Nikita Mishra
2023年4月27日

イマドキの若者のまったく新しい価値観

感情表現から個人的な快楽に至るまで、その価値観が大きく変容しつつある──ヴァイス・メディアの調査は、アジアの若者のあいだで起きている、極めて大きな変化を浮き彫りにした。本記事では、こうした変化が、Z世代をターゲットとするブランドにとって何を意味するのかを検証する。

イマドキの若者のまったく新しい価値観

アジアの若者たちは、古い常識から解き放たれ、この時代の新しい表現方法に挑んでいる。ヴァイスがアジア太平洋地域(APAC)で行った最新の調査は、彼らの文化的背景や時代精神についてのインサイトを提供し、若者の生き方に変化をもたらし、彼らのベースとなっているコード(規則・規範)が何かを明らかにしている。

「Guide to Culture」と題されたこのリポートは、インドネシア、シンガポール、韓国、インド、日本などの市場において、ヴァイスのジャーナリスト、コンテンツクリエイター、トレンドセッターなどのネットワークから見いだされた、15歳から41歳までの多様な人々4万人のサンプルから得られた知見に基づいている。精神面・感情面の健康を重視する、古い権力構造に疑問を抱く、貪欲に快楽を追求するといった、この年代特有の性質を理解し、彼らの価値観に合ったメッセージや製品を届けたいと考えているブランドにとって、このリポートは貴重な資料となるだろう。

感情を表現するための新たな方法を探し求める

若者たちは、感情を表すことに対する抑圧を取り払い、内に秘めた感情を分かち合える、斬新で型破りな方法を探し求めている。アジアでは、若者の10人に6人が、精神面・感情面の健康にかつてないほどの価値を置いている。彼らは、ウェルビーイングに関するさまざまな意見を採り入れ、自分の感情を吐き出したい人には、そのための場所も用意している。

調査対象の4人に3人が、「健康で幸せな生活を送るには、自己表現できる機会がもっと必要だ」と述べている。実際、このような感情を吐露できる息抜きの場や対処療法を求める動きは確実に広がっている。たとえば、レイジルーム(物を壊して怒りを発散できるスペース)や絶叫療法、誰にも詮索されることなく少数のフォロワーと感情をぶつけ合える環境(最近復活しつつあるテレグラムの個人的な日記など)が、溜まった怒りや悲しみの感情を解き放つための入り口とみなされているようだ。

「いい子」をやめて、より自由に

調査対象の10人に7人が、社会をより良い方向に変えられるのは政府ではなく、自分たち市民だと考えている。政治制度の機能不全が続いたことで、彼らは従来の権力構造に挑み、社会常識や道徳的規範に疑問を投げかけ、社会の壁を打ち破ろうとしている。

回答者の80%は、個人的欲求を尊重すべきだと答え、自分の殻を守るためには「悪役」を演じることも恐れないと答えている。例えば、中国や韓国の女性が、好感の持てる「グッド・ガール」を演じるべきだという従来の慣習に抗って、「ビッチ・ガール」のように振る舞ってみたり、この地域でボーイズラブ・ドラマの人気が沸騰していたりするなど、Z世代は古くからの慣習や社会的規範を次々壊しつつあるようだ、とリポートは述べている。

快楽は一時的なものではなく、ウェルビーイングの基盤

彼らは、快楽追求の意義やバリエーションを拡大しながら、日常の中に罪悪感のない楽しみを見いだし、常に新しい体験を追い求めている。快楽は、健康な生活のために欠かせない、人間のごく自然な欲求だと捉えており、「全力で働き、全力で遊ぶ」というような発想は到底受け入れられないと考えている。

10人に6人以上は、常に何か新しい体験を求めており、快楽追求の意義を拡大させ続けている。社交の場や会食の機会を、感覚を全開にして楽しみ、外出の機会をもっと充実させられる方法はないかと常に探し求めている。

また、2人に1人は、コンフォートゾーンから抜け出す機会を探しており、10人に9人は、飲み会やパーティーは酔うためのものではないと回答している。これは、この世代なりの「一度きりの人生を楽しもう」とする態度なのかもしれない。しかし、複雑な思考回路が働いているようだ。従来世代ほど単純ではないのだろう。

ヴァーチューでAPAC戦略責任者を務めるホワイウェン・トウ氏は、この潮流が与えるブランドへの影響について次のように述べている。「若者が、自分のアイデンティティや信念、感情を悪びれることなく主張するこの時代において、ブランドにできることは、束縛から解放される機会を共有し、コミュニティの一員であるという感覚や帰属意識を築く取り組みだ。また、怒りや悲しみといった、彼らのさまざまな感情を受け入れることで、直接的でリアルなつながりを求める彼らとの絆を高めることができるだろう」

「今日の若いアジアの消費者は、少し型破りで大胆なところがあるブランドや、親しみがもてるちょっとした欠点を持つブランドに、惹かれるようだ。競争の激しい市場でブランドが一歩先を行くには、良いところと悪いところ、美しいものとそうではないものを少しずつ取り入れる必要がある。Z世代に固有の価値観は、真正性、人間性、独自性であり、ブランドはこうした多面性を兼ね備えることで、Z世代にもアピールすることができるだろう」

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

フォローする

トップ記事と新しいキャンペーン情報

速報メールを受け取る

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

パワーリスト2024:濱松幹昌(日産自動車)

日産自動車の革新的な精神を、戦略的なキャンペーンやパートナーシップを通じて打ち出してきた濱松幹昌氏は、ブランドの存在感を世界的に高めている。

1 日前

パワーリスト2024:河野奈保(楽天)

楽天のビジネスを躍進させ、ブランド認知度を大きく高めた河野氏。昨年はエコシステムへのAIの統合にも尽力した。

1 日前

パワーリスト2024:岡本達也(味の素)

岡本達也氏はイノベーションと戦略を融合させ、味の素らしい価値提供やインパクトの向上をグローバルで強化している。

2024年5月17日

パワーリスト2024:「APACベストマーケター50」に選ばれた日本人

Campaign Asia-Pacificが毎年、アジア太平洋地域(APAC)の傑出したマーケターを選ぶ「パワーリスト(Power List)」。今年は日本から5名が選出された。