Nikita Mishra
2022年10月07日

アクサ、最新キャンペーンは「迷信を打破」する

保険会社アクサの最高ブランド・コミュニケーション責任者、サブリナ・チュン氏と、ピュブリシスの最高クリエイティブ責任者、ナタリー・ラム氏が、アクサ初のソーシャルファーストキャンペーンの舞台裏を語った。

アクサの新キャンペーンのビジュアル。
アクサの新キャンペーンのビジュアル。

朝食にシリアルを食べるとがんになる。重曹でセルライトをなくせる──健康・ウェルネス業界はこうした迷信に満ちている。保険大手のアクサは、遊び心たっぷりの新たな統合型キャンペーンで、こうした迷信を打破しようとしている。

「#BreakTheMyth(迷信を打ち破れ)」と題した今回のソーシャルファーストキャンペーンは、科学的根拠に基づくシンプルな事実を発信して、ノイズを打破することを意図したものだ。タイとインドネシアにおいて、アクサのウェルネスアプリ、エマ(Emma)を題材に9月最終週から展開されている。

「消費者、特に時間に追われる(親と子どもの両方の世話をする)サンドイッチ世代の間で、ノイズの洪水の中から確かな情報だけを選り分け、事実に基づいた信頼できる情報やアドバイスを得たいというニーズが高まっている」と、アクサでAPAC(アジア太平洋地域)担当最高ブランド・コミュニケーション責任者を務めるサブリナ・チュン氏は言う。

同社のグローバルクリエイティブパートナーであるピュブリシスグループは、イラストレーターのカミロ・ウインカ氏と共同で、誤解や誤情報で「混沌とした」デジタルライフについて、広く社会的な会話を促すことを目的とした、インスタグラム用の一連のポップなビデオクリップを含む、各種ビジュアル素材を制作した。

制作プロセスについて、ピュブリシスグループのAPAC・中東・アフリカ(AMEA)地域担当最高クリエイティブ責任者、ナタリー・ラム氏は次のように語った。「タイとインドネシアはいずれも、多様であり、多くの物語、文化的豊かさ、伝統を誇る市場だ。タイではヤモリが11回鳴くと幸運が訪れると信じられている。インドネシアには歯磨き粉でやけどが治るという迷信がある。どんな文化にも言い伝えや怪しいうわさは存在するが、我々はそれを打破するために、信頼できて親しみやすいアドバイスを、遊び心に満ちた楽しいやり方で伝えることで、強いインパクトを残すことを目指した」

ピュブリシスは、典型的な長尺動画フォーマットではなく、大胆かつユーモラスで、目を引くイラストアニメーションというアプローチを採用した。これは、TikTok、インスタグラム・リール、YouTube Shortsといった短尺動画フォーマットを最大限に活用するためだ。

フランスに本社を置く保険大手のアクサにとって、これは、初のソーシャルファーストなキャンペーンの試みとなる。

「パンデミックの発生以来、ソーシャルメディアの消費は爆発的に増加した。これは我々にとって、ソーシャルメディアというツールを効果的に利用することで、オーディエンスの興味を惹くコンテンツを通して、情報を提供し、エンゲージし、つながりを築く機会が増えることを意味する」と、チュン氏は言う。「もちろん、ミレニアルやZ世代といったデジタルネイティブな消費者が、高い購買力を持つようになり、保険会社が彼らをターゲットと認識しはじめたという世界的な潮流が背景にあることは、言うまでもない」

今回のキャンペーンは、アクサの世界共通のキャッチコピーである「Know You Can(そう。あなたなら、できる。)」をベースにしている。より良い健康と生活のため、情報の力を活用しよう、というメッセージは、ブランドの信頼を高め、一貫性のある包括的なブランドアイデンティティを生み出す、とチュン氏は述べている。

インドネシアでのアクティベーションでは、国内最大のショッピングモールの前で、ロボットヤギが観客のなかから腕相撲の対戦者を募った。画像提供:アクサ


アクサは保険会社だが、同社にとっての最大のテーマの一つは、ブランドアイデンティティを、支払いと払い戻しの無味乾燥なビジネスから、ウェルネス分野の総合健康企業へと刷新することだ。チュン氏はCampaign Asia-Pasificの取材に対し、香港、フィリピン、中国本土、日本、インドネシア、タイで、オールインワン・ウェルネスアプリ「エマ」を立ち上げたのは、このような事業戦略の根幹を強化するためだと語った。特に重要市場のタイとインドネシアにおける「#BreakTheMyth」キャンペーンは、ハイパーローカル戦略をとっており、ローカルな価値観やパートナーシップ、コンテンツの統合によってブランド力が強化されることを証明している。

「顧客との実体を伴ったつながりは極めて重要であり、我々のビジネスの根幹にある。今回の狙いは、オーディエンスに日常生活を振り返ってもらい、エマについても知りたいと思ってもらうことだ。我々は消費者インサイトを基に、両国の人々が子どもの頃から慣れ親しんできた迷信を特定し、今回のユーモアあふれるキャンペーンを制作した」と、チュン氏は言う。

チュン氏によれば、今回のキャンペーンは、屋外広告、デジタル、ソーシャルプラットフォーム等で、2022年12月まで展開される予定だ。タイでは屋外広告を積極的に展開し、95のデジタルスクリーンに配信される。また、インドネシアの屋外広告にはインタラクティブな要素も取り入れられるという。

チュン氏はまた、直近の目標はブランド認知を確立し、エマのユーザーを増やすことにあるとして、「各ソーシャルチャネルでのインプレッション、エンゲージメント、リーチといった指標に加え、コンバージョンや潜在顧客獲得率といった指標を、成功を示すKPIとし、キャンペーンのパフォーマンスを測定する」と説明した。

ただし、究極的な目標は「人々に陽気な遊び心や笑顔をもたらすこと」であると、チュン氏は強調する。

「慌ただしい生活のなかで、立ち止まって笑顔になれたなら、それだけで、そのコミュニケーションには意義があった、成功したといえるのだ」と、同氏は言う。

チュン氏は、パンデミックがもたらした不安定性と景気減速を背景に、アクサはデジタル化を加速させ、テクノロジーの高度化に力を入れるようになったといい、同時に、心身の健康にもスポットライトを当てるようになったのだと強調した。

同氏は「パンデミックを機に、人々は自身の健康を強く意識するようになり、ウェルビーイングの話題が日常にも浸透した。我々が欧州とアジアの11カ国で大規模調査を実施した結果、世界の人々が考えるパンデミックの長期的影響としては、メンタルヘルスが第2位(46%)だった」と述べ、「メンタルヘルスに関するタブーを打ち破ることは、ウェルビーイングを推進し、メンタルヘルスを事業戦略多様化の一環に位置づける、我々の長年の方針とも合致する」と語った。

メンタルヘルスにフォーカスしたアクサの過去のキャンペーンとしては、「Fit to Flourish」「AXA Better Me」「Make Time for Me-Time」などがある。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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