Gideon Spanier
2017年3月24日

アクセンチュア、顧客のトレーディングデスク内製化を支援

経営コンサルティング大手が広告界に、さらに一歩踏み込む。メディアバイイングとは一線を画す方針だ。

ジョイ・バッタチャリア氏
ジョイ・バッタチャリア氏

大手コンサルティング企業の、デジタル分野での台頭が著しい。アクセンチュア・インタラクティブは、顧客が社内にトレーディングデスク(広告運用部署)を立ち上げられるよう、多くの顧客と検討を進めている最中だという。

同グループの顧客の中には、広告代理店を介して行ってきたデジタルメディアの広告枠買い付けを、自社内で行うことを目指す企業が複数あるようだ。アクセンチュア・インタラクティブのマネージング・ディレクターであり、英国とアイルランドの事業統括も担うジョイ・バッタチャリア氏が、3月中旬にロンドンで開催されたCampaign UKの朝食会で明らかにした。

バッタチャリア氏によると、同社はこれまでに顧客と相当数のディスカッションを重ねてきたという。その中でも特に焦点となっているのは、プログラマティックとデジタルメディアのサプライチェーンに蔓延する広告詐欺や不透明性などといった問題点だ。

「社内にトレーディングデスクを構築することこそが、完全な透明性を実現するためにとるべき手段でしょう」と同氏。「いかにして構築するか、顧客と具体的な検討を進めています」

経営コンサルティング会社の中でも特に、マーケティングサービスへの進出に積極的なアクセンチュアの動きは、メディアバイイング事業を行う企業にとって、大きな脅威となり得る。従来型の広告代理店の役割が中抜きされる可能性があるからだ。

バッタチャリア氏は、同社が自らメディアバイイングを手掛けるつもりはないと断言する。「それは当社ではなく、顧客が行うべきことです。当社の仕事は、顧客がメディアバイイング機能を社内に構築し、メディアバイイングにおける完全な透明性を確保できるよう、支援することです」

一方で、顧客の社内トレーディングデスクの立ち上げへの協力は惜しまないという。「顧客のためにトレーディングデスクを用意し、運営体制を整えるために必要なことは何でも手伝います」

バッタチャリア氏の話には、同社が顧客の広告やマーケティングのプロセス全体(メディアバイイングを除く)において、顧客とハンズオンで取り組むことへの強い意欲が表れている。「メディアバイイング以外であれば、当社はあらゆる場面で顧客の良きパートナーになることができます」

アクセンチュア・インタラクティブは、クリエイティブエージェンシー「カーマラマ」やデザイン会社「フィヨルド」など、デジタル、デザイン、ユーザーエクスペリエンス、クリエイティブなどの分野で、立て続けに10社を買収している。新製品の開発からマーケティングの展開、製品の提供に至るまで、同社の顧客がユーザーに一貫性のある体験を提供できるよう支援するため、買収を通じて体制を整えてきたのだ。

広告界のアナリストもまた、ブランドによるメディアバイイング内製化の傾向が高まっていると言う。ウォール街に拠点を構える調査会社「ピボタル・リサーチ」のアナリスト、ブライアン・ウィーザー氏は先日、「(従来は大手広告代理店に依頼していた)プログラマティックのメディアバイイングを、自ら行うようになった大手ブランドの数は、比較的大きく増加しています」とコメントしている。

「こうしたトレンドは広告代理店各社にとって、若干ながらマイナスの影響をもたらす可能性があります。従来であれば無かったはずの、マーケターの意思決定への関与が、今後は深まることが想定されますから」。ウィーザー氏はこのように分析している。

(文:ギデオン・スパニア 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)

提供:
Campaign UK

関連する記事

併せて読みたい

2 日前

世界マーケティング短信:激しさを増す駆け引き

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

ミレニアル世代と祖父母をつなぐ、「マゴ写レター」

「普段なかなか会えないおじいちゃんやおばあちゃんに、スマホから写真付き往復はがきを送ろう」 −− 日本郵便が、敬老の日に因んだ新しいコミュニケーションサービスを開始した。

4 日前

LGBTQIA+が見た日本社会

海外から日本に赴任したLGBTQIA+の人々は、日々どのような体験をし、どのような思いを抱いているのか。あるテクノロジー企業で働く米国人エグゼクティブが、カミングアウトの経験や文化・宗教的相違点などを語る。

2020年9月18日

世界マーケティング短信:資本としてのクリエイティビティー

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。