David Blecken
2018年7月09日

スマート投資アプリ、日本でローンチ

若い世代を対象とした投資サービス分野が活況を呈している。だが、投資への関心が依然高いとはいえないこの国において、投資そのものへの関心を喚起するマーケティングは、果たして十分に行われているだろうか?

FIGS創業者のレイモンド・チャン氏(左)とユージン・オング氏
FIGS創業者のレイモンド・チャン氏(左)とユージン・オング氏

株取引が身近なものになるよう、アナリストによる予測を個人投資家に分かりやすく伝えるアプリ「FIGS」が7月5日、日本で公開された。

日本は個人投資家が非常に少ないマーケットだが、最近は増加傾向だ。今年2月には電通が、アナリストがテーマ別に選んだ企業に手軽に投資できるサービス「フォリオ」に出資している。

FIGSは月額1,950円で利用が可能。ローンチ発表後のインタビューでCEOのユージン・オング氏は、今後のターゲットは中国と米国のユーザーだと語った。シンガポールに本拠地を置くFIGSが日本でサービスを開始したのは、日本は高度に発展した金融市場であるにも関わらず、グローバルな投資情報に個人がアクセスすることが困難であるためだという。

FIGSのポジショニングは「シンプルで簡単に操作できる」こと、付加価値を与えること、そしてグローバルである点にある、とオング氏。主にターゲットとしているのは30代で、もっと上の世代と比べて投資への必要性を強く感じているという特徴がある。

またこの層は、自ら調査し、何に投資するかを自分で決断することを望む。しかし、そもそもどのように始めたらよいか分からない、ネット上の情報の取捨選択が難しい、時間が無いなど、さまざまな障壁が立ちはだかっているという。

そこでFIGSでは、7カ国のアナリスト2,300人による予測情報を提供。特に、各アナリストの予測した株価と実際の株価を比較し、精度をスコアリングするシステムが、このサービスのセールスポイントだ。

「私たちが目指すのは、投資を“民主化”すること」と同氏。「投資は難しいと考えている若い世代の、障壁を取り払いたいのです」

FIGSブランドの認知力向上については「何らかのデジタルメディアへの露出」を考えているという。当面のところはSBI証券をパートナーとして、投資への関心がある人たちに訴求し、ユーザー獲得に努めていく。

編集後記:

日本で投資サービスが活気付いているものの、明白なマーケティングやブランディングはまだ数少なく、平均的な生活者があらゆるレベルで投資に興味を持てるよう促す施策はごく僅か。フォリオの創業者である甲斐真一郎氏は、今年初めのインタビューで「例えばライブイベントのような、テーマと関連するコンテンツ」を生み出し、投資家たちが直接出会ってプロダクトに触れられるような場を設けていくと語っていた。既に同サービスを使っているユーザーには効果的だろう。だが、投資そのもののコンセプトに共感を持てるようなコミュニケーションこそが、まずは大切ではないだろうか。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

18 時間前

「ようこそ東京へ」 マイクロソフトの五輪期間キャンペーン

迷走に次ぐ迷走の末、とうとう開幕した東京五輪。この夏、日本への旅を楽しみにしていた海外の人々は推定100万人。そうした人々に向け、米国ではマイクロソフトが五輪期間限定のキャンペーンを開始した。

2021年7月23日

世界マーケティング短信:波乱に満ちた東京2020大会、いよいよ開幕

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2021年7月22日

2021年「アジアのトップ1000ブランド」

Campaign Asia-Pacificが毎年、ニールセンIQ社と共同で行う消費者調査「アジアのトップ1000ブランド」。18回目となる今年は、ランクインしたアジア発のブランドが史上最多となった。

2021年7月22日

B2Bの合理性とB2Cのクリエイティビティの融合とは

ブランドは、これまで以上に顧客を動かすものを明らかにし、適切な人々に最適なコンテンツを開発して、そのコンテンツを適切な時間と場所で提供し続ける必要があると、VCCPのB2B担当者は指摘する。