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メタ、広告制作からターゲティングまでAIで完全自動化へ
メタ(Meta)が、広告主がAIを使って広告を制作しターゲティングを行う機能を開発している。
ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたところによると、広告主が商品画像やURL、予算額を送るだけで、メタのAIが画像や動画、文面などを含む広告を自動的に生成し、フェイスブックならびにインスタグラムの利用者の中から最適なオーディエンスを選ぶ。また、位置情報などの要素に基づいて、同じ広告の異なるバージョンにパーソナライズできる。これらの機能を2026年末までに提供する計画だ。
同社のプラットフォームは世界中で34億3000万人のアクティブユーザーを抱えている。このAIによるワンストップでのサービス提供が実現すると、特に潤沢な広告予算を持たない中小企業にとって有益で、メタ社の広告収入増につながると期待される。
WPP、データソリューション「Open Intelligence」を発表
WPPが、「初となる大規模なマーケティングモデル」と呼ぶデータソリューション「オープン・インテリジェンス(Open Intelligence)」を立ち上げた。
膨大なテキストデータから単語間の関係性を学ぶ大規模言語モデルと同様に、データパターンを学習することで消費者行動やマーケティングパフォーマンスを予測できるというもの。クライアントはカスタムモデルのトレーニング、オーディエンスセグメンテーションやメディアバイイングの継続的な最適化、顧客データからの予測シグナルの生成、無駄な支出の削減、パーソナライズされたキャンペーンの配信などを行える。
IDデータを基盤としたソリューションから脱却したこのツールには、WPPが買収したインフォサム(InfoSum)の技術を活用。個人データを共有することなく、カスタムのマーケティングモデルを作成できる。
マーケティング予算は収益の7.7%と横ばい ガートナー調べ
ガートナー(Gartner)が北米、英国、欧州のCMO約400人を対象に実施した2025年の調査によると、企業収益全体のうちマーケティング予算が占める割合が2年連続で平均7.7%となり、長年減少し続けていたマーケティング予算が安定した。だが半数のCMOは、6%以下だと回答しており、パンデミック前の水準を下回る。
収益の4%以下をマーケティングに割り当てる予算重視型のCMOと、10.5%超の予算を投入するCMOとでははっきりとした違いがあることも明らかに。前者はパフォーマンスマーケティングに重点を置く傾向があり、デジタルへの支出の約3分の2を検索広告に費やす一方で、データ、インサイト、トランスフォーメーションへの投資は少ない。だが後者はリニアTVなどオフラインメディアを含むチャネル多様化を図り、パーソナライゼーションや分析への投資を増やしている。
マーケティング予算全体の61.1%を占めるのがデジタルチャネル、38.9%がオフラインチャネルだった。デジタルチャネルの61%以上を占めるのが有料メディアで、前年から11ポイント上昇。世界的に経済環境が不安定な中でメディア支出を守ろうと、ターゲティング能力や適応力に優れる有料メディアを選ぶCMOの戦略を反映している。
【お知らせ】
Campaignは6月16~20日に開催されるカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルにおいて、キャノピー・バイ・ヒルトン・カンヌ内に「Campaign House」を出展します。会期中はさまざまな方をお招きしてのトークセッションやイベントを開催します。詳しくはこちらのサイト(英語)に随時更新します。
(文:田崎亮子)