Minnie Wang
11 時間前

中国で人気 カルビーの成長戦略

中国で「ジャガビー」を人気商品に仕立て上げたカルビー。アニメファンに訴求するIPコラボで、さらなる売上増を目指す。中国のCMOを務める宮倉裕幸氏に聞いた。

中国で人気 カルビーの成長戦略

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

80年近く前に広島で創業したカルビーは、今や日本の代表的なスナック食品メーカーの1つだ。ポテトチップスやシリアルベースのスナックなど、イノベーティブな商品で知られる。2025年3月期の連結業績は、売上高3225億6000万円(約22億2000万ドル)。そのうち海外市場での売上が793億6000万円(約5億5000万ドル)を占める。

同社の主要な海外市場は北米と中国だ。そして今、中国でカルビーの人気が高まっている。「ジャガビー」や「フルグラ」といった主力商品が成長を牽引、競争の激しい中国市場で存在感を強めている。

5月8日から3日間にわたって開かれた見本市「フード&ビバレッジ・イノベーション・フォーラム(FBIF)2025」の後、Campaign Asia-Pacificは中国事業でCMO兼バイスマネージングディレクターを務める宮倉裕幸氏にインタビュー。ローカル化戦略やIP(知的財産)コラボ、持続可能性、地政学的課題など、中国市場での取り組みを聞いた。

 FBIF 2025でプレゼンテーションを行う宮倉氏

カルビーにとって中国でのローカル化は不可欠だった。その戦略は、人気スナック・ジャガビーの現地生産からアニメ「ちいかわ」とのコラボレーションまで多岐にわたる。中国に特化したマーケティング戦略を強化するが、中国市場を単なる海外事業の成長要因とはみなしていない。健康志向のイノベーティブな商品や、持続可能なパッケージングの試験的市場としても位置付ける。

宮倉氏は1992年にカルビーに入社。これまでマーケティング戦略と商品開発の分野で主にキャリアを磨いた。今年初めに中国・杭州に移住、現在は中国におけるマーケティング業務を統括する一方、同社を代表するシリアル製品「フルグラ」のグローバルブランド戦略も主導する。

Campaignカルビーは2024年にジャガビーの中国現地生産を始めました。この戦略を推進した要因は何だったのですか?

宮倉氏:もともとジャガビーは日本から輸入していましたが、輸送などのコストを踏まえると、どうしてもハイエンドの商品展開になっていました。それゆえ、同ブランドのさらなる拡大と消費者が求めやすい価格の実現を目指して、現地生産に踏み切ったのです。今では日本で製造した商品よりも求めやすい価格となり、多国間貿易のリスクなども回避できている。お客様への安定供給を実現できています。

ジャガビーの中国市場でのマーケティング戦略は、日本市場とどのような共通点がありますか? また、どのような点を修正していますか?

「じゃがいもの味がちゃんとする」「独特の食感がある」というブランド価値を中心に伝えていくことは変わりありません。アニメ好きのユーザーが多い中国では、日本よりも積極的にキャラクターとのコラボレーションを行っています。おかげで中国の消費者の間で熱狂的ファンが生まれ、ブランドとの文化的・感情的つながりを確立できています。

競争が激しい中国のスナック食品市場で、カルビーはどのような方法でブランド認知度や影響力を上げていきますか?

現在の売上の中心を占めるフルグラとジャガビーに注力したアクションを起こしていきます。これらは日本発のブランドで、これまでは日本での価値の運用が中心になっていました。今後は「市場が変わっても変わらないこと」「市場ごとに調整すべきこと」をブランドごとに設定し、各市場のお客様により愛されるブランドづくりとコミュニケーションを行っていきます。

中国以外のアジア太平洋地域(APAC)における戦略はどのようなものでしょう? 海外市場ではどのように日本ブランドのイメージを展開していますか?

カルビーは中国を含めたアジア・オセアニアを1つのリージョンとして戦略を立てています。成功事例の市場横断的な展開や、パートナー企業を含めたサプライチェーンとの連携に注力し、海外市場での売上高比率を50%にすることを目標にしています。

持続可能性に関しては、現在どのような具体的取り組みを行っていますか? 特に環境保護と企業の社会的責任(CSR)の点で重点的に取り組んでいるプロジェクト、目標は何でしょう?

日本のカルビーは人々が健康的に暮らせるよう、食塩無添加ないし低塩・減塩、高たんぱく質の商品を200%増にすることを目指しています。地球環境への配慮では、石油に由来するプラスチック包装の50%削減を目標にしています。

今後数年間の中国市場での発展をどう予想しますか?

中国におけるスナックとシリアルの市場はより成熟していくでしょうが、マイナス成長にはならないと思います。日本より10倍以上大きい市場ですので、引き続きブランド認知とロイヤリティの高いファンの育成に努めていきます。

近年の日中関係の緊張や地政学上の課題など、マクロ要因で多国籍ブランドの中国における経営環境はより不確実性を増しています。こうした外的要因はカルビーのブランド構築とマーケティング戦略に影響を与えていますか? また、これらの課題をどう認識し、対応していますか?

中国に限らず、多国間貿易では安定して消費者に商品を届けるという点で当然ながらリスクが存在します。しかるに複数の拠点で商品の生産体制と原材料の供給体制を整え、有事の際のバックアッププランを準備することが必須だと考えています。

カルビーと「ちいかわ」のコラボ

最近中国で展開したキャンペーンで、最も印象に残っているものは?

印象に残ったのは日本で大人気の「ちいかわ」とのコラボレーションです。このコラボは多様なイノベーションを実現しました。初めて現地生産のジャガビーを発売することとなり、ハニーバターチップも韓国で人気商品となりました。IPキャラクターと商品の味、パッケージが融合し、ユニークなデザインを実現させることができました。

 

関連する記事

併せて読みたい

14 時間前

「エクスペリメント」を活用するマーケターが急増

広告の効果測定でも、AIツールを用いたソリューションが普及している。だが広告主は依然、「全体的な投資利益率(ROI)が把握できていない」と最新の報告書は指摘する。

1 日前

WPPメディア:世界有数のコミュニケーション企業が、なぜメッセージングで失敗したのか?

グループエムの名称変更というニュースに、広告業界は沸き立っている。これはWPPの大胆な改革なのか、それとも深刻な問題の兆候なのか? トリニティP3のダレン・ウーリー氏が、このコミュニケーションの失敗と、今回のブランド刷新が広告主や従業員、メディアバイイングの未来にどのような意味を持つのかについて考察する。

2025年5月16日

世界マーケティング短信:グレイがオグルヴィの一員に

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2025年5月14日

AI、著作権、そして創造性:イノベーションと搾取の微妙な線引き

テック大手が著作物を用いたAI学習を政府に働きかけ、アーティストが作品を守るために訴訟を起こす中で、広告業界は著作権、クリエイティビティー、そしてクリエイターの仕事を尊重しながらAIを組み込むという課題に直面している。