料があれば大丈夫、丸く収まる。

放送事故ともいえる米国発のペプシCMは、おそらく社内で制作されたもの。全編を見るのが面倒ならば、問題が起こり始める1分45秒まで飛ばしてみよう。

(補足:昨年7月、米ルイジアナ州バトンルージュの路上で黒人男性が警官に射殺される事件が発生。それを抗議するデモで一人の黒人女性が、武装する警官隊の前に静かに立ち、抗議する姿が大きな反響を呼んだ。今回のCMはそのデモを連想させ、社会問題を軽率に扱っているとして批判が相次いだ。キング牧師の娘、バーニス・キングはツイッターでこの件に触れ、「もし父がペプシの力を知っていれば…」とコメントしている。)

大事なことなので、ブランドの担当者にはぜひメモしておいてほしいのだが、社会的課題(イシュー)をテーマに扱うならば、きちんと真正面から向き合うこと。深刻な社会的課題や政治的緊張の解決法として、安易に自社製品を出すなんてことは絶対にやめておくこと。そんなことはわざわざ言わなくても分かっているだろうとは思うが、念のため。

この広告を、エイプリルフール用のジョークだと勘違いした人もかなり多かったようだ。ペプシはCMを削除したが、既にいくつものパロディー動画が作られ、投稿されている。

そもそも日頃から社会的課題に対してツイートや「いいね!」するのみで実行が伴わないミレニアル世代たちが、この動画に敏感に反応し炎上させたという可笑しさを指摘する声もある。

一方で、「どんな宣伝でも、話題になれば良い宣伝」と考えれば、このところ存在感が薄かったペプシブランドにこれだけ注目を集め、多くの議論を起こすことができた点において、今回のキャンペーンは大成功だと捉えることもできる。

(文:デイビッド・ブレッケン、田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

2 日前

世界マーケティング短信:コロナ禍前の水準に近づく広告界

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2 日前

中国若年層への動画、ゲームの利用制限にどう対応すべきか

子どもの動画やゲームの利用時間を制限する中国当局の新たな規制に、バイトダンス、クアイショウ、テンセント、ネットイースいった大手企業が応じるなか、マーケターはこれにどう対応すべきだろうか。中国を拠点とするエキスパートに話を聞いた。

2 日前

ポストパンデミック、ブランドは消費者に忘れられつつある

英エージェンシーのアイリス(Iris)による最新の「パーティシペーション・ブランド・インデックス」は、消費者のブランド認知が危機的状況にあることを示している。

4 日前

日本の広告詐欺、依然として世界最悪レベル:IAS調査

日本のビューアビリティは世界でも最低水準で、アドフラウド(広告詐欺、不正広告)率も最も高い水準 −−インテグラル・アド・サイエンス(IAS)社の最新調査で、日本のウェブ環境が依然として改善されていないことがわかった。